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小物貴族が性に合うようです  作者: スパ郎


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96話 権力の行きつく先

 ――。ガロム視点。



 しょぼーん。


 普段のガロムを知る人物たちがこの光景を見たら、大層驚くことだろう。

 あの『魔鉄の改変者ガロム・グレヴィン』が膝を抱え込んで縮こまっている。

 性格からしても、その大物具合からしても平常ではない。


 世にも珍しい光景が尖塔地下で見られた。


『並みの神なら、顔を見る前に叩き潰される』

『ガロムが動いたら戦争ですら止まる』

 と評判を受けたあの男が、今では縮こまって地面をぼーと見つめるばかり。


 その隣では天壊旅団序列8位の女性も同様に膝を抱えて縮こまっていた。正座して、背中は曲がり、地面をぼーと見つめる。

 こちらも人を超えた力を持った女性なのに、今はその欠片の覇気も持ち合わせてない。


『彼女の声を聞いた者はいない。羽根の音を聞いたらそれが死の合図だから』

『血の匂いがしてきたら、黒い羽根がもう周りにあるってことだ』

 なんて評判が嘘みたいに、地面に落書きをしているオーラは凡人以下のものになっている。



「はあ、俺の鉄って柔らかかったんだなぁ」

 地面に座り込み、拳を膝に乗せたまま項垂れる巨体。

 その肩は、誰よりも重かった拳より重たく、沈んでいる。


「私の羽根なんて、抜けやすいだけだから……。はぁ、死の羽根とかイキってごめんなさい」

 自身の背中から生える黒い羽毛で、頭から自分を覆う。こちらも塞ぎこんで、すっかり自信を失っている。


「俺たち、クビかなぁ……」

「……クビ、でしょうね」


 通路を守れと言われた簡単な仕事だったのに、二人はよりにもよって学生に負けてしまった。

 任務を果たせず、しかも負けた相手が神やそれに匹敵する存在ならばまだしも、王立魔法学園に通うただの学生であることがメンタルに思いっきり負荷をかけてしまっている。


「団長に……なんて報告したらいいんだよ」

「はぁー、うちなんて勝ち目すら感じなかったわよ」


 空気がより重たくなる。

 けれど、ガロムはチラリと隣の序列8位、リュザリアを見て更に深いため息をつく。


「お前は良いよなぁ。負けたのが、あの天才ワレンジャール姉妹だろ? あんな有望株に負けても別に良いじゃねーか。団長も怒らねーよ。こっちは小物に負けたんだぞ」

「馬鹿言うんじゃないわよ。そっちは王立魔法学園の教師が二人もいたんでしょ。しかも、小物君は姉妹の弟じゃない。怒られないのはそっちよ。こっちの方がやばいっての」


 お互いに、どちらの方が失態が大きいか競い始める。

 唯一救いがあるとすれば、お互いに責任転嫁してないところだ。向上心があり、仕事に誇りを持っている二人だからこそ、他責はせず自分を深く責めてしまっていた。


「ワレンジャール姉妹って、そんなに強いのか?」

「正直、最初の一手で降参したかったかも……。でも、うちら最強集団の天壊旅団じゃない? うち、一応序列8位でもあるし? 急に『道を開けて』と要求してきた小娘たちに屈するわけにはいかないじゃない」


 事情を説明する。

 けれど、戦い始めてすぐに負けを覚悟し始めたという衝撃の告白にガロムも驚く。


「……じゃあやっぱりそっちのがやばいな。お前のは失態にならないぜ。こっちはよぉ、全然勝てると思ってた。アグナはやばかったが、もう一人の教師はどこか……本気度がないというか。そしてもう一人は小物だろ? 余裕だと思ってたのに。はぁ……」


 やはり自分の方が失態が大きい気がして、大きなため息が出る。

 比べるようなことではないのだが、それでも比べてしまうのが人間の性というものだ。


「その小物君が小物じゃないってのに。界境に入れたんだよ、あの子。精霊に選ばれてんだって。あんたは王立魔法学園の教師二人と大物を相手に僅差で負けたの。うちは、ワレンジャール姉妹に完敗なの。うちの方が全然やばいわよ」


 こちらも特大のため息をつく。

 自分を責めたところで、元気など出ないのだが、落ち込んだ二人は、今は重たい空気を変えられそうにもない。


「……じゃあさ、俺らってもしかしてそんなにまずい状態じゃないのか? だって、お前が言うには俺の負けは仕方ないんだろう? 俺が見るに、お前の負けも全然仕方ないんだが。相手はあのワレンジャール姉妹だぞ」


 言い訳すると、少し気持ちが楽になる。釣られて、表情も少し明るくなる。

 リュザリアも同じように、顔を上げる。


「……確かに! これ全然ありな負けじゃない? 団長にも全然言い訳通用するかも!」


 お互いに顔を見合わせて、全然大丈夫かもという雰囲気が漂ってくる。


 更に追い風が吹くように、通路の奥から足音が聞こえて来た。界境への入り口がある方向から複数の足音。


 そこからなんと、ボロボロのグラン学長。ジンを背負ったハチ。ハチに寄り添うワレンジャール姉妹。更には、激情の神カナタまで出て来た。あり得ない程の豪華なメンツに驚きを隠せない。


 二人も王立魔法学園を卒業しているため、グラン学長には特に頭が上がらない。しかし、今はそれよりも大事なことがあった。


 二人の視線がハチの背中へと熱く注がれる。


 あれ? その背中にいるのは、序列5位のジンじゃね? と。

 新人、何があったか知らないが、ボコボコにされてね? と。



「おつかれさまでーす。あっ、二人とも大丈夫そう? きついなら、俺が外まで連れて行くよ。ジンを背負ってるから、二人は引きずる形になっちゃうけど」


 ハチからの提案。ハチだけぴんぴんしている。みんなボロボロなのに、なんでこの小物だけが元気なんだ?


「……いいや、大丈夫だ。自分で帰れそう。なんか、元気出てきたぜ」

 すぐに拒否する。

 これを見て、元気が出ない訳がない。


「うちも余裕。いいじゃん、いいじゃん。ハチ君、調子良さそうだね。そのままもっとでかくなっちゃってよ!」

「でかく? よくわかんないけど、大丈夫ならいいや。んじゃまた」


 数時間前まで死闘を繰り広げていたとは思えない毒気の無さ。

 ワレンジャール姉妹もリュザリアに軽く手を振るだけで、特に遺恨などは残っていなかった。なんていうフラットな存在。下手したら自分たちが殺されていたかもしれない相手を気遣うあの姉弟にこちらまで毒気を抜かれてしまう。


 一団の背中を見送った後、ガロムとリュザリアが顔を見合わせて、ニヤリと笑う。それはもうニヤニヤと。


「おい、見たか? 新人、小物にボコされた後だろ」

「ぐふふふっ、見た見た。ジンの加入には納得行ってないけど、あれでもうちらより序列高いからね? 意識失うくらいボコボコにされてたよ。ひゃっほー! やらかしたの、うちらだけじゃない!」


 小物が小物じゃない可能性が出て来た。

 序列5位までボコられてる!

 あの小物、すげーやつなのかも!


「もしかして、あの小物って凄いやつなのか?」

「だってあんたを倒し、その後に新人もボコされたんだよ。ワレンジャール姉妹も認めてたし。やばいでしょ、普通に」

「名前、何だって?」

「ハチだよハチ。ワレンジャール姉妹の弟」

「うおおおおおおお。あの姉妹の弟、やべーな。大物すぎんだろ。なんか今回の失態、全然大丈夫な気がしてきた」


 そう思っているのは自分だけじゃない。

 リュザリアの顔にも安心しきった笑みが浮かぶ。


「そういえば、団長が姉妹とハチ君をうちに入れたがっている話を思い出した」

「は? ワレンジャール姉妹については噂で聞いたことがある。弟にもオファーを出しているのか?」

「正式にじゃないわよ。だってまだ12歳でしょ。でも、一度手紙を出したらしいわ。あの団長が」


 想像してみる。

 堅物で、仕事にしか興味がないゼルヴァン団長。その団長が、田舎の小物にわざわざ手紙を出す?

 あまりにもイメージと違い過ぎる。


 ワレンジャール姉妹と同じ価値を、ハチにも見出しているだと!?


「やっぱり俺たち……大丈夫そうだぜ!」

「うん! 絶対に怒られないよ!」

 ひょっほう!


 すっかり元気になった二人は仕事も終わったことだし、天壊旅団本部に戻ることにした。

 数日後、しっかり団長に説教を食らい、地獄の特訓に駆り出されたのは言うまでもない。




 ――。ロワ視点。



 謁見の間は冷えていた。

 深紅と金で彩られた絨毯の上を歩く音さえも、天井の高みに吸い込まれていくような静寂。壁際に並ぶ衛兵たちの鎧は一糸乱れず、廷臣たちも顔を下げて静かに佇むばかり。

 王座に差す光すら、聖域のような緊張感を伴っていた。


 ロワ・クリマージュは一礼し、恭しく膝をついた。

 その背には王家の紋章、酒樽が刻まれた黒いマント。

 静かに息を整え、声音を整える。


「陛下、このような機会を設けて頂きありがとうございます。私に、僭越ながら一つ、お取り計らいをお願い申し上げます」

「良い、息子の頼みだ。それよい、怪我はもう良いのか?」

「ええ、すっかり」


 王は多くを言わない。だが、その視線が確かにこちらを射抜いていた。玉座に座す威厳と、口を開かぬまま周囲を制する重み。


 ロワは頭を下げたまま、感情を内に潜める。先日、ロガンに殴りつけられた怪我は完治した。ようやく学園に復帰できる。しかし、ただで復帰するつもりなど毛ほどもない。


 内に燃える憎しみの炎は日に日に大きくなるばかり。

 全ての原因は、ハチに帰結する。


 あいつと知り合って以来、人生が狂い始めた。


 魔石鉱山の乗っ取りは失敗に終わり、大事な手駒である生命の神エルフィアと浪人を失うに至った。

 そして、次の手と考えた創造の神ノアが遺した『神の最高傑作』も大雨の中、静かにハチに破壊されていた。


 嫌がらせするために、ハチの婚約者をスキルで陥れ催眠状態にし、衆前で辱めを受けさせるために、キスをしてみせた。人を傷つける方法は体だけに非ず。心の傷は、下手したら体の傷よりもずっと深く長くその人物を痛めつける。


 はずだったのに、心を痛めたのは自分の方だった。

 別に大事に取っていたわけじゃあないが、ファーストキスの相手は……男だった。レ家の次男坊がファーストキスの相手などと、絶対に他人に知られたくない。


 くそっ!!


 おまけに、ハチの作戦通りに、ロガンの人狼姿の拳を顔面に諸に叩き込まれた。心も体もボロボロになったのはこちらだ。

 許せん。あの男だけは許せない! あのハチというやつだけは!


 このロワの力、そして王家の恐ろしさを今こそ知らしめる必要がある。


「報告申し上げます。激情の神、カナタ様が……ひとりの少年に、力を与えました」


 静寂が揺れた。だが誰も言葉は発さない。王の一挙一動に従うように、空気は再び、凍りつくように沈黙する。


「名は、ハチ・ワレンジャール」


 この場にいる近衛騎士も廷臣も、耳を持たない存在。しかし、この名前は聞き流せなかったらしい。ワレンジャールという家名は、どうしてもあの天才姉妹の姿がよぎる。

 だが、王シャルル・クリマージュだけは、微動だにしない。

 その沈黙が、逆に不気味だった。

 ロワは、ひと呼吸置いて続ける。


「激情の神・カナタが、その少年に力を授けました。それも、クリマージュ家への間接的な支援とは違い、直接的な力、をです」


 王ですら知らない情報。

 学園内にアンテナを張っているロワだから先に知り得た情報であり、ある程度は想像も含まれている。


 カナタ様がハチに神のパーツを渡した確証はない。けれど、カナタ様は確実に誰かに片目と片腕を渡した。


 今はその相手が誰かは問題ではない。大事なのは、ハチだと思わせて、あの小物を排除すること。


 カナタ様は神々の中でもかなり古い神として知られ、それに加えて間違いなく現存する神で最強の存在。建国において、初代クリマージュ王にのみ力を貸したとされる神で、王家の権力の担保はあの方が担っているに等しい。

 その神が、クリマージュ家を介さずに、名もなき下級貴族の子息に“力”を与えた。

 それは――

 王家という立場を根底から崩しかねない、秩序を乱すに等しい行いだ。


「……このまま放置すれば、王家の正統性に疑念が生まれます。民に広く知られてしまえば、神が我らクリマージュ家を見限った、と。そう受け取られかねません」


 言葉を吐きながら、ロワはわずかに拳を握った。

 正論のはずだった。私欲のためではるが、論理的には憂国の情すら込めたつもりだった。だが、王の反応は――

「……ふむ」

 王シャルルは、小さく目を細め、どこか穏やかな声音で呟いた。


「そのようなことも、時にあるものだ」

 静かすぎる声。怒りも、困惑も、なかった。

 まるで――王家にとって危機ではないとでも言うような態度。


 なにが「時にあるものだ」だ。


 ロワは瞬間、喉奥で嘲笑いそうになるのを押し殺した。

 父であり、現国王である人物をも見下す態度を取りかけた。


 カナタ様が王家以外に手を貸した意味も読めぬか。いや……読んだ上で、黙っているのか?

 この王の本心が読めない。


 ……所詮は、兄の病死で王になっただけの男。

 自分ほどに王に相応しい男ではないと侮る。


 もしもカナタ様が神のパーツを与えたのがハチであるならば、自分の私欲抜きにも、一刻も早く対処が必要だということをこの男は理解していない。


 それを説明してやる必要がありそうだった。


 眉を下げ、誠意の仮面を崩さずに、ロワは言葉を続けた。

「陛下、なにも我らクリマージュ家だけのためではありません。権力が移ろえば、それだけ世界に混乱を来してしまいます。今は平和な良き時代。ロワはこの良き時代に荒波を立てたくはないと思っております」


 ただハチを排除したいだけ。

 それだけのために、国を、民を憂う言葉を口にする。

 真意は誰にもバレない。知られるはずもない。


「どうしようというのだ? ロワよ」

「対処の必要がございます」


 言葉を切り、ロワは姿勢を崩さぬまま、静かに視線を上げた。

 王の表情は変わらない。ただ、こちらの真意を試すような沈黙が、謁見の間を重く染めていく。

「僭越ながら、一人……人材を、お貸しいただきたく存じます。ディゴール殿です」


 その名が響いた瞬間、左右の廷臣の間に、微かな動揺が走った。

 それも無理はない。

 ディゴール・メルダイン。


 緻密さと謀略の人。

 列強との対話の場でも、王国を一歩も引かせず常に優位な交渉をする外務大臣。さらにかつて、東方反乱を“戦わずに”鎮圧した男としても知られている。


 恐怖と尊敬を等しく背負った、王国の最高の曲者とも呼ばれる男だった。

 ロワは言葉を継ぐ。


「ディゴール殿を、王立魔法学園の『特任教育官』として派遣いたしましょう。現在、学園はグラン学長が界境帰りで負傷のため寝込んでおります。バルド・フェルマータがいなくなって以来、ちょうど席にも空きが一つあります」


 今思いついたアイデアでないことは、誰の耳にも明白である。

 ロワが元々謀略に走るタイプなのは皆知っているので、珍しい光景でもない。見えないのはその真意だけ。


 ロワが国を思って動くタイプじゃないのも皆が知っていることだった。


「この機を逃す手はありません。グラン学長が復帰する前に、特権を利用して特別試験をやります。その試験の結果という名目でハチを排除すればよいのです。正当な手続きを踏み、表立って咎められることもない。退学させれば、あとは如何様にも。もっと早く摘むべき芽でした。全てはこのロワにお任せください。誰も、陛下の御名を傷つけることはありません」


 言い終えたロワの声音には、微かな熱が滲んでいた。

 王家の名誉を守るという正義と、自分こそがそれを成すべきだという信念に見せかけた、完全なる私欲。それを漏らさず、話し終えたことへの満足感もある。


 ロワの提案を聞き終えた王シャルルは、ふっ、とわずかに口元を綻ばせた。

 まるで、懐かしい話でも聞いたかのように、どこか穏やかな笑みだった。

「……お前は、変わらぬな、ロワ。すべてを盤上に置き、勝利を掴もうとする。それが強みであり、弱みでもある。……だが、良い。許可しよう」


 弱み? 私に弱みなど無い。


 ロワは静かに目を伏せたまま、心中で安堵と共に、鋭い爪と牙を携えた満足を隠す。


「お前のことだ、既に声はかけてあるのだろう? 呼ぶと良い」

「……流石陛下」


 謁見の間の扉が静かに開いた。


「ふふ……お呼びでしょうか、陛下、殿下。昼寝を邪魔されるのは、これで三度目ですよ」


 片目だけに小さな丸眼鏡をかけ、わし鼻が顔の中央を支配するように突き出している。

 細い指先には、何層もの古布を巻いた杖。まるで呪具のような代物大きな布に縫い付けて、マントのように背負っていた。


「ディゴールよ、昼寝の邪魔をしてすまないな。ロワがお主に頼みがあるらしい。既に話は通っているのだろう?」

 王の言う通りだった。

 ディゴールは全てを知っている。


「お心遣いありがとうございます、陛下。ロワ様は幼少よりわたしめが大事に目をかけている存在。その頼みを断る訳にはいかんでしょう」


 ロワの横へと並ぶと、計画をディゴールが代わりに口にする。


「『特任教育官』として学園にて試験を行います。狙いはハチ・ワレンジャール。ほほっ、狩場が合法なら、後は的を絞るだけ……。なんと簡単な仕事でしょうか」


 ディゴールは、かつて“動かずして殺す者”と呼ばれた。

 内乱の夜、敵対勢力の幹部を二十人以上、影の矢一本で同時に沈黙させた伝説の男。


 視界になくとも命を奪う、王国最凶の暗殺スキル持ち。


 ロワはひとつ、ディゴールに優雅に礼を取った。敬意と、自身の道具として働いてくれることへの感謝。

 その心はすでに、ハチの退場を確信していた。それだけの信頼がこの男にはある。


 これ程に、心強い味方はない。


「全てはシャルル様、ロワ様のため。そしてクリマージュ家のため。延いては国のためにもなりましょう。ポッと出の小物に、クリマージュ家の築き上げたものを崩される訳には行きませんのでな」

 静かに、不気味に笑い。ディゴールのスコープがハチに向けられる。


「なーに。相手が曲者ならば、ワシのような曲者が出るのが丁度いい。こちらはゲームの支配者。退学させるルールを用意してやればよいのですよ。ふぉふぉっ。まあ、二人とも楽しみながら見守ってくださいな」


 ディゴールは笑う。

 悪意はない。ロワの企みも王家の立場も、実はそれほどに興味がなかった。今あるのは、狩る者、ハチへの興味。

 

 前期選抜試験『ハンティングゲーム』が間もなく始まろうとしていた。

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― 新着の感想 ―
欠番は4位だったのに5位になってる... まじで作者数字に興味ないのね... 面白いのにもったいなく感じちゃう。
ロワは王家は神よりも上の存在だといっているも同然の事言っているって自覚しているのでしょうか。神が人に力を与えるのに何故王家にお伺いを立てないといけないのか。
怒られても特訓させられる=クビは回避と考えれば大丈夫判定じゃないかな……
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