火曜日のバイトの無い日
メリークリスマス(間に合わなかったぜ
ときちゃんとさっちゃんと毎朝の登校中にめっちゃ絡まれた。
「昨日の夜の人って誰?」
「家政婦のバイト先の人」
ときちゃんの目がなんか怖い、何時もなら止めてくれるさっちゃんも前のめりで静観モードだ。
「普通バイト先の人は迎えに来たり送ってくれたり見つめ合ったりしません!」
「そんなこと言われましても」
まぁ確かに16時~20時までのバイトで一日三万円は破格の待遇だろうなぁ。根掘り葉掘り聞いてくるときちゃんに昨日やった仕事内容なんかを弁明していたら、通い妻じゃん!→援助交際じゃん!→光源氏じゃん!! っとどんどんヒートアップしてきた。
「私ののりちゃんが汚されちゃう!」
「いや、ときちゃんのじゃないからね」
ときちゃんにガクンガクンん揺すられた挙句に抱きしめられて、往来でセンシティブな事を叫ばれるのはちょっと困る、さっちゃんに助けを求めたら、さっちゃんはさっちゃんで真っ赤な顔になってぼんやりしていた、おーい帰っておいで、私はさっちゃんの妄想の中でどんな目にあっているんだ? 清い体だからね?
周りがザワザワしてきたので教室まで二人を引っ張っていくと、そこには見知らぬ先生らしき男が居た。まだホームルームの時間には余裕があるんだけど何だろう? とりあえず「おはようございます」とだけ言っておいて、通り過ぎようとしたら肩をつかまれた。
「君が七田紀子君だな」
「あ、はい、そうですけど……」
いやいきなり触んなよ、強制的に振り向かされて両肩をガッシリ掴んてくる、ネットりした視線が顔から胸元へと這いまわるのがわかってしまう、うひぃ気持ち悪い。
「大事な話があるから来なさい」
もう授業が始まりそうなんですが、というときちゃんの抗議を無視して先生らしき男は私の肩を抱いて教室から出てしまった。私の体重が軽すぎてこういう事されると簡単に動かされてしまう。っていうかさ、普通に触りすぎだろ、あんまりな出来事に脳がフリーズしてたわ、振りほどけそうだし、膝裏に蹴り入れて腕の関節決めたら簡単に制圧できそうだなぁと考えていたら、どうも目的地に着いたらしい。そこは校舎の突き当りにある空き教室だった。
「座りなさい」
「要件は何ですか?」
そう促されてパイプ椅子に座ると、先生らしき男は何か満足げにウンウンと何かに納得しながら私をネットり見ていた。
「先週の金曜日に張り出された中間テストのランキングで君は1位を取ったね、凄いじゃないか」
「見ていないので知りませんでした」
拍子抜けした先生らしき男は気を取り直してまだまだ続ける。
「君の学力は素晴らしい、聞くところによると君は家庭の事情で進学を諦めたそうじゃないか、私の受け持つ特進クラスに編入すれば奨学金を受けられ」
「いりません!」
サッと立ち上がってドアまでライトニングステップする、こいつドアに内鍵かけてやがる、ドアを開けて「まちなさ」「ダンジョン協会に就職します!」言い切ってから勢いよくドアを閉めて教室までダッシュした。
触られたところがなんか気持ち悪い。
くそう、なんかちょっと涙が出た。




