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師匠との生活

「あれ? 師匠が居ない」


 目が覚めたら一人だった。窓の外は夕暮れ時だ、日付は変わっていない。なんか今日はずっと寝てた気がする、夜ちゃんと寝られるのだろうか? ん~多分寝られる、私が寝ていても私たちの誰かと師匠が話していたもんな。そういうことが分かるようになってしまった。師匠が私からトラウマ記憶を切り離したとき、私と私たちとの境界線がハッキリ引かれたんだと思う、あんな酷い記憶を引き受けてもらって申し訳ないなって思ったら「問題ない」っと、初老の男が言っている気がした。


 師匠のベッドから降りて浴室へ行く、洗面台に映る寝癖を手櫛で治して顔を洗う。私の髪は三つ編みにしても癖がつかないので寝ぐせもつきづらい、長いのが邪魔なんだけどね。浴室に干してあったパンツを手に取って乾いているかをチェックする、換気扇だけでも結構乾くもんだなぁ。いやだってさ、着替えが無いんだよ、パンツもこれしかないから、手洗いして干しといたんだよ、さっきまで? もちろんノーパンでした。


 師匠と初老の男が丁々発止やってた最中、ノーパンだったんだぜ? ははは笑える、下は掃除婦ジャージだけだった、かっこつかねぇ。

 あんなやりとりをしている最中に私が考えていたことは「こんなこと言って、わたし今ノーパンなんだぜ」だもんね。


 パンツを履いて人心地つく、パンツのありがたみはノーパンで過ごしたものにしか分からんね。、布地の厚い部分がしっとり冷たいけれど、まぁそのうち乾くだろ。


 学校を休んでしまった。昨日の午後に早退して今日1日休んで、高校生になって二ヶ月で初めて休んだ、出席日数を気にする段階ではまだ無いし、テストで良い点を取れば、問題なかろうなのだ。問題はシュンだよなぁ、後ときちゃんとさっちゃんと連絡をとりたいんだけど、そういえば学校にスマホと鞄を置いたままだ、取りに行かないといけない。

 シュンと言えば、バイクを買わないとな。もう二人乗りしたくないし。


「あ、アロエリーナをベランダに出したままだ」


 帰るか? 帰っちゃうか?? 師匠居ないけど。鍵持ってないから鍵かけられないんだよなぁやっぱ待っといた方がいいかなぁ。今日は木曜日か、水曜日の家政婦の仕事をさぼってしまった。せっかくの稼ぎがパーだ。よし、師匠を待っている間、掃除をしておけば良いじゃない、水曜分ということでやっとくか、もしかしたらお駄賃をくれるかもしれん。バイク代も稼がないといけないからな。


 とりあえず何時ものルーティーンでお風呂掃除から初めてトイレ掃除からリビングへと掃除が終わったところで師匠が帰ってきた。


「何をやっている?」

「水曜日抜けた分のお掃除をと思いまして、あ、ちょっと早いですがお風呂のお湯は張っときます?」

「いらん、行くぞ」

「あ、はい」


 そそくさと掃除機をしまって師匠の後に続く、玄関から出た師匠と乗り込むと車が動き出した。


「そろそろ帰りたいかなーって、あと学校にカバンを取りに行きたいです」

「まずはお前のマンションだな」

「まずとつくということは、私を送って解散というわけではないと?」

「初老の男との契約には、監督責任も含まれる。紀子は私のマンションで預かる」


 は~そうなのか~。

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