高校1年生、6月⑥
登場人物の名前。
更階 直人
三浦 陽斗
月島 紗耶
佐伯 真守
キャラクター視点で書くと関係性によって呼び方が違い名前が少しわかりずらいです。すいません。
放課後の校舎は、昼とは別の顔をしているように思える。
人気が引いて、音も減る。
その分、小さな動きや足音なんかがやけに目立つ。
事務室の外。
俺たちは建物の裏手に回り、窓の下にしゃがみ込んでいた。
ガラス越しに見えるのは蛍光灯に照らされた事務室の中。
事務員が一人、机に向かって作業している。
「……あれが会計用のパソコンだな」
俺は画面を覗くように確かめる。
しばらくして事務員が立ち上がった。
金庫の扉を施錠し、引き出しにしまう。
「あれ金庫の鍵だね」と、佐伯もチェックしているようだ。
「でも更階くん、あの金庫、回すダイヤルも付いてるけど大丈夫かな」
「あぁ多分大丈夫。さっきもダイヤルに手を触れていなかったし、基本毎日使う金庫ってあんまそこいじんないんだよ」
「へぇ、物知りだな直人」と3人でコソコソと言い合う。
事務員は書類をまとめ電気を一部落とし、扉へと向かう。
そしてーーカチャリ。
鍵をかける音がはっきりと聞こえた。
あ、やばい。入口を施錠されるとは考えてなかった。と少し焦るが陽斗が動く。
「窓からいくぞ」
「待て、窓の鍵がーー」と言いかけるとカラカラ……と端の窓が開いた。
「さっき、こっそり開けといた」
さらっと言いやがる。
「……お前、いつの間に」
「ふふ、下見は基本だろ?」
頼りになるな、こいつは。
「さっきから何してんの?」
三人で窓に手を掛けたその時、背後からの声に心臓が跳ねた。
振り返ると、月島が低めのツインテールを揺らして首を傾げている。
「い、いや別に何にも!」
陽斗が即座に口を開く。
「ほら、俺って窓が好きじゃん?」
「いやぁ、いい窓でさぁ」
「お、この窓枠の色、良い銀色で」
「思わず忍び込みたくなる魅力的な……」
「バカ」
俺と佐伯の声がほぼ同時に被った。
月島は窓と俺たちを交互に見て、一拍置いてからふっと笑った。
「へぇ、忍び込む気なんだ」
喉がぐっと鳴る。
言い逃れはもう無理だった。
「……こうなったお前も共犯な」
「へ?」と、月島が目を丸くする。
「陽斗!」
「月島と一緒に廊下見張っててくれ!」
「おっけー了解!」
陽斗はやけに元気よく返事をして月島の腕を掴む。
「ほらほら、共犯者は共犯者らしく働こうぜ」
「勝手に決めないでーー!」
文句を言いながら月島は引っ張られていった。
佐伯と俺は事務室の窓の前に顔を見合わせ
「よし、いくぞ」
「うん」
と、静かに窓を開け、事務室に侵入した。




