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死神にゴネて死因を聞く話

作者: Ridge
掲載日:2026/05/11

 俺の名前は有布夜あるふや剣太瓜けんたうり。直近の記憶がなく、今どこにいるのか分からない。大学のサークルの皆で米田べいた先輩の別荘に遊びに行き、今日はもう風呂に入って寝ようとしていたところまでは覚えている。なぜこんな霧に包まれた暗いところにいるのか全く思い出せない。


 湿気に満ちた空気に、泥とカビの臭いが薄っすらとして居心地が悪い。足首までジャブジャブと水に浸かって、冷たい水を吸ったズボンが足にくっついて気持ち悪い。暗い上に霧が張っていて遠くが見えないが、反響音が聞こえないことから天井も壁もない開けた場所にいるらしいことは分かった。


 少し歩くと岩場を見つけ、その上に上がって腰を下ろし、靴と靴下を脱いで水気を切った。そこで少し休んでいると、霧の中にぼうっと明かりが見え、徐々に近づいてきて、人影が2つ見えるようになった。そしてついにその姿が見えるまで近くに来た。


 1人は黒いスーツを着て、杖をついてサングラスをした長い白髪の男、もう1人はその斜め後ろに礼装用の軍服を着てサーベルを腰に掛けた若い男がいた。


「誰だ?」

「私は死神だ。こっちの剣を持っているのはサポートの精霊。お前をあの世へ案内しに来た」


 有布夜は首を傾げた後、溜息を吐いて地面に座り込んだ。それはついて行く気はないという意志表示だった。


「こんなお爺さんの死神なんて嫌だ。美少女がいいなあ」

「はあ?貴様立場が分かっているのか?」


 精霊が前に出てガンを飛ばした。しかし有布夜は押されることなく飄々としていた。


「大体、俺には死んだ時の記憶がない。お前らが嘘ついていて、こっちこっちと言いながら崖下に突き落として殺そうとしてるんじゃないだろうな」

「貴様!なんだその態度は!死神様に無礼であろう!」

「ホホ、よいよい」

「しかし…」


 死神は手の平を精霊に向けて彼を制した。精霊は不満げだったが大人しく従い、一歩下がった。


「死神相手に恐れずに文句をつけるとは面白い。しかし悪いが、この体は本体の分身であり、本体の姿に準ずる。爺さんの姿で我慢してくれ」

「ちえっ」

「こいつ…!」


 有布夜は物怖じしない態度で悪態をつき、妖精は怒りで睨みつけた。しかし、睨まれようと有布夜には何でもなかった。


「死んだ時の記憶が無いのだったな。良かろう、直前の再現を見せてやる。それを見たら納得するだろう」

「あんたに何の得があるんだ?無理矢理連れていけばいいだろう?」

「私にとっては再現劇を見せるくらい造作もないことだ。見せて自分から歩かせる方が引っ張って連れて行くより楽なのだよ」

「ふーん…」

「それからお前に助手も付けよう。アイ、来い」


 虚空から少女が現れた。メイド服を着たいたいけな美少女だった。


「こいつを連れて行け。再現劇はアイがいれば見ることができる」

「この子は?」

「奴隷だ。お前にやる」

「よろしくお願いいたします」


 アイは体の前で手を重ねてお辞儀をした。


「奴隷なんて…そんなの駄目だ」

「ご主人様…」


 アイは指を組んでキュンとした表情で有布夜を眺めた。その有布夜は死神たちを睨みつけ、死神はふぅ…と息を吐いた。


「お前の好きにするがいい」

「よし、アイ。お前は所有物ではなく一人の人として扱う」

「私なんかを…感激ですご主人様」

「だから奴隷じゃなくて」

「いえ、ご主人様と呼ばせてください」

「分かったよ…でも奴隷じゃなくて雇い人と雇われ人な」

「はいっ、一生ついて行きます」


 アイは有布夜に深々と頭を下げた。


「では行こうか」


 死神が杖を地面にトンと突くと周囲が光に包まれた。


++++++++++++++++

----------


 山奥の緑に囲まれたコンクリート造りのシンプルな建物があった。その駐車場に車が2台停まり、車から若者たちが降りて伸びをしたり、荷物を下ろしたりしながら話をしていた。

 そこには有布夜の姿もあり、運転席から降りた彼は両腕を上に伸ばして大きな欠伸をした後、呼ばれて後ろに荷物を取りに行った。


----------

++++++++++++++++


 空間がビデオ停止したように止まり、有布夜たちと死神たちがその場に現れた。有布夜はその場に2人いて、再現劇の方の有布夜はピタッと停止していた。


「これは米田先輩の別荘…そうか、この後に死ぬというのか」

「そういうことだ。しっかり見るんだぞ」

「このように一時停止もできる。詳しく調べたい時は止めるとよい。これは証言や証拠に基づく再現劇であり、劇中人物はこちら側は見えないし、劇中人物に声をかけて行動を変えさせることもできない」

「つまりは3Dの動画を見ているようなものか」

「なんて適格な表現!さすがですご主人様!」


 死神は懐から懐中時計を出して時間を見た後、また顔を上げて有布夜の方を向いた。


「では私たちは暫く席を外そう。終わった頃にまた戻って来る。あまりにも遅いようなら力づくで連れて行く」

「これ以上死神様の手を煩わせるなよ」


 死神と精霊は姿を消し、有布夜とアイの2人だけがその場に残った。


「さて、まだ見終わってないからと延々と引き延ばすのも無理そうだし、さっさと見るか」

「はいっ、ご主人様!」


 2人は姿を消し、再現劇は再び動き出した。


++++++++++++++++

----------


 ゴールデンウィークのある日、大学のサークルの仲間たちが集まって山奥にある米田べいた先輩の別荘に遊びに来ていた。大学に入ったばかりの有布夜、同じく一年生の乱打らむだの両名とサークルの先輩たちとの親交を深めるためでもあった。全員が大部屋に案内され、各々窓の外や家具などを見ていた。


「お前ら汚すなよ、怒られるのは俺なんだから」


 3年生の米田は金持ちの息子で、この別荘も父親が買ったはいいものの、仕事の忙しさや行くのが面倒で使われず米田が父に大学の仲間で使いたいと言うと、あっさりと貸して貰えた。


「親父さんは全然来ないんだろ?元からこうだったと言えば汚しても分からなかったりしてな」


 同じく3年生で部長の四熊しぐま。落ち着きがあり、柔和な態度で冗談を言ってニコニコとしている。


「そうそう、あたしらがつけた汚れか不在時に付いたのか分からない。ってオイイイ、駄目に決まってんだろォォォ」


 同じく3年生の河童かっぱ。このサークルの紅一点。突然男っぽい喋り方をすることがある。

 四熊と河童の2人は付き合っており、お互いを下の名前である太郎、花子と呼ぶ。


「それにしても晴れて良かったですね。予定通り釣りできそうです」


 2年生の岩間がんま。研究室配属はまだだが、高校時代に環境改善の自由研究で賞を取っていて、大学へは推薦で入学している。ファッションは奇抜だが性格は大人しく、ぼーっとしていることが多い。このチグハグさは天才肌というものだろうか。


「神よ、感謝します」


 同じく2年生の照多でるた。アメリカ帰りで流暢な英語が使える。その代わりに日本語のアクセントが少し変。とても信心深く終末は間もなく訪れると考えている。


「早速行きますか」


 1年生の乱打らむだ。手際がよく、皆がやりたがらないことも率先してやり、サークルに入ったばかりだが先輩たちに色々と任されている。


「俺もすぐ出られます」


 そして1年生の有布夜あるふや。どこにでもいる普通の大学生。周囲に比べて地味な人物で、褒められることや認められることに慣れていない。


 昔、この部の3年生にはもう一人、美結みゅうという人がいたようだが、不祥事で大学を退学になっているため、これで全員だ。


「まあそう慌てるな。個室に荷物を置いてからだ。お前らは待ってろ」


 米田は4つの鍵を出してぶら下げた。


「俺も見に行っていいですか?」

「別に構わないが、乱打たち1年はこの部屋、俺は隣の部屋だぞ」

「見るだけです。どんな部屋か気になりますから」

「あ、俺も気になります」

「見るだけだからな」


 この建物には鍵付きの個室が2階に4部屋あり、四熊、河童、岩間、照多の4人がそれぞれ泊る。米田は1階の個室、乱打と有布夜は1階の大部屋に泊る。


 4人は米田の案内でそれぞれ個室に荷物を置き、乱打と有布夜もついていって部屋を見た。部屋には外に檻のついた小さな窓が一つ、木の床の上に布団を敷くすのこがあり、部屋の隅に布団が畳まれて置かれていた。他には天井の照明とそのボタン、コンセントの穴くらいで他には何もないシンプルな部屋だ。


 その後、全員準備を終えて近くの川に釣りに出て、その場で釣った魚を焼いて食べ、シメに沸かしたお湯で作ったカップ麺を食べた。そして日が沈んだ頃に別荘に戻って来た。普段の生活とは異なる自然の中で、世界中のニュースやトレンドとも無縁の空間で楽しいひと時を過ごした。



 別荘に戻り、大部屋で囲んで座り、お茶やジュースを飲んで過ごした。彼らはこの山奥で急性アルコール中毒になるリスクを考えたら、酒はやめておこうと持って来ていない。酒を全く飲まないわけではなく、普段住んでいる街中では飲むこともある。このような集まって遊ぶ機会に酒無しでも平気なのは、上の世代からはしばしば驚かれる。


 皆がうとうととしていると、もう風呂に入って寝ようということになった。米田と乱打、有布夜は風呂の準備に取り掛かり、他の人たちは個室に行って着替えの準備をした。風呂は電気で温水を作るタイプで、蛇口を捻るだけでお湯が出る簡単なもの。何分かしてお湯が溜まるまで待つ。米田たちもそれぞれ部屋に行って着替えの準備をした。


 そしてお湯が溜まった頃、乱打は風呂を見に行き、お湯が溜まっているのを確認して米田の部屋を訪れてノックをしたが返答がない。いないのかと思い、大部屋に戻って来た。


「有布夜、米田さん見なかったか?」

「いや、見てない。自分の部屋じゃないの?」

「ノックしたけど反応無くて」

「寝てるんじゃないか?部屋の中見てないのか?」

「勝手に入るのは良くないと思って。でもこっちにいないなら部屋の中かもな。一緒に来てくれないか?」

「いいけどなぜ?」

「もし部屋の中にいなくて俺のいない間に勝手に開けたのかと怒られても面倒だ。起こしに来たんですという証人になれるし、2人なら監視の目があるから変なことしてなかったかもと少し安心感を与えられる」

「ふうん、色々考えてるんだな。いいよ」


 有布夜はソファから起き上がって乱打と一緒に部屋を出て廊下を通って横の米田の部屋に行った。そしてノックをしたがやはり返事が無かった。


「米田さん、お風呂湧きましたよ。いないんですか?」


 返事はなく、乱打と有布夜は顔を見合わせ、頷いた。


「入りますよ」


 有布夜が扉を開けて中に入ると明かりが点いたまま、布団の上で米田が横向きに寝ていた。


「やっぱり寝てたのか。有布夜、どうする?起こす?」

「一番風呂と言ってたからな。寝てたから後にしたと言ったらどうして起こしてくれなかったんだって言われそう」

「じゃあ起こすか。米田さん、起きてください」


 有布夜はしゃがんで米田を揺さぶると何か違和感があり、仰向けに起こすと口から泡を吹いていた。


「米田さん?」

「まさか!」


 乱打もしゃがんで米田の鼻と口の上に手を浮かべ、呼吸を確かめるも呼吸が確認されず、首の脈を取ったが既に止まっていた。


「死んでる…」

「そんな!」


 有布夜は米田を揺さぶり、脈を確認したが確かに停止していた。死んでいる。体はまだ暖かく、死後そんなに時間は経っていないようだ。


----------

++++++++++++++++


 再現劇の再生が停止し、有布夜とアイが現れた。


「ご主人様、お悔み申し上げます」

「ああ。付き合いは短い人だけど心が痛む」

「なんてお優しい。さすがですご主人様」

「だけど悲しんでばかりはいられない。時間も限られているし、確かめておかないと」


 有布夜は米田を近くで観察した。


「外傷は見当たらない。泡を吹いているところから見るに窒息か毒殺か?何らかの病気で倒れたのか、毒殺されたのかまだ分からないな」

「確かにそうですね。決めつけてしまわない慎重さ、さすがですご主人様」

「一応他殺の線でも調べてみよう」

「はいっ」


 有布夜は部屋を見回した。争った形跡はない。窓は閉まっていて、窓の外には蔦がついていて、ここから出入りした形跡はない。廊下に繋がるドアに鍵は無く、誰でも出入りができる。


 この部屋と大部屋の間に2階への階段がある。つまり、大部屋に有布夜がいても前を通らないから気付かずに米田の部屋に入れる。2階の誰にでも可能。この部屋の斜め向かいに浴場がある。浴場に行き、戻って来た乱打にも可能。つまり、全員に殺害が可能ということだ。現時点で全然絞り切れない。


「ここで調べたいことは済んだ。再生を続けよう」

「了解です」


 有布夜とアイは姿を消し、再現劇は再び動き出した。


++++++++++++++++

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「皆を呼んでくる。有布夜は待っててくれ」

「あ、ああ…」


 乱打は急いで部屋を出て階段を昇って行った。


「大変です!降りてきてください!」


 乱打は2階廊下で呼びかけ、四熊と河童はそれぞれの部屋から出て来た。


「米田さんが倒れていて…」

「何?」

「こっちです。あ、照多さん、」


 照多も部屋から出て来て、乱打は手招きし、一同は一階に降りて米田の部屋に入り、状況を確認した。


「嘘…だろ…」


 四熊は力が抜けて現実感の無さに脳がフリーズし、見落としているんじゃないかと何度も確かめるように米田の腕や首に触れた。河童もまだ現実を受け止められず、どうしたらいいのか混乱して何もできずにいた。


「岩間さんは?」

「まだ来てない…聞こえてなかったのか?」


 有布夜の問いに照多は嫌な予感で緊張した様子で答えた。


「まさか…」


 河童の血の気が引き、ふらついたところを四熊が後ろから両手で肩を掴んで支えた。


「大丈夫。きっと寝てるんだ」

「そう…ね」


 河童は四熊に体を預けながら呼吸を整え始めた。そして乱打が提案をした。


「僕が岩間さんを呼んで来ます。皆さんはここに」

「待て、一人じゃ危険だ。僕も行こう」


 照多が名乗りを上げ、乱打は頷いた。


「有布夜さん、四熊さんと河童さんを頼みます」


 乱打と照多の2人は部屋を出て行った。



 乱打と照多は階段を上り、廊下を走って岩間の部屋に来て扉をドンドンと叩いた。


「岩間さん!岩間さん!返事をしてください!岩間さん!」


 ドンドンと叩くが反応は無く、ドアノブを回そうにも鍵がかかっていた。


 同刻、岩間の部屋内部。

 岩間は虚ろな目をしてレジャーナイフを自身の首に押し当てていた。岩間には怨霊が憑りつき、意志を奪って死へと誘っている。岩間はナイフをシャッと引き、首から血が噴き出して倒れこんだ。


 部屋の外では2人が何度も呼びかけていたが、返答が無く、焦燥の表情を浮かべていた。


「まさか…」

「こうなったら仕方ない。扉を破壊しましょう」


 照多は頷き、2人はタイミングを合わせて体当たりし、大きな音を立てて扉を壊した。すぐに部屋の中に入り、血だまりを見つけて椅子の裏に回りこむと、血を流して倒れている岩間を見つけた。そして2人は岩間に駆け寄って血まみれになりながら止血を図った。


 一階にいる有布夜たちにも扉を破る音が聞こえた。


「なんだ今の音は?」

「何かあったのかもしれない。様子を見てきます」


 有布夜は四熊と河童にそう伝え、部屋を出て岩間の部屋へ向かった。

 階段と廊下には特に何もなく、岩間の部屋に入ると血まみれの岩間とそのすぐ隣に座り込んでいる乱打と照多がいた。


「どうしたんだ?」

「駄目だ…間に合わなかった…」

「僕たちが来た時にはもう…。後少し早ければ…」


 有布夜がしゃがんで岩間の脈をとったが、既に死んでいた。首元に刃物による傷跡があり、死因は出血多量による失血死と思われる。体はまだ暖かく死後間もないことが伺える。後少し早ければ止められたかもしれない。


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 また再現劇の再生が停止し、有布夜とアイが現れた。


「ご主人様、何かおかしなことでも?」

「岩間さんが自殺する場面が再生された。しかし、なぜ部屋の中の様子が分かるんだ?」

「言われてみれば…そこに気づくとはご主人様はすごいです。でもなぜなのでしょう?」

「考えられることは、これはあくまで再現劇だからだ。きっとこうなっていたのだろうという描写がされる。ドキュメンタリーや時代劇などと同じ」

「なるほど!それなら納得です。さすがですご主人様」

「誰も見ていない部分…いや劇中の俺が見ていない部分は想像で出来ているということか…。これは証言と証拠に基づく再現と言っていたな。失血死の証拠、つまりその死体はあるのだろう」

「さすがご主人様。お察しの通りです。そう記録されてます」

「自殺というのは予想であり、実際には他殺かもしれない。調べてみよう」

「はいっ」


 窓は小さく人が出入りできるものではない。窓の外には檻もあり、唯一の出入口は廊下と繋がる扉。しかし、鍵がかかっていた。入るためには扉を破壊する必要があった。扉の蝶番が壊れて外れ、施錠時の棒は曲がっていて、その棒が出ていた部分の木の板で出来た壁の一部が破れている。間違いなく、扉を押し破ってできたものだ。


「部屋の中の扉ということで、玄関のように頑丈な作りではないみたいです」


 アイは壁が破れてハの字になっている部分をツンツンとした。


「ああ。だが押し破ったのは最後のようだ。それで音に気付いた。それまでの間密室だった。…ひとまずおいて次に行こう」

「了解です」


 2人は姿を消し、再現劇は再び動き出した。


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 有布夜たちが周囲を調べていると、照多と乱打は廊下で何かを見つけて何かに憑かれたように歩いて行った。階段を下りて踊り場を抜けた先は山の中に繋がっていて、2人は崖の前に出た。そして山に通じるワープホールの出入口は閉じ、元の階段に戻った。


「照多さん、岩間さんは…。…あれ?照多さん?乱打?」


 有布夜が顔を上げると誰もおらず、耳を澄ましても聞こえるのは外から聞こえる鈴虫の鳴く声だけだった。


 照多は虚ろな表情のまま崖に進み、足を踏み外して落下し、ぐちゃと潰れた。即死だった。

 乱打は崖の前でハッと我に返り、崖から離れて森に入った。しかし背丈の高い木に夜の山で暗く、場所がよく分からなかった。虫や鳥や獣の鳴き声が恐ろしく聞こえ、肌には蔦や棘が引っかかる不快感に包まれていた。そこに滝の音が聞こえ、釣りをした場所に近いと思い、歩いて行くと足を滑らせ、川に落ちた。川は深く、着衣状態の重い体では泳げずに溺死して、下流へと流れて行った。


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 再生が止まり、有布夜とアイが出現した。


「照多さんは…即死か。この高さからだ。生きているはずがない」


 有布夜は崖下を一目見て、無残な死体に気持ち悪くなって目を逸らして後ろずさって座り込んだ。血の気が引いて顔が青白くなっていた。


「ご主人様、大丈夫ですか?」

「ああ。でも少し休む」

「私がずっとお供します。ご安心を」

「ああ、ありがとう」

「勿体ないお言葉…」


 有布夜は一休みして立ち上がった。一休みをして血の気が戻り顔色がよくなっていた。


「もう大丈夫だ。乱打の方に行こう」

「はい」


 2人は姿を消して、川の上に出た。停止した川の上を歩き、沈んで川の途中の岩にひっかかっている乱打を調べた。


「これで生きていると思うのは無茶な話だな…」

「そうですね…」

「しかし、どうして2人は外に?」

「神隠しの類じゃないでしょうか?山ならありえます」

「あくまで再現劇だろう。誰かが連れ出した可能性もある」

「さすがはご主人様です。私はもう人ではない者の犯行としか…。申し訳ありません、こんな従者で」

「いや、君が悪いわけではない。君が合っているかもしれない。次に行こうか」

「はい」


 2人の姿が消え、再生が再開した。


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 有布夜が四熊と河童は少し落ち着きを取り戻してきたが、同時に思い当たることが頭に浮かんできた。


「まさか美結みゅうが化けて出て…部員たちを襲ってるんじゃ…」

「馬鹿なこと言うなよ。あいつは捕まって塀の中じゃないのか?」

「罰金を払って実家に帰ったと聞いたわ。そして去年の年末に自殺したとも」

「何だって?…いや、それでもあいつが死んだのは半年近く前だろ。今更なんて変だろ?」

「そ、そうね…」


 そうは言っても河童は怖くなり、四熊に抱き着いた。四熊は腕を回して抱きしめて安心感を与えた。


「大丈夫、花子は僕が守る」

「太郎…」

「とにかくここを出よう。少し降りて行った道路では電波が入る。警察を呼ぶんだ」


 2人は廊下に出て玄関の方へ向かった。

 しかし玄関の前には長い髪で顔を隠した女の幽霊が現れて立ちふさがり、腕をゆっくりと上げた。


「危ない!」


 四熊は河童を抱えて庇った。かまいたちが起こり、四熊の背中と足の後ろが斬りつけられて血が噴き出した。


「太郎!」

「こっちは駄目だ…大部屋の窓から外へ…」


 四熊は河童を突き飛ばした。河童は尻餅をついて、後ずさりをした。


「お前の相手は僕だ!」


 四熊は玄関の方に向き直り、九字を切った。幽霊は体が斬りつけられ、後ろにのけぞった。


「僕はこの身に代えても愛する者を守り抜く」


 四熊は拳に力を込めて殴りかかろうとしたが、傷が深く、力が入らずに倒れんこんだ。しかし、気迫に押されたのか幽霊は姿を消した。


「太郎!」

「逃げ…ろ…」

「できないよ!」


 河童は立ち上がり、四熊の方へ行こうとしたが、背後から現れた幽霊に斬りつけられ、首と背中から血を噴き出してその場に倒れた。


 有布夜は敵に警戒して足音を殺して階段を下りてくると、廊下に血まみれで倒れている2人を発見した。


「四熊さん!河童さん!」


 有布夜はまず近くの河童に駆け寄って見たが、脈は止まって死亡が確認された。次に四熊を見たが、やはりこちらも死亡していた。


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 再生が止まり、有布夜とアイは四熊の近くに現れて確認した。玄関は開いておらず、2人とも玄関に向かう方向で倒れていた。


「うっ…背中と足に深い切り傷。こっちは首から背中にかけての切り傷。2人共出血多量で死亡か…」

「凶器は見当たりませんね。かまいたちでしたから」

「凶器がここに無いからといって、使われなかったとは限らない」

「なるほど。これはあくまで再現ですからね。さすがですご主人様」

「まあ、本当に幽霊やかまいたちの仕業ということもありうる…」


 もしこの建物内で電波が入れば籠城していれば凌げたか?いや、幽霊相手に通じるのかどうか。


「次に行こう」

「了解です」


 2人は姿を消して再生が再開した。


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 有布夜は廊下を見渡し、大部屋や風呂場、米田の部屋を見て回ったが照多と乱打を見つけられなかった。


「外か?」


 玄関を見ると2人分の靴が無かった。誰がどの靴か覚えていないが、数からいって照多と乱打のものだろう。

 有布夜は外に出ると、周囲に町の明かりはなく、星の見える空だった。別荘のすぐ横の林に人影のようなものが見えた。


「乱打か?」


 警戒しながら近づくも、人影はぼやっと消えてしまった。


「ぐあっ…」


 直後、有布夜は縄のようなもので首を絞められた。意識が薄れていくと同時に目の前に女の幽霊がいて、首を絞めているのが見えてきた。


「こ、こいつがみんなを…」


 有布夜はこれ以上、人を殺させてたまるかと強く願い、危機的な状況下で力が覚醒した。残り僅かな命を一瞬で燃やし尽くし、迸る生者のエネルギーによって幽霊は腕が焼けて離れ、みるみるうちに炎が体を包んで消滅した。これでこれ以上、この幽霊に襲われて命を失う人はいなくなった。

 そして有布夜は死亡し、直近の記憶を失ったのだった。


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「俺はこうやって死んだんだな…」

「ご主人様…ご立派でした…私はご主人様を誇りに思います」


 有布夜は、劇中の倒れている有布夜の状況を確認した。死亡したのは別荘の外、近くの林の中。草で覆われて倒れた姿は周囲から見えない。首にロープのようなもので締められた跡がある。絞殺だ。


 有布夜が立ち上がって、林を出て夜空を眺めていると死神と精霊が再び現れた。


「さて、納得できたかな?」

「ああ。サークルの仲間たちはもう手遅れだったけど、悪霊は倒せたのがせめてものの救いだ」

「君も現世に留まり続ければ悪霊化する可能性がある。さあ、あの世へと旅立つのだ」

「…分かった。さようなら、現世」


 有布夜は死神たちと共に姿を消し、最初の場所に戻って来た。少し歩いた先の船着き場で船に乗り、霧の向こうへと消えていった。





 精霊が別荘の前の現れ、空間に掌を当てるとパリィンとガラスが割れるような音がして、真実の世界が姿を現した。

 幻想のヴェールは剥がれた。ここからが真実の物語。


 夜、風呂が沸くのを待っている間に大部屋で有布夜は乱打に呼ばれた。


「有布夜、秘密の話があるんだ。外で話そう」

「ここじゃ駄目なのか?」

「どうしても駄目だ、外で話そう」

「まあいいけど…」


 有布夜は乱打について行って外に出て林の側に来た。


「この辺りでいいか。あそこを見てくれ、ほら、あの屋根の先」


 乱打は別荘の屋根の先を指さした。


「別に何も…ぐあっ!」


 有布夜は後ろから乱打に縄で首を絞められ、間もなく息絶えた。乱打は有布夜を引っ張って林の草むらに隠し、別荘に戻って来た。


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 乱打は有布夜に恨みは無いが、同室のため殺人計画の邪魔になって殺した。乱打はこれが致し方のない犠牲と考えた。有布夜は巻き添えをくらって死んだ形だ。


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 乱打は米田の部屋を訪れ、倒れている米田の呼吸と脈を確認した。呼吸は止まり、脈は止まっていた。確認後、毒の入った瓶を米田の鞄に入れて開いたままにして瓶が見えるようにして部屋を出た。


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 この少し前、それぞれが風呂に入る準備で別れた後、乱打は米田の部屋に忘れ物を届けてその際にお茶の入ったカップの中に毒を入れた。米田は毒を飲んで死亡し、その毒は米田が自分で持ち込んだように鞄に入れた。

 なぜ鞄に毒の瓶を入れるようなことをしたのか、その理由は後ほど。


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 乱打は四熊の部屋をノックした。


「四熊さん、来てください。騒ぎにならないように内密に」

「何だ?どうした?」


 ドアを開けると四熊と河童が部屋の中にいた。1人ずつのつもりだったが、予定を変更して2人共連れて一階に降りて来た。そして米田の死を見せた。


「米田…どうして…」

「鞄には毒が、これじゃまるで…」


 2人は混乱してどうすればいいか分からないようだった。


「俺、2年生の先輩たちも呼んできます。待っていてください」

「あ、ああ…」


 乱打はそう言い残して上に向かった。

 2人からすれば、先輩として頼られて呼ばれたのに頼りにならず、情けなくなった。



 乱打は照多の部屋をノックし、開けてもらった。


「照多さん、準備は整いました」

「よし。大丈夫、神は我らの側についている。神のご加護を」


 照多は声に出して自分を奮い立たせ、乱打と共に岩間の部屋の扉を押し破った。そして照多は寝ている岩間の首をナイフで切り裂いて殺害した。照多は返り血を浴び、後ろに下がって血を拭った。乱打にも少し血がかかっていた。


「下を空けてきます。少々お待ちを」

「分かった。神のご加護を」


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 鍵はかかっていた。しかし岩間は密室で殺されたわけではない。照多と乱打の口裏合わせにより、再現劇では順番が前後している。すなわち、劇中では鍵のかかった部屋で死亡していたが、鍵を破壊して部屋の中にはいったというように描写されたが、現実では鍵を破壊して中に入って殺害した。死後まもなくで体温が残っているのもそのためだ。


 照多が岩間を殺しにかかる理由。それは照多の信仰によるものである。彼は世界が終末に向かっており、世界が滅んだ後に敬虔な信徒である自分は救われると信じている。


 世界が滅びることが彼にとって何より重要であり、環境破壊は滅びの予兆で神の意志と考えている。その環境破壊を止めかねない岩間は神の邪魔をする悪であり、排除すべきものだった。その宗教においては殺人は原則禁止だが、善と悪の戦いにおいて例外的に肯定される。


 とはいえ、人間の本能的に殺人には抵抗があり、乱打の協力を得て実現できた形だ。


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 乱打は下に戻って来て、物置から鉈を取り出した。四熊と河童は廊下に出ていたが、服に血が付き、鉈を持った乱打を見て危険を察知した。


「そうか…あんた、美結の恋人か何かなのね…」


 河童は米田の鞄にあった毒の瓶や、殺意を向けている乱打を見て、美結を罠に嵌めた事件の復讐だと考えた。血の気が引いてふらつき、四熊に掴まった。


「わああああ」


 四熊は河童の手を振り払い、玄関に向かって走った。しかし動揺して足がひっかかって転び、痛みに悶えていた。河童は足がすくんで動けず、その場に座りこみ、手を伸ばした。


「ちょっと待てェェェェ!彼が見捨てて逃げてくんだけどォォォォ!おかしいよね?普通彼女守るよね…ェ…?」


 河童の背後から乱打は鉈を振り下ろし、首から背中に向けた切り裂いた。河童は即死こそしなかったが、血がなくなって力が抜けて行き、その場に突っ伏して意識が遠のいていき、死亡した。


 四熊は何とか立ち上がり、玄関に逃げようとするが乱打に追いつかれ、背中と足を斬りつけられてその場に倒れた。腕の力で這いずって玄関に向かおうとするが、出血多量で意識が遠のき、死亡した。


 照多が降りてきて廊下を見て驚き、乱打に声をかけた。


「う…覚悟はしていたが…やはり実際に見ると…」

「今更ですか?」

「いや、すまん。どちらにせよ信心のない彼らは滅びの後に復活できない。結局救われないのだから今死のうが些細なことだ」


 照多は自分に言い聞かせるように声に出し、死体の横を通って乱打と共に玄関から外に出た。証拠品の鉈とナイフを川に捨てるため、懐中電灯で照らしながら川に向かう途中の崖で、乱打に突き落とされて転落死した。

 そして乱打は一人そのまま進み、滝の上にやってきた。鉈を投げ捨てるとその高さと滝の音で落下音が聞こえなかった。


「姉さん、仇は討ったよ。でも俺は人殺しの俺を許せない。俺自身を罰しないと駄目だ。さようなら」


 乱打は滝壺に身を投げ、水流に押されて溺死した。


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 再現劇中の有布夜は四熊と河童の死後しか見ていない。見ていない部分には脚色が加えられていたが、現実では四熊は河童を庇うことはせず逃げ出している。四熊が玄関に近い方で倒れていたのはそのため。また、2人とも逃げようとしたところを背後から斬りつけられている。


 さらに有布夜は照多と乱打の死の瞬間を見ていない。後日、転落死した照多の死体と溺死した乱打の死体が見つかったことから、再現劇はそれに基づいて演出している。


 劇中の有布夜の最期は、実際には最初に死んでいるが、それを知る者がいないため、再現劇では最後に死亡という形に出来た。彼の最期以外、彼の目で見たものは確かな情報であり、見ていない部分では嘘が入り混じった劇が作られた。



 乱打の動機は姉の敵討ち。ではなぜ対象が彼らなのか。

 時は遡り3月下旬。乱打は大学に入学し、アパートに引っ越してきていた。その年は比較的早く春の陽気に包まれていた。


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 米田、四熊、岩間、河童の4人が米田の部屋に集まって酒を飲んでいた。皆アルコールが回り、口が軽くなっていた。暑くなって窓を開け、酔っ払いの笑い声が外へ漏れていた。


「照多の奴むかつくなあ。何で部活辞めないんだか」

「あいつキモいのよ。戦争を嬉しそうに世界の終わりだ、預言成就の日が近いとニヤニヤしちゃって。頭おかしいわ」

「やめろと遠まわしに言っても分かんないかね。分かんねえだろうな」

「美結の時みたいに麻薬持たせて通報しちまおうか」

「飲み物に麻薬を混ぜて、鞄に麻薬を入れて通報ね。いいじゃない?」


 その事件により美結は逮捕され、退学処分となり、未来が閉ざされたことに絶望して自殺した。


「あのうぜえ奴が消えたかと思えば今度はキモい奴が来るとは運がねえなあ」

「照多はアメリカ帰りだし、麻薬持っててもやっぱりなってなるから俺らは大して怪しまれないだろ」

「ははっ、違いねえ」

「麻薬は岩間が持ってきたんだよな。また取って来てくれや」

「偶然旅行先で会ったラッパーから手に入れたんですよ…。それっきりでもうありません」


 岩間が嘘をついている様子はなく、3人はその言葉を信用した。以前にも聞いていたが念のためにもう一度聞いたからという理由もある。

 

「もう一回貰いにいけよ」

「どこにいるかも知らないから無理だ。そんなことしたら足がつく」

「ちえっ…あーあ、早く死んでくれねえかなあ」

「もうあんな奴忘れて飲もうぜ。酒が不味くなる」

「そうだな」


 4人は酒を飲み、騒ぎ続け、いつの間にか眠りに就いていた。


 乱打は同じアパートに住んでいた乱打は姉の自殺の原因を偶然聞き、4人に殺意を抱いた。姉から罠に嵌められたと聞いており、乱打自身も姉が麻薬に手を出すはずがないと信じていたため、パズルが綺麗に揃ったように納得がいった。

 そして乱打は4人の殺人を企てると共に、彼らに照多のことも調べ、接触し、ついには彼の協力を取り付けた。


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 その後、光に溢れた庭園で精霊たちが集まって休んでいた。


「しかし死神様は非情な方だ。嘘で騙してあの世へ連れて行くとは」

「そうかしら?私はむしろ優しい方だと思うわ」

「優しい?どこが?」

「だって作り話によって心残りを解消してあげたのだもの。小説や音楽で気分を変えることと大して変わらないわ」

「でもいかにも真実という体でやっていたじゃないか、小説や音楽のように作り物と分かるわけでもなく」

「そうしなければ未練が残りかねないもの。それにそんなに真偽が重要かしら?死ぬ寸前の人に、あなたが頑張ったおかげで多くの命が救われましたと言えば、満足して逝けるでしょう?それが例え嘘や誇張だとしても。欲しい言葉が真実の言葉とは限らない」

「そう言われるとそんな気もするけど…」


 精霊たちの中でも考え方の違いがあり、見方によって死神が優しくも非情にも見えていた。


「まあいい、私たちは死神様をサポートするだけ。どう思おうとやることは変わらない」


 精霊たちは次の呼び出しに応じて飛び去った。彼らの日常は変わらず続いて行く。


終わり

幻と現実で全然違うのを書いてみたかったので。ミステリーというにはアンフェアなのでとりあえずローファンタジーにします。異世界転移のような、そうでもないような…とりあえず異世界転移タグは無しで。

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