55話 真の意図
不正を詰められているというより、単純に興味を抱いている感じ。
獣臭さと酒臭さを漂わせる試験官様が楽しそうにケタケタと笑っている。
1次試験突破証明書だけはなんとしてでも死守しなければとこっそり背後に回した。まるで大事なドングリを隠すリスみたいだなと我ながら小物を実感。
――。
一次の封印解除試験。頭脳キャラっぽく立ち回り、冷静に受験生たちを観察して始まったのに、台座を壊されて全て台無しに。試験前の説明で「社会に出たら結局脳筋が強い」というあの言葉を思い出させる出来事だった。
くっそ!こういうのって俺みたいなタイプが勝つ展開だろ!
台座を壊すとか、受験生同士での足の引っ張り合いなんて考慮もしていなかった。
けれど、考えてみればそれも無理はないのか。ライバルは2万人もいる。そのうちわずか200名だけが受かる狭き門。
他人の脚を引っ張ってでも自分だけ合格したいって人が出てくるのも無理はない。
……ちょっと嫌な考えだなと思う。
まあ他人の考えなどどうでもいい。俺にはとんでもない課題が課された。台座が壊れたのを見た時、頭が真っ白になった。
この試験に人生をかけているっていう訳じゃないけれど、それでも日に日に入学するための理由が出来上がり、熱意をもって試験会場にやってきている。
それがまさか、わずか1次試験で落ちるのか?
天才たちが行く最高学府の門はこれほどまでに固く閉ざされているのか?
と絶望して1,2分立ち尽くした。
またあの猛禽類たちが俺の傍に集まって、それも今度は数羽。ジロジロとこちらの様子を眺めてくる。
メンタルの根源がリスと同じ小心者なので自然と警戒する。猛禽類たちのおかげでなんとか意識を現在に持って帰ってくれた。
後悔している場合じゃないと頬を強く叩いて気合を入れる。
なんとか違う合格ルートを考えねば。冷静になれ。こういう時こそ冷静に。
やれることはなんだ……。
1つしかない。
もう他の台座を探す時間が無いのなら、自分の力でどうにか外すしかなかった。
試験開始前に、一度身体能力で壊せるか試した生徒がいる。そういえば彼も罠に引っかかっていた。
その場で壊せたら合格と言われたにもかかわらず、魔臓才能値6000台後半でも壊せなかった。なんという持っていない生徒。
おそらくこれはそういうものだ。姉さんたちくらい規格外の魔臓才能値があれば可能かもしれないが、そんな才能は特別枠で拾って貰っている。
無理そうだと分かっていながらも、一応試してはみる。
「全然だめだ」
布製のブレスレットだというのに、身体強化をしても全く千切れる様子が無い。どんなつくりをしている。
界境で取れる素材でもなければ、神が生み出した特殊なものでもない。
どう見たって、ただの布なんだ。
「あっ、なんかある」
引っ張ったり、引っかいたり、棒でぐりぐりしたが、変化なし。代わりに、裏側に刺繡が入っていることに気がついた。
緑色の糸で縫い込まれた文字。曲線を多く含んだ、美しい植物的を思わせる形状の文字。この世界の文字とは違う。一般的に普及しいる文字でもないし、外国の文字も少し知ってはいるがこんなものではない。
となると、一つ心当たりがある。
「……ルーンファジル」
精霊たちが使う文字だ。
しかし、それだけしか知らない。
ベストセラー作家の書いた、事実に基づくノンフィクション物語の中に出ていた知識。彼の大冒険譚の『ルーンファジルが大量に使われた村編』。あまり詳細には書かれていなくて、特徴だけが記されていた。その章は主人公とヒロインが出会う回で!そこが愛おしくて!だれもルーンファジルなんて気にしてなくて!
ルーンファジルで何が書かれているのか、どういう効果があるのか、怖い顔して睨みつけて一向に意味が分からない。
前提知識が無ければ推理のしようが無い。
木の棒で糸をほつれさせようとゴリゴリ削ってみるが、全く効果無し。スキルや魔力の世界の広さたるや……恐るべし。
それでも考えろ。これは2万人に配られたものだ。絶対にそれほど複雑なものではない。試験官の言葉を信じるなら、マダムと呼ばれる人物の制作物。一人でやってのけたのなら、余計に難しいものであるはずがない。
「魔力には魔力で対抗しかないよな……!」
結局はここに戻る。
けれど、身体強化ではない。
修理スキルを発動し、スルスルっと細い魔力を出した。俺の魔力は細い魔力線から出ていることもあり、糸にも負けない細さを誇る。
この細い魔力を利用して、刺繡に細工をかけてみる。
縫い付けられたルーンファジルの意味は分からない。魔力で干渉し過ぎて爆発でもしてみろ。大惨事だ。
そんなことにはならないだろうと思いつつも、念には念を入れる。
刺繡で入れられたルーンファジルの隣に、修理スキルで伸ばした魔力を這わせていく。
魔力を切り離して、遠隔操作。
結果出来上がる。
ブレスレットにわからない文字羅列。(ルーンファジル) ハートの絵を描き加える。
そう!
ルーンファジルを乱すのが怖かったので、最後にハートをつけておいた。ラブは正義である。
ラブを足して爆発することなんてあるはずがないので、最強の書き足しである。
ハートの効果か、それとも余計なものを加えられて本来の文字列の効果が薄れたのか、ブレスレットから感じられた魔力が消えうせた。
今なら身体強化なしでも『服ビリ』スキルで簡単に引きちぎれそう。
やはり愛は世界を救う!
1人歓喜し、飛び跳ねまわる。まさかこんな不正が効くとは。
けれど、猛禽類たちの視線がやたらと気になって、すぐに喜びも冷めた。なにより、急いで帰らなくちゃ。
口笛の連中もしておこう。
唇をあんまり突き出さないように、あくまで自然に、ご機嫌なふりを装って帰らなくちゃ。
ブレスレットをさあ引きちぎって……帰ろうと思っていたのだが、俺はそこでふと気づいた。
もしかしてこのブレスレットって……。
――。
「悪気はなかったんです!全部話したのでどうかご勘弁を!」
おねげえします。この1次試験突破証明まで持っていかれたらオラの村はもう!
「やるじゃないか。マダムもさぞ悔しかろう。かかっ、まさか受験生にルーンファジルを崩されるなんて」
……なんかやっぱり楽しげだ。
ざまぁみろ、とここにはいないマダムという人に向けて悪態までついているが、俺にはご機嫌に肩をパシパシと叩いて来る。
あれ?
これってもしかして、見逃して貰えるんじゃね?
てっきり不正者に鉄槌を、の流れだと勘違いしていたんだけど、全然そんな雰囲気ではない。なんという僥倖。それなのに、余計な口出しをしてくる者がいた。
「ちょっと待てよ!そいつ一次試験突破証明書を持ってるぞ。なんで不正した受験者が突破扱いなんだよ!」
大声をあげて文句を言ってきた男がいた。恐ろしい剣幕で迫ってくる。
彼のことはよく覚えている。
試験会場にやって来た時なぜか俺のことを笑っていた。しかもブレスレットを壊したら合格というすんごいアドバンテージを貰いながらチャンスを掴めず。更に更に。森の中では数十人助けたのだが、罠にかかった彼も助けてあげた。
足の治療を受けたみたいだが、まだ痛々しい血が滲み出ている。顔色も良くない。その右腕にはブレスレットが嵌められたまま。試験時間は先ほど終わったばかりなので、それはつまり、不合格の証明となっていた。
「……お前は森の中でハチに助けられていなかったか?試験が終われば救助隊を派遣するが、ハチに外して貰ってなかったら3時間は罠に苦しんでいたぞ。恩を仇で返すか」
俺自身も誰を治療したか完全には覚えきれていないのに、なぜか試験官がそれを知っていた。
どこで見られていた?
人に後をつけられた気配は無い。生徒たちとすれ違いはしたが、彼らが試験官に報告するとも思えないし……。
心当たりがあるのは異様な存在感を放っていた猛禽類たち。試験官が羽織る狼の毛皮と獣臭い体臭。
今にして思う。あれってこの人の使い魔的なものだったのだろうかと。
「関係ねーよ!俺様が不合格なら全員道連れだ!その不正者は当然不合格として、他に合格したやつも認めねー!俺が全員ぶっ飛ばしてやる!」
別に恩を売るつもりはなかったが、なんという矮小な精神。小さい。小さすぎるぞ。お前を小物界の小物に任命する!
「おや、忘れたかね。試験開始前に言っておいたはずだ。外せるなら方法は問わない。不正してでも良いと。つまりこいつは本来のルートで外していないが、誰に恥じることもない正規の合格者だ。不正の手法が気になったから尋ねていただけのこと」
目と口と鼻の穴、一斉ににホワッと花開いた。
は、春や!
春が訪れたんや!
この恐ろしい問答は不合格にするためではなく、ただたんに試験官の興味本位の質問だった。
これって……最高じゃん。
一度気分が落ちていたからこそ、余計に嬉しい。落として上げる!こやつ、人を喜ばせる天才や!
「いっしょああああああ!!」
「……ぐぬぬっ。認めん!認めんぞ!」
足元が痛むだろうに、小物界の小物は身体強化をしてこちらに走ってくる。拳を握っている辺り、やる気だろう。まったく、喜びに浸らせくれてもいいのに。
迎え撃つ準備をしていると、横からスッと登場した女性が足を引っかける。身体強化をして猛ダッシュしていたこともあり、激しく転倒した小物界の小物。全く周りが見えていなかったらしい。
疲れも溜まっていたんだろう。倒れたまま意識を失って、泡を吐いていた。治療師さんたちが慌てて介護に回っている。
「イェラ!」
足を出して彼を転倒させたのは、砂の一族イェラ・ナクサだった。
手には一次試験突破証明書と荷物をまとめた小さなバッグを持っている。当然だが、彼女もちゃんと合格してた!
「だからお人よしも大概にしろと言っている。世の中はこんなやつばかりだ」
「ふふっ、でも俺は忘れないよ。イェラ、2次試験でまた会うことがあったら、魔物と今の借りは返させて貰う」
「……いらない。どちらもハチ一人で解決できた事だ」
それ以上余計なことは話さず、颯爽と立ち去るイェラ。
かっけええ。砂の一族、かっこよすぎんだろ。
確かに結果としてどちらも一人でなんとかなっていた気はするが、それでも助けに入ってくれたことが嬉しい。勝手に借りておくよ。そして勝手に返す。
「俺もお嬢ちゃんの言葉に賛成だ。お前の面白い行動のご褒美に、忠告しておいてやる。この世は競争。食うか食われるか。生き残りたければ、弱者なんかに構うな。いい勉強になっただろ?お前が助けた人間に足を引っ張られそうになり、お前が他人を助けたから不合格になりかけた」
確かに結果としてはそうなった。
最初から誰にも関わらなければ、不正することもなく素直に1次試験を突破で来た。
しかも助けた相手に難癖をつけられようとは。
でも、うーん。
「そうは思わない」
「あ?」
少し不満そうな試験官。
でもそう思わないのだから仕方ない。
「この世は楽しむための場所だよ。少なくとも俺は小物なりに精一杯楽しみたいと思っている。だから心に従って動くだけだね」
助けたいから助けた。
足の引っ張り合いも、他人を蹴落としてでも這い上がりたいとは思わない。そういうのは好きじゃない。
「……けっ、甘っちょろいな」
試験官は試験官で俺の回答に不満らしい。
まあいい。どちらが正しいでもないし、それぞれの道がある。
「試験官様、俺はもう突破ってことでいいの?」
「言ったはずだ。不正でもなんでもして突破しろと。お前の腕からブレスレットが外れているのなら、気兼ねなく2次試験に向かうと良い」
改めて言質を貰ったので、ポケットから取り出した。
無傷のブレスレット。千切ることもなく、そのままの状態で。
指で摘まんで少し驚いた表情の試験官に見せた。
「これ。本当はルーンファジルを崩した訳じゃない。崩した後に千切ることも可能だったんだけど、違う可能性を感じたんだ」
「……言ってみろ」
「このルーンファジル、仕組みはわからない。俺には何が書いてあるかもわからなかったよ。けれど、なんとなく感じた。悪意のあるものじゃないって」
説明するよりやるが早い。
俺はブレスレットをまた自身の腕に装着する。
そして、今度は身体強化も何もせず、ただ単に力を抜いてブレスレットが通りやすいように手を丸めた。
そこからするりと封印のブレスレットを取り外す。
本当に何もしていない。ルーンファジルには手を加えていないし、身体強化も解除している。
「試験開始前。あんたは彼にあるパフォーマンスを命じた」
気を失って倒れ込んでいる小物界の小物を指す。
彼に身体強化をさせて、ブレスレットを壊させた。けれど、あれ程の魔力を持つ彼でも壊せなかったのを見て、会場中が思ったはずだ。
このブレスレットは自力では外せないと。
俺も完全にそう思い込んでしまった。
してやられたよ。あれらが全部試験官の演技だったんだから。
小物界の小物は偶然出汁に使われただけだが、もしかしたら当てる人も魔力の多い人が良かったとかあったのかも。
「俺たちはまんまと術中に嵌まっていたんだ。台座に、とにかく早く駆け付けないといけないって。でも本当は違う答えもあった」
プラプラと最後に弄び、馴染のブレスレットを試験官に手渡した。
「お返ししますよ」
もう俺には必要の無いものだ。
「……くくっ、わーははははっ!いいね。正解だ、ハチ・ワレンジャール。流石はあの姉妹の弟なだけはある」
「やっぱりそうだったんだ」
「この手の試験は数年に一度俺に任される。このトリックは毎年欠かさない。こんな成りでも俺は教員だ。生徒たちには役に立つ力を身に着けて欲しいと思っている」
小汚い試験官様がなんだか、急に素敵な人に見えて来た。……まあ臭いけど。
「こいつぁマダムに頼んで作らせた魔道具。裏面には単なる模様に見えるが、ルーンファジル文字を織り込んである。『ユーン系』の文字が“制限”として働き、解除には『フェイル系』文字の微細な反応が必要。身体強化のような魔力量が強いとフェイル文字が“拒絶”反応を示す仕様になっている」
すまない。外国語の講義は他所でやってくれないか!
何言っているか全然分からなかった。
小汚いくせいに知性があるギャップ持ちとかずるい。かーえーれ!かーえーれ!
「けれど、真の目的はこれに非ず。自立心・観察・常識を疑う力。俺が受験生に課した試験の本質だ。このトリックを見抜いたのはお前で3人目。今まで100万人を超す受験生を見て来た中でたったの3人。誇りに思いな」
「まあ運もあったけどね」
「それで結構。しかし、今年は面白い。豊作な年ってあるもんだなぁ」
うんうんと頷いて嬉しそうに笑う。
今年の受験生たちは豊作らしい。それってつまり、ライバルが強力ってことだ。俺には笑えない現実だ。
「お前を含めて3人だと言っただろ?実はな、2人目も今年の受験生だ。かかっ、最高だろ?」
流石に驚いた。
ひやりと汗も流れる。
俺は自分の魔力の特性と、追い込まれた状況でこの真の合格ルートに気づけただけのこと。
1次試験を突破した中に、自力で気づけた者がいる……。恐ろしい事実だ。
やっぱり世界ってひろー!まだ見ぬ大物の偉大さたるや!
「それにしても良い気分だ。ハチ、何が何でも試験を突破しろ。お前は俺のゼミが貰うことにした」
「ゼミ?」
そりゃ俺だって突破したいと思っているが、そんなの約束できないね。
「王立魔法学園の制度であるんだよ。俺の研究チームにお前を加える。ルーンファジルに細工したときのスキルを今出してみろ」
大した労力でもないので、修理スキルを片手から1本出してみた。
「おわっ!?こりゃどうなってやがる。なんでこんな繊細で細い魔力を出せるんだ……。こんなの見たこともない」
「魔力線が細くて、細い魔力を出しやすいんです」
逆に太い魔力なんかは絶対に出せない。
「かかっ。こりゃいい。間違いなくマダムが欲しがる才能だが、これは先に唾つけたもん勝ちだ」
「ちょっと待ってください!」
そもそも俺は合格すると決まった訳ではない。
そこは良いとして、肝心なことが他にもある。
「ゼミという研究チームがあるなら、俺は既に入ることが決定しています。……ヒナコ先生のもとに!!」
ドンッ。
譲れないものがあるんよ、男にはな!
王立魔法学園への入学希望理由の3割くらいはヒナコ先生だ!!
「ヒナコって言やぁ、グラン学長が拾って来たあの剣士か。いやいや、あれは新人だからゼミなんて開かんだろうて。募集することがあっても一人か二人。絶対に剣の腕が立つ生徒を取るに決まっているし、お前は選ばれないだろう」
うそ……だろ!?
そんな……!
俺とヒナコ先生の縁はそんなに薄くないやい!
「何を青ざめてやがる。まあ諦めて俺の元に来な。強く逞しく育ててやるよ。いいか?間違っても、マダムミンジェの元だけには行くなよ?絶対に行くなよ?」
「う、うん……」
名前も顔も知らない人のところなんかには行かないよ。
まあ受かったら、なんだかんだこの人のところが第一希望になるかな。他に信頼できる教員も知らないし。
「いいな、忘れるなよハチ。俺の名前はカイネル・フォーン。合格したら真っ先に俺を尋ねて来い」
「はいよー」
話は済んだみたいなので、試験会場から立ち去るために歩き出す。近くの村まで言って、昨晩泊った宿にまた泊まらせて貰う。
実は宿の予約は1次試験用の一回だけでいい。
2次試験前と3次試験前の泊りは、なんと宿泊料も飯代も、お風呂もマッサージまで無料!
この試験の宿で生計を立てている村なので、試験突破者の数値は何よりも誇るべきものなのだ。来年受ける生徒たちはゲン担ぎのため、合格者の多かった宿を選んだりする。
俺は父上が宿代をケチったので、ここ数年突破者が出ていない宿へと泊まっている。数年ぶりに一次試験突破者が出たので、今日は宿でお祭りだろう。来年から宿泊者が増えるだろうから、吉報を齎した俺は存分にサービスを味わう予定である。
るんるんと鼻歌混じりに歩いている途中、ちょっとだけさっきの話に一言加えたくなったので立ち止まった。
後ろにはまだカイネル試験官がいたので、呼びかける。
「あのさ、やっぱり他の受験生たちを助けて良かったよ。あれのおかげで俺はカイネル試験官の目にとまってゼミに誘われた。しかもイェラとも知り合いに。あの砂の一族だよ?羨ましいっしょ」
「へっ。不合格になりかけた癖に」
「そうだよ。でも結果を見てみなよ」
一次試験突破証明書をこれでもかと見せびらかす。
「結果は一次試験合格。知り合いも二人増えて、全ては結果オーライ。最高のところに落ちついた。ほーらね、やっぱりこの世は心の感じたままに楽しむべき場所だよ。カイネルおじさんも素直に生きたら嫁さん見つかるかもね」
「嫁いるわ!」
……嫁いた。
ごめん、不潔だったのでなんか勝手に。
一次試験、紆余曲折はあったが、結果として最高の形で終わることができた。