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全員が俺だ ~6666回転生した記憶過積載者~  作者: 雨音トキ


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第14章 人格会議

翌日。

リオンは部屋で一人座っていた。

ベッドの上。

あぐらをかく。

目を閉じる。

「話し合わないと……」

グレイの言葉が頭に残っている。

『俺たちにも人生がある』

その通りかもしれない。

リオンは深呼吸した。

「精神世界に入る」

意識を内側に向ける。

深く、深く。

暗闇が広がる。

その奥に、光が見える。

リオンは光に向かって進む。

やがて、視界が開ける。

目の前に、巨大な円形劇場。

古代ローマの闘技場のような形。

だが、観客席がある。

無数の席。

そして、その全てに人が座っている。

6666人。

全員が、リオンを見ている。

リオンは息を呑んだ。

「これが……」

精神世界の中心。

6666人格が集まる場所。

リオンは劇場の中央に立っている。

戦士アレクが立ち上がった。

「よく来た、リオン」

低い声。

力強い。

リオンは頷いた。

「アレク……」

商人グレイも立ち上がる。

「話し合いが必要だ」

冷静な声。

計算高い目つき。

リオンは周囲を見渡した。

原始人ゴル。

毛皮を着て、槍を持っている。

詐欺師の男。

笑みを浮かべている。

毒殺者セリア。

黒いローブ。

治療師アンナ。

白い服。優しい顔。

学者ルシアン。

眼鏡をかけ、本を持っている。

暗殺者。

黒い影のような姿。

忍者カゲロウ。

静かに座っている。

魔法使いリズ。

杖を持っている。

6666人。

全員が、それぞれの姿で座っている。

リオンは圧倒された。

「こんなに……」

戦士アレクが前に出る。

「驚くな。俺たちは全員、お前の一部だ」

リオンは頷いた。

「わかってる……」

商人グレイが言う。

「だが、お前は理解していない。俺たちはお前の道具じゃない」

リオンが反論しようとする。

「でも……」

アレクが手を上げる。

「まず、聞け。俺たちの話を」

リオンは黙った。

アレクが言う。

「お前は俺たちの器に過ぎない」

リオンが驚く。

「器……?」

アレクが頷く。

「そうだ。お前は6666回の人生を背負っている。その器だ。だが、器は中身がなければ空っぽだ。俺たちがいるから、お前は強い」

リオンは何も言えない。

確かに。

6666人がいなければ、リオンはただの3歳児だ。

治療師アンナが立ち上がる。

「でも、協力したい者もいるわ」

優しい声。

「私は癒したい。人を助けたい。あなたと一緒に」

リオンが見る。

アンナが微笑んでいる。

「無理に支配しないで。お願いして。私は喜んで協力する」

リオンは少し安堵した。

「ありがとう……」

だが、暗殺者が立ち上がる。

黒い影。

「俺は違う」

低い、冷たい声。

「殺したい衝動が抑えられない。お前が呼ばなくても、出たくなる」

リオンが身構える。

「お前は……危険だ……」

暗殺者が笑う。

「そうだ。だが、俺もお前の一部だ。消せない」

リオンは拳を握った。

学者ルシアンが立ち上がる。

「私は提案がある」

眼鏡を直す。

「制御法を一緒に研究しよう。私の知識を使えば、もっと効率的な方法が見つかるはずだ」

リオンが頷く。

「それは……助かる……」

ルシアンが微笑む。

「なら、協力しよう。命令じゃなく、協力だ」

次々と人格が立ち上がる。

農民トム。

「俺は焦らず、ゆっくりやればいいと思う」

鍛冶師。

「武器を作りたい」

船乗り。

「海を見たい」

詐欺師。

「嘘をつきたい」

王。

「支配したい」

6666人が、それぞれの願いを口にする。

リオンは圧倒される。

「みんな……それぞれの願いが……」

声が重なり合う。

「俺を出せ」

「私も出して」

「俺の番だ」

「待て、俺が先だ」

騒然とする。

リオンは頭を抱えた。

「無理だ……全員は無理だ……」

商人グレイが手を上げる。

「静かに!」

劇場が静まる。

グレイがリオンを見る。

「お前は全員を使おうとしすぎだ。それが無理なのはわかっただろ」

リオンは頷いた。

「わかった……」

グレイが続ける。

「必要な時に、必要な奴だけ呼べ。それ以外は休ませろ」

戦士アレクが付け加える。

「無理をするな。お前が壊れたら、俺たちも消える」

リオンは深呼吸した。

「じゃあ……どうすればいい?」

最古の原始人ゴルが立ち上がった。

大柄な体。

槍を地面に突く。

「お前は問いを間違えている」

低い、重い声。

リオンが見る。

「間違えている……?」

ゴルが頷く。

「お前は『俺は誰だ』と問うている。だが、答えは簡単だ」

一歩前に出る。

「お前は俺たちだ。俺たちは6666人。そして、お前もその一人だ」

リオンは驚く。

「俺も……一人……?」

ゴルが頷く。

「そうだ。お前はリオン。6667人目だ。6666人の記憶を持つ、新しい人生だ」

リオンは言葉を失った。

「俺は……6667人目……」

そうか。

俺は6666人じゃない。

6667人目なんだ。

ゴルが続ける。

「お前は俺たち全員だが、同時に、お前自身でもある。それを忘れるな」

リオンは涙が出そうになった。

「俺は……俺なんだ……」

6666人が頷く。

「そうだ」

「お前はお前だ」

「そして、俺たちでもある」

リオンは胸が熱くなった。

「わかった……ありがとう……」

商人グレイが言う。

「じゃあ、これからは話し合おう。命令じゃなく」

戦士アレクが拳を突き出す。

「協力だ」

治療師アンナが微笑む。

「一緒に生きましょう」

6666人が口々に言う。

「よろしく」

「頼む」

「一緒にやろう」

リオンは頷いた。

「よろしく……みんな……」

だが、暗殺者が言う。

「俺は協力しない。お前を乗っ取る」

詐欺師が笑う。

「俺も勝手にやる」

毒殺者セリアが囁く。

「私も出たい時に出る」

リオンは身構える。

「お前たちは……」

ゴルが言う。

「全員が協力するわけじゃない。それも受け入れろ」

リオンは頷いた。

「わかった……」

完璧じゃない。

でも、それでいい。

少しずつ、向き合っていく。

リオンは精神世界から離れようとした。

その時、6666人が一斉に言った。

「忘れるな。お前は一人じゃない」

リオンは微笑んだ。

「忘れない」

精神世界から離脱する。

視界が暗くなる。

現実に戻る。

ベッドの上。

目を開ける。

部屋が見える。

リオンは深呼吸した。

「これから……変わる……」

6666人と共に生きる。

支配するんじゃない。

協力する。

そして、俺は俺だ。

6667人目として。

リオンは立ち上がった。

窓を開ける。

外を見る。

村が見える。

平和な風景。

「守る……この村を……みんなと一緒に……」

決意を新たにする。

長い道のり。

でも、一人じゃない。

6666人がいる。

そして、俺がいる。

リオンは微笑んだ。

新しい一歩を踏み出す準備ができた。


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