秘密の関係
その日の夜モーリスは独り、部屋の中で放心していた。先程話した気持ちは本心だった。分かっていた事だ。それでも心は悲鳴を上げていた。ただ悲しくて、悲しくて。
「コンコン。ティアです。入っても宜しいですか?」
「はい」
扉を開けて入ってきたのはメイドのティアさんだった。
「どうしたんですか?」
するとティアさんが優しく抱きしめてくれた。
「貴方はとても優しくて、そしてとても不幸だわ。私が側に居てあげる。だから今は泣きなさい」
俺はティアさんに抱きしめられながら大泣きしていた。
「とても辛かったでしょう。私達にはあの方達の中に入って行く事は出来ないわ。ただ側で見守るだけよ。だから今日は私が貴方のマリーナになってあげる」
するとティアさんがそっと優しく唇にキスをして来た。
「私はずっとあの方達の側に居たのよ。とても耐えられる物ではないわ。それこそ一人でしていたわ。最近では毎日一人でしているの。私もとても辛いの。だから私が貴方のマリーナになってあげる。その代わり私をマリーナと想って愛して」
また唇を重ねてくるティアさん。分かっている。ティアさんは僕を利用して欲求を満たしたいだけ。だけど僕はティナさんに甘える事にした。
「マ、マリーナ」
「ちゃんとマリーナの顔を思い出して。彼女を思いながら名前を呼んで」
「マリーナ。マリーナ」
俺はティアさんをベットに押し倒してキスをした。するとティアさんが持っていた布を僕の目に当て目隠しをした。
「ちゃんとマリーナの事を想像して。そして貴方のマリーナへの気持ちを私に伝えて。貴方の本当の気持ちを」
「あぁ。マリーナ。僕はずっとマリーナとこうしたかった。ずっと心も体も繋がりたかった」
「モーリス。愛しているわ。だから私を愛して」
僕達はいけない事と分かっていても止まらなかった。
「モーリス。もっと。もっと私を愛して」
「マリーナ。愛してる。今俺達はちゃんと繋がっているよ」
「モーリス。あぁ。モーリス。もっと、もっと私を感じて」
僕達はそれこそ明るくなるまでお互いを慰めあっていた。