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全員が俺だ ~6666回転生した記憶過積載者~  作者: 雨音トキ


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第9章 忍者記憶で情報収集

数日後の夕方。

リオンは村の酒場の前を通りかかった。

扉が開いている。

中から声が聞こえる。

冒険者たちの会話。

リオンは立ち止まった。

聞き耳を立てる。

「聞いたか? 帝国軍が辺境の村を次々占拠してるらしい」

「マジかよ。ここも危ないんじゃないか?」

「わからん。だが、近づいてるのは確かだ」

リオンは息を呑んだ。

帝国軍。

村が狙われる可能性がある。

もっと詳しく知る必要がある。

リオンは家に戻った。

自分の部屋に入る。

ノートを開く。

「情報収集が必要だ」

忍者カゲロウの記憶。

偵察と諜報の専門家。

あの人格なら、帝国軍の動きを探れるかもしれない。

でも、夜に動く必要がある。

リオンは夕食を済ませた。

母と父は何も言わない。

いつもより静かな食卓。

食後、リオンは自分の部屋に戻った。

ベッドに入る。

寝たふりをする。

両親が寝静まるのを待つ。

時間が経つ。

家が静かになる。

リオンはベッドから起き上がった。

窓を開ける。

月明かりが差し込む。

「行くぞ」

窓から外に出る。

音を立てないように着地する。

村を出る。

森の方向へ。

影の中を歩く。

村の外れまで来た。

深呼吸。

「隠れよ」

視界が変わる。

世界が暗く見える。

だが、輪郭ははっきりしている。

忍者カゲロウが降臨した。

カゲロウが周囲を確認する。

「誰もいないな」

低い声。

体が軽くなる。

影に溶け込むような感覚。

カゲロウが走り出す。

速い。

3歳児の体とは思えない速度。

木々の間を縫うように進む。

枝を踏んでも音がしない。

完璧な忍び足。

10分ほど走ると、明かりが見えた。

野営地。

カゲロウが立ち止まる。

木の陰に隠れる。

野営地を観察する。

テントが5つ。

焚き火が燃えている。

男たちが座っている。

鎧を着ている。

帝国軍の紋章。

「帝国軍の斥候か」

カゲロウがつぶやく。

リオンの内側で、自我が反応する。

『やっぱり……村を狙ってる……』

カゲロウが木から木へ移動する。

音もなく。

影のように。

焚き火の近くまで接近する。

会話が聞こえる。

「明後日には北の村を落とす」

「抵抗はあるか?」

「ないだろ。辺境の村だ。兵もいない」

「次はこの南の村だな」

リオンの村のことだ。

『3日後……』

カゲロウが記憶する。

敵の人数、装備、配置。

全てを頭に叩き込む。

「情報は十分だ。戻るぞ」

カゲロウが立ち去ろうとした瞬間。

枝が折れる音。

カゲロウが踏んだ。

「誰だ!」

兵士が立ち上がる。

剣を抜く。

「そこにいるのは誰だ! 出てこい!」

カゲロウが舌打ちする。

「しまった」

兵士が5人、武器を構えて近づいてくる。

カゲロウが走る。

全速力で。

「待て!」

兵士が追いかける。

だがカゲロウの方が速い。

木々の間を駆け抜ける。

跳ぶ。

転がる。

影に紛れる。

兵士が見失う。

「どこだ!」

「見失った!」

「捜せ!」

カゲロウが木の上に隠れている。

息を殺す。

兵士が下を通り過ぎる。

「いない……」

「諦めるか」

「ああ。子供の悪戯だろう」

兵士が野営地に戻っていく。

カゲロウが木から降りる。

「危なかった」

リオンの内側で、自我が安堵する。

『助かった……』

カゲロウが村に向かって走る。

30分後、村に到着。

家の裏に回る。

窓から部屋に戻る。

リオンが呪文を唱える。

「我が名においてリオンに戻れ」

カゲロウが引いていく。

「また呼んでくれ」

視界が元に戻る。

リオンの体が元に戻る。

疲労が襲ってくる。

「はあ……はあ……」

ベッドに倒れ込む。

でも、情報は得た。

帝国軍が来る。

3日以内に。

村を守らないと。

リオンは起き上がった。

まだ夜中。

でも、父に報告しないと。

部屋を出る。

父の寝室に向かう。

ドアをノックする。

「父さん」

中から声。

「リオン? どうした?」

「大事な話がある」

ドアが開く。

父が出てくる。心配そうな顔。

「何だ?」

「帝国軍が来る。3日以内だ」

父が目を見開く。

「何? どうして知ってる?」

「偵察した。野営地を見た。斥候が5人。明後日、北の村を落とす。その次がこの村だ」

父が信じられないという顔をする。

「リオン……お前、夜に外に……」

「ごめん。でも、本当だ。信じて」

父が黙った。

リオンの目を見る。

真剣な目。

嘘をついている目じゃない。

父がため息をつく。

「わかった。明日、村長に報告する。村人会議を開く」

「ありがとう」

父が頭を撫でる。

「無茶をするな。心配するだろう」

「ごめん」

「もう寝ろ」

リオンは部屋に戻った。

ベッドに入る。

目を閉じる。

「3日後……」

村を守る。

そのために、また戦う必要があるかもしれない。

でも、今度は暴走しない。

制御できる。

リオンは決意を新たにした。

眠りに落ちる前、つぶやいた。

「村を……守る……」

深い眠りに落ちた。


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