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学園生活の授業3

 体育の授業はそんなに嫌いじゃない、大きな獣人系の生徒達の後ろについてランニングを走っていると、目の前でワッサワッサ揺れる尻尾が気になって気になって仕方がない。ちょっと掴んでみたくなるけど、それをやったら多分怒られるだろうからやらないけどね。私だってポニーテールに結った髪を走ってる最中に引っ張られたら危なくて怒ってしまうかもしれないし。


「のりちゃんがんばって〜」


 グラウンドの端のベンチに腰掛けたさっちゃんとときちゃんが大きく手を振って応援してくれているのに、手を振って返答しておく。


 だんだんペースが上がってくるので仕方なくついていく。皆んな元気だなぁそんなに頑張らなくても学校の授業なんだし適当に流しておけばいいんじゃないかなぁ。


 そんな私の願いも虚しく、ラスト一周になると皆んな全力疾走になっていた。最後尾につけていると身長が低い私は砂埃に巻き込まれてしまう、少し間を開けてついていくとそのままゴールした。


 皆んなエキスパートクラスだけあって気合入ってんな、体育の授業開始10分でトラック5週を駆け抜けた。若いっていいねぇ心が老成した中身おじさんの私はとても付き合ってられないよ「どっこいしょ」っと体育座りで皆んなが復活するのを待つ事にしよう。


「お前ら、準備運動でへばってんじゃねぇぞ!」


 胴間声の発生元をみると、そこには傷だらけのリザードマンが居た。あちゃーこの先生か、最近目をつけられてるみたいでサボれないんだよなぁ。


 ノロノロ立ち上がる皆んなと一緒に立ち上がると「2人1組になれ」っと無慈悲な指示が飛んできた。仲良し同士がでペアが次々に出来上がっていくエキスパートクラスの人数は21人。10組のペアが出来上がったら、1人余るね。そう、余るのは私だね!


 ぼっちやんけ、誰にも声をかられないままポツンと1人立っているのはいたたまれない気分でいっぱいだ。これだから体育の授業は嫌いなんだよなぁ、周りの人たちの同情的な眼差しが突き刺さる。


「よし、乱取りはじめ!」


 ぼっちの私を置き去りにして、グラウンドに散らばったエキスパートクラスの皆んなは、思い思いに組み手を始めた。素手格闘の授業だけれどもそこはエキスパートクラスである、素人が1人もいないのでよっぽどの事でもない限り好きにさせておくらしい。


「金的と目潰し以外ならなにやってもいいからなー」


 それでいいのか体育教師。まぁエキスパートクラスに来ているような生徒は皆んなダンジョンに潜って実戦を経験している探索者ばっかりだし、治療の魔法も薬もあるし、死ななきゃ全部擦り傷の精神なんだろうなぁ、元気な事だ。


「お、アレなんか中々の好カードなんじゃないか?」

「あーアレはなかなか見せますねぇ」


 リザードマン先生の目線の先で、虎獣人と狼獣人の熱いバトルが繰り広げられている。虎獣人の子の空間を削り取るような爪撃を躱しながら、狼獣人の子が懐に飛び込んで体当たりを突き込んでいた。面白いように虎獣人が吹っ飛んだように見えたが、その実虎獣人が自分から後ろに飛んで衝撃を逃していた。


 ゴロンと転がった虎獣人が四つん這いで狼獣人を睨み付ける様は、虎そのものと言ってもいいほどの迫力があった「ゴア!」吠えて飛びかかる虎獣人のスピードが早すぎて、カウンターを狙った狼獣人の蹴りが中途半端に間に合わなかった。縺れ合うように転がった両者はそのままグラウンド戦に入った。


「組合になると虎の方が有利だな」

「素の資質だとそうでしょうねぇ」


 グラップルになると虎獣人が有利と思われたが、狼獣人にはレスリングの心得があったようだ。するりと抜けてしまうとグラウンドは不利と見たのか立ち上がって距離をとった。仕切り直しかなと思って周りを見れば、他のペアもこの好カードの観戦で盛り上がってた。


「勝者に、コイツに挑む権利をやるぞ!」


 腋に手を入れてブラリンとリザードマン先生が私を捧げて見せると、ギャラリー達も大いに盛り上がって「いけー! やれー!」と、声援を上げ出した。いやおかしいだろ、私は関係ないやんけ。


「景品があった方が盛り上がるだろ?」

「景品になった覚えがないんですけど」


 しばしこちらを見ていた両名は、覚悟を決めたような顔で頷き合うと同時に飛びかかった。


 空中で交差する2人の獣人、虎獣人の爪が狼獣人の腹に食い込むのと同時に、狼獣人の膝が虎獣人の顎に刺さった。そのまま地面に叩きつけられた両名は、ダブルノックアウトとなってしまっていた。


「絞まらない終わり方になっちまったじゃねぇか」

「ソロソロ下ろしてもらえませんか?」


 リザードマン先生の肩に乗せられて、早く授業が終わってくんないかなぁと遠い目になってしまった。


「仕方ねぇからエキシビジョンマッチでもやるか?」

「どう仕方がないのか分かりませんね」

「しらばっくれんなよ」


 リザードマン先生がウインクしたように見えた、多分ニヤリとでも笑っているんだろうが、瞬膜がある種族のウィンクとかよくわからんし、表情筋の構造も根本的に違うので表情わかりませんて。


 ピョンと飛び降りて、リザードマン先生から距離を取ると、多分嬉しそうんな顔なんだろう、とても獰猛な笑みを浮かべてリザードマン先生が言った。


「お前ら! 本物ってやつを見せてやる‼︎」

「え〜やるんですか〜」


 リザードマン先生自慢の鋼鉄の右腕に魔力を漲らせ、目で見て分かるほどに筋力が隆起し始めた。


 穏便に終わらせるには速攻がいいんだろうか? それともみっともなく負けた方がいいんだろうか? 今日は放課後におさんどんのバイトがあるから、あんまり疲れたくないんだよなぁ。


 どうしたものか悩む暇もないらしい、リザードマン先生が突っ込んでくるのをどう捌いたものか、それが問題だ。

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