深く、もっと深く
これはとある町のとある小さな少女のお話
少女は豊かでもなく貧乏でもなくと、普通の暮らしをしていました。
「普通」それはつまり「平凡」ということです。
そんな平凡な少女は、人を見る目だけは長けていました。
大人達が隠している秘密も、子供たちの複雑な関係性も、すべてわかってしまうのです。
そんな彼女はある日一人の老婆に出会いました。その老婆の腰はまがっていて、黒いマントを背負って、息絶え絶えで少女のもとへ歩いてきたのです。
少女は不思議そうに
「お婆さん。見かけない人だね。どこから来たの?」
そういうと老婆は口元に笑みを浮かべて
「遠い遠い、はるか彼方のところから来たんだよ。」
と言いました。
「はるか彼方?」
「そうさ。あたしはねぇ、魔法を使えるんだよ。」
「魔法?」
少女は自分の今まで培ってきた完成を疑いました。なぜならこの人が嘘をいっているとは思えなかったからです。
そんな少女を見て老婆は
「疑ってるのかい?じゃあ証拠にこの蛙をしゃべらせて見せよう」
そんなことできるわけがない。魔法使いなんて居るわけないんだから。
そう思い老婆を眺めていると、老婆はブツブツと何か言いながら蛙を人差し指でつついていました。
すると
「みズをくレ」
そう言葉を発したのです。
少女は急いで水を汲みに行きました。そしてもといた場所に戻って蛙に水を与えようとしました。
すると老婆は蛙をつかんで潰してしまいました。
「なっ・・・なにしてるの!?」
少女は驚愕の顔を浮かべながら老婆を見ます。
老婆はこれまでにないくらい口元に笑みを浮かばせて
「駄目だよ?あたしの話聞かないで勝手にどっかいっちゃ・・・」
手には蛙の血であふれかえっていました。少女は腰を抜かして言葉を発することもできません
「おや・・・腰を抜かしてしまったんだねぇ。まぁいい。蛙を助けた人の心がよくわかるおちびさん?あなたが望むこれからの未来はなんだい?この老婆がかなえてあげよう」
「望み・・・?」
少女は細く聞こえるか聞こえないかのこえで言葉を紡ぎました。
「そう。なんでもいいよ?この老婆にかなえられない望みなんてないのだから」
「私の望みは・・・特別になること・・・」
そういうと突然少女の体は水のなかに落ちて行きました。
どうしてこうなったかって?ふふふ・・・教えてほしいかい?それはね・・・?
_____あなたはどんな未来を望む?_____
なんでも叶う未来なんてありはしません。
もしあったのならきっともう世界はなくなっているんじゃないでしょうか?
この少女も 特別 なんて言葉に縛られて生きてる儚い女の子です。
甘い言葉に踊らされてるといつか痛い目見ますよ?