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青い日々  作者: 光樹
6/6

6話 暇な時間

夏休み真っただ中、麻美は近くの本屋に立ち寄っていた。

今日は特に予定もなく、宿題も無事終わらせたので暇だった。そういえば新刊出てたなーとふらっと来たのだ。

と、漫画コーナーに向かうと知っている後姿を発見した。

「仁?」

「ん?」

間違えるはずもなく浦和仁である。新刊コーナーをうろついていた辺り目的は麻美と同じと見える。

「瀬戸も漫画?」

「そ、新刊今日だったから」

視線を漫画の方に向ける。残り一冊だが目当ての本を発見した。

しかしそこで強烈に嫌な予感がした。

「仁さんよ、目当ての漫画ってどれ」

「麻美さんよ、多分想像通りだ」

とりあえず一冊確保。その足で店員の元へと向かい在庫を調べてもらう。

「すいません、そちらが最後の一冊になります」との回答を得たので二人は顔を突き合わせた。

「ひとまず一冊は買うとして、近くに本屋ってあったっけ」

「駅前のデパートの中にあった気がする。後は隣駅にもあるかな」

そうしてお会計を終えた二人はその足で駅前のデパートに向かった。

「仁、この後予定は?」

歩きながら話かけると仁は首を振る。

「あるとお思い?」

「私以外の友達作ったらいかがですか」

「友達作ったら瀬戸が寂しがるかと」

肘で小突いておく。

「てか瀬戸こそ用事は?バイトとかいれてないの?」

「今日はバイトもないし、友達との予定もない」

なにはともあれ二人とも暇なのである。そして今はちょうどいい暇つぶしである。

駅前のデパートに到着し中に入ると二人は一直線に本屋へと向かった。

「みっけ」

そして無事に目当てのものを手に入れることが出来た。

「仁―、ちょっと洋服見に行ってもいい?」

目当てのものを買い、そのまま帰るというのも何なので仁を拉致して洋服屋に向かう。

因みに返事は聞いていない。

余りお高いところは買えないので学生でも買えそうなショップだ。

「どれがいいかな」

そろそろ新しいスカートを買いたかったので物色を始める。その隣では同じように仁がスカートを吟味していた。

「なんか馴れてるね。女装趣味でもあったのか」

「親戚の買い物によく付き合わされるから。最初は抵抗あったけどもう慣れた・・・」

どこか遠い目をする。何やら色々あったことがうかがえる。

「女性の親戚なんていたんだ。初耳」

「同い年の従妹。母親に言わせるとお人形さん」

よくわからない情報が出てきた。

「それは可愛いってこと?」

「可愛いと言えば可愛いのだろうけど、若干意味が違う。喋らないのよ殆ど。

可愛くて無言だからお人形さん」

褒めてるのか貶しているのか微妙な線だ。というかそこまで言われるほどの無言って大丈夫なのだろうか。

「で、そんな奴を一人で洋服買いに行かせてもろくなことにならないから、俺が付き添いさせられてる」

興味ある話ではあるが、あまり突っ込んで聞くのも気が引ける。

そうこうしていると仁が一着のスカートを手に取ってこちらに見せてきた。

「なあ、瀬戸。これなんか似合うんじゃないか?」

薄いベージュのロングスカート。お値段も手頃で今着ている上着に合いそうである。

「ほう、いい趣味。一つはそれにしよっと。あと一着欲しいんだけどどれがいいかな」

「合わせるやつはどんなの?」

単品で選ばず合わせる服を聞いてくる時点で相当洋服を買うのに慣れている。

いつかトータルコーディネートをしてもらってもいいかもしれない。

「んー、合わせるやつは気分次第だけど普段使いしやすいシンプルなものがいい」

言葉の中に少しだけ願望が混じる。選んでもらったものを普段使いしたいという願望。ただそんなことを気づくはずもなく仁はスカートを選びだした。

数分後手に取ったのは。

動きやすく軽めのフレアスカート。色合いも落ち着いたものだ。もちろん値段も手頃。

「もう私より趣味がいいのでは」

「素材がいいからな、選びがいがある」

さらりと言われたことに意識してしまうのは惚れた弱みだ。

「ありがと。今度仁のも選んであげよう」

「頼む。自分のだとめんどくさくて適当になるんだよな」

そんなこんなでお会計を済ませて店を出る。図らずもいい買い物をしたものだ。

デパートを後にしての帰り道。

「明日って暇?」

仁にそう言われて明日の予定を思い出す。

「午前中はバイトだけど、11時上がりだからその後は暇」

「ならその後遊ばない?」

「いいよー。なんか行きたいとこでも?」

「特に」

「なにそれ」

用事もないのに誘うとは珍しい。何か心境の変化でもあったのだろうか。

「夏休みで暇」

「私は暇つぶしかい」

「瀬戸と一緒は楽しいからな」

「・・・」

一瞬立ち止まる。

深い意味はないのかもしれない。ただそれでも期待してしまうのは仕方ないだろう。

「ねえ、仁」

「ん?」

振り向いた仁の顔を見て笑みをこぼす。

「やっぱりなんでもなーい」

冗談めかしに言って仁の横を速足に通り過ぎた。後ろから慌てて追いかけてくる足跡が聞こえる。

「なんなんだ」

後ろからの文句をスルーして前を見ながら歩く。

今日もいい天気だ。きっと明日も晴れる。


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