師匠と四人の私
一気に書き上げようかと思いましたが、今日はもう目が限界です。
師匠は指を4つ立てて見せた。
「一人目は、主人格、お前が自分だと思っている人格だ。陽気でお調子者、ボケーっとしてるか楽しそうに何かを作っているか、天然で間抜け、善良で依存気質が強い」
え、私って師匠からそういう風に見られてるの? ちょっとショック。
「まぁ一緒にいて楽しい奴だ」
あ、そうなんだ、よかった。
「二人目、幼女、4~5歳位だな、寂しさを担っているようだ、お前は自分で自分を孤独に強いと思っているようだが、本当は寂しいと酷く落ち込むくらいお前は寂しがり屋の甘えん坊らしい、孤独に耐えられなくなって寂しさを切り離したのがその子だ」
ま、まじですか。言葉にならない、自分の心の中を見透かされているような怖さがある。
「もーちゃん、オーバーオールを着た白熊のぬいぐるみに心当たりが有るか?」
「……あります、お母さんが、幼稚園の時に怖い夢を見ては泣く私のために、つくってくれた、タオルとジーンズの端切れで作った」
「探してるぞ、見つけてやれ」
「夜中に鼻血を出して、血まみれになって、それから、どうなったのかわかりません」
「捨てられている可能性もあるか、代わりになるものを用意しよう、抱き枕で良いか?」
「え、師匠が用意してくれるんですか?」
「お前は寝ている時、抱き着き癖がある」
え、うそ、恥ずかしい。一緒に寝たの? ねぇ、師匠と一緒に寝たの? 私。
「この幼女は自分をのりちゃんって呼んでるから、主人格であるお前と統合してもまず問題ない、私の見立てでは早めに統合した方がいい、イヤイヤ期が過ぎたころでおとなしい子だからまだ問題が少ないが、我が出てくると、問題を起こすかもしれない。統合後は一人暮らしは辞めておいた方がいい、一人で寝られなくなるぞ」
あ~時々幼児退行してたのって、寂しさが原因だったんだ。人肌恋しいってことなのかなぁ?
「三人目、初老の男、相当な難物だがお前の見方だ」
師匠が言葉を切ってお茶を一口飲んだ、私の喉もカラカラだ。
「お前が知識を披露するときや、計画を立てるとき、ゾッとするような達観を見せるとき、主人格のお前の後ろに立っているのがこの初老の男だ。この男にとって、お前は娘か孫のような存在らしい、主人格が重大な過ちを起こすようなときは、この男が止めさせている、心当たりが有るようだな?」
「あります」
お母さんがホステスになったことを知って、ショックで家出をして、体を売って生活をしようとしたことがあった。そのままだったら今頃ヤクザの情婦か売春窟で性病に塗れて死んでたかもしれない。でも、こんな事じゃだめだ、暇なら家事をすればいい、そう思ったんだった。
「ほとんど守護霊だ、統合する必要はない、なんなら話せるようになった方がいい、俺ももっと話をしたい、服を脱いだのも、洗濯したのもこの初老の男だ。家事は得意じゃないらしいな」
「そう、なんですか」
自分の事なのに、よくわからないことが多すぎる。
「だが、初老の男は今とても忙しい、お前のネガティブな感情を4人目に築かせないために、必死でお前の心を守っている」
「4人目、青ざめた男」
師匠が最後の指を折ったとき、私の全身に鳥肌が立った。




