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服屋で革屋2

木曜日ってトラブルがちなんですよ、困ったもんです。

「ぶほっはははははは」


 こらえきれなくなった岩崎さんの笑い声が部屋に響き渡る。腹を抱えて指さす先の鏡には、セーラー服を着た黒髪を三つ編みに結った緑の目をしたエルフ少女が映っていた。少しくたびれたセーラー服は見るからにお下がりなのだろう、サイズが大きすぎるセーラーカラーの肩が落ちてしまい袖口のカフスラインから指先が少し覗いているだけだった。スカートもサイズが合っていない、丈の長さが野暮ったさを助長している。


「あの猿爺がセーラー服着て顔真っ赤とか、あははははははははは」

「笑いすぎ!」


 口をとがらせて上目遣いで抗議する様は、姉にいじられて恥ずがる妹の様でかなかなかにいじらしい。目じりに浮く涙は感情があふれ出ているかのようだ。まぁ私の事なんだけどな!


「いや~いいもん見たわ、差し詰め姉のお古のセーラー服にご不満な妹新一年生だな」

「これ近所の中学校の制服だろ? 私は高校生だぞ流石にキッツいよ」

「めっちゃハマってるって、絶対行けるって」


 本当でゴザルか~? 岩崎さんを見返していると「このなりで、妊娠してんだもんなぁ」と、やるせない顔になった。


「でもこの格好だと補導されたりしない?」

「もう夏休みに入ってるんじゃないか」


 もうそんな時期なんだ、期末テストもブッチしちまったなぁ。


「私が中学一年の時に着てた三学期ごろに着れなくなった奴だけど有効活用してくれや」

「代金はワニ革で足りるか?」

「十分すぎて御釣りが出るよ、猿爺の剥いだ皮は指名で入荷待ちだしな、お得意さんに流しとくわ」

「そんなン聞いてねぇよ」

「そりゃ商売だからな」


 悪びれずにシレっというが、まぁそりゃそうだ。


「猿爺の革をブランド化したのは私だぞ、それぐらい取るさ。次はその分付けるからさ。また戻ってくるんだろ」

「この子を産んでからだろうから、最低でも来年の春ぐらいじゃないかな?」

「ねーちゃんが姪っ子を産んだ時は、授乳やらおむつやらで産んでからが忙しそうだったぞ、お腹が大きくなって動けない時に内職したくなったら電話くれ」

「あ、そうだ、電話貸して」


 スマホは孝道様に取り上げられてるんだよね、改めて考えたらヤバい系束縛彼氏だな孝道様。でもまぁ今からやることを考えたら正解かも。


「私の本名は、今は国枝紀子、正式に籍を入れたら兵部紀子になるんだ」

「そうかい、私は岩崎サーヤだ、よろしくな紀子」


 店の電話を差し出したサーヤから受け取り、空で覚えている電話番号をプッシュした。


 シュンは10コール位で電話に出た。

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