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高校1年生、6月⑪

登場人物の名前。

更階さらしな 直人なおと

三浦みうら 陽斗はると

月島つきしま 紗耶さや

佐伯さえき 真守まもる

キャラクター視点で書くと関係性によって呼び方が違い名前が少しわかりずらいです。すいません。

担任の説明が終わり事務員が教室を出ていくと、ざわついていた空気は次第に落ち着いていった。

「よかったな佐伯」

「冤罪じゃん」

そんな声も聞こえる。

それで、全部終わったような顔をしているやつもいた。


「……ちょっと待ってくれ」


俺の声が教室に響いた。

自分でも少し大きすぎたかなと思う。

でも止められなかった。


「まだ、この問題は終わってない」


担任含めてクラス全員の視線が一斉に集まった。

俺は一度、深く息を吸ってから続ける。

「確かに問題は解決した」

「佐伯は盗んでいない、それはもうはっきりした」

俺は佐伯の方を見る。

佐伯は不安そうな顔をして俺を見ていた。

「でも、それで全部チャラって話じゃないだろ」


教室がシン……と静まる。


「決めつけられた」

「疑われた」

「盗んだって言われた」


一つひとつ言葉を置くように続ける。

「それで傷つかないわけがない」

「なかった事にしていいはずがない」


俺はクラス全体を見渡した。

「頼む」

「佐伯に、ちゃんと謝ってほしい」


誰も口を開かなかった。

視線を戻すと、佐伯はぎゅっと唇を噛んでいた。

その肩がわずかに震える。


「疑われたって事実は消えない」

「だからーー」

俺はもう一度言った。

「謝ってほしい」


沈黙のあと、教室の後ろで誰かが立ち上がった。


「……悪かった」

小さな声だった。

「正直、俺も疑ってた」

「ちゃんと話も聞かずに」

別の席からも声が上がる。

「ごめん、佐伯」

「俺もだ」

ぽつり、ぽつりと。

謝罪の言葉が広がっていく。


佐伯は俯いたままだった。

何度も、何度も拳を握りなおしている。


ぽた、と。

机の上に小さな雫が落ちた。

ほんの一滴。

でも、それが合図のようだった。

顔を上げようとして途中で堪え切れなかったように俯きなおす。

「……っ」

喉が詰まったような、声にならない声。

次々に雫が落ちる。

止めようとしているのがわかる。

必死に飲み込もうとしているもの。


でも


「……ごめ……」

その一言すら崩れる。


誰も何も言えなかった。

自分たちが言い放った言葉が、どれだけ佐伯の心に刺さっていたか。

その姿を見て、全員が理解したんだと思う。


その瞬間、胸の奥で何かがほどけた気がした。

ドッと椅子に腰かける。


……これでようやく。

本当に終わった気がした。


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