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☀ 少年探偵の “ マル秘 ” 推理日記  作者: 雪*苺
【 枝を折ったのは誰だ?! 】全4話
6/19

✒ 桜の木 2‐3


モリアーテ

「 ──成る程ね、流石はホームスだな。

  これなら推理がし易いよ 」


ワトスン

「 モティ、もう推理出来ちゃうの?

  凄いよぉ!! 」


モリアーテ

「 ふははははぁ!!

  もっと褒め賜恵よ、ワトスン君! 」


ワトスン

「 どんな推理なの、モティ 」


モリアーテ

「 コホン…。

  この【 桜の木の枝、切断事件 】の真犯人は──── 」


ワトスン

「 真犯人?!

  真犯人は誰なの?! 」


ホームス

「 肝心の推理をすっ飛ばして真犯人って、正気なの? 」


モリアーテ

「 まぁ、聞きなって!

  いかい、今は『 真犯人は、お前だ!! 』って宣言してから推理へ突入するのが探偵のあいだで流行ってるんだよ。

  りゅうこうに便乗する柔軟さが探偵にも必要なのさ! 」


ワトスン

「 そうなんだ?

  探偵の流行りを熟知してるなんて、モティ凄いね! 」


モリアーテ

「 まぁね!

  僕の事はりゅうこう王子とでも呼んで崇めてくれて構わないよ! 」


ホームス

「 それで……どんな推理なの? 」


ワトスン

「 ホム、先ずは犯人を聞こうよ!

  推理は犯人が分かってからでも遅くないよ! 」


ホームス

「 ………………モリアーテに任せるよ… 」


モリアーテ

「 任された!

  じゃあ、【 桜の木の枝、切断事件 】の真犯人は──ズバリ、先生だ!! 」


ワトスン

「 先生?!

  えっ……どうして先生が犯人なの??

  ねぇ、モティ……どういう事なの? 」


ホームス

「 モリアーテ、きみの推理を聞かせて 」


モリアーテ

「 いいとも!

  先ずは “ 猿が犯人説 ” についてだけど、“ 猿が犯人 ” は無い 」


ワトスン

「 えっ?!

  猿は犯人じゃないの?!

  僕の推理ははずれたって事? 」


ホームス

「 ワト……きみは推理してなかったろ… 」


ワトスン

「 絶対に猿だと思ってたのにぃ~~! 」


ホームス

「 先生達が仕組んだ事件なんだから、猿が犯人は無いよ… 」


モリアーテ

なんで猿を犯人からはずしたのか今から説明するよ。

  猿だって必要が有れば──、無くても桜の枝ぐらいは折る事も有ると僕も思う。

  だけど、この探偵学院内には猿をペットとして飼っている先生も生徒もない事が理由の1つ目。

  動物園から脱走した猿──しくは、餌を求めて山から降りてた猿が探偵学院の敷地内へ侵入して “ 桜の枝を折った ” っていう事も無くは無いかも知れないけど、先ず猿が動物園から脱走すればニュースになる。

  猿が山から降りててもニュースになる筈だけど、それらしいニュースは放送されてないし、学院内でも噂にすらなっていないのが理由の2つ目。

  この探偵学院の警備体制は脱獄不可能な監獄レベルに厳しいのは知ってるだろ?

  人間ですら侵入困難な探偵学院の敷地内に猿が侵入するなんて事が先ず有り得ないのが理由の3つ目。

  この3点の理由から推理して、“ 猿が犯人説 ” の線は消したよ 」


ワトスン

「 …………確かに…そうかも…… 」


モリアーテ

「 次に “ 生徒が犯人説 ” も無い。

  探偵学院の理事長先生が怒ると『 地獄の閻魔様ですら裸足で逃げ出すぐらい恐ろしい 』って事は知ってるだろ? 」


ワトスン

「 うん…… 」


ホームス

「 確かにね。

  理事長先生の恐さを知らない先生や生徒がたら『 モグリだ! 』って言われているぐらいだからね。

  僕達は探偵学院の入学式に、理事長先生の恐怖に骨の髄まで支配されたから、理事長先生が怒るような事をみずから進んでしようとする先生も生徒もない筈だね 」


モリアーテ

「 そのとおり!

  だから、探偵学院の生徒の誰かが理事長先生が大事にしている桜の木の枝を折るなんて、罰当たりな行為をする訳がないんだ。

  そんな事をした生徒は、先ず無事に明日あしたを迎える事は出来ないだろう。

  自分から寿命を縮めたがるイカれた変わり者なんて、い子ちゃんの探偵学院には先ずない。

  仮にたとしてもだ、そいつは即退学になってるよ 」


ワトスン

「 猿でもない、生徒でもないから、犯人は先生って事なの? 」


モリアーテ

「 そうなるね。

  いかい、ワトスン。

  この【 桜の木の枝、切断事件 】は犯人を生徒へ擦り付ける為に考えられた犯人先生の陰謀なんだ! 」


ワトスン

「 犯人先生の陰謀??

  どういう事なの?! 」


モリアーテ

「 理事長先生の大事にしている桜の木の枝を折ってしまったのは、実は犯人先生なんだよ。

  犯人先生にとっても桜の木の枝を折ってしまったのは、不可抗力──ワザとじゃなかったのかも知れない。

  イレギュラーに見舞われる事は誰にでもある。

  だけど、仮にイレギュラーに見舞われた不幸な事故だったとしてもだ、理事長先生は大事な桜の木の枝を折った犯人先生をけっして許しはしないだろう。

  だから、犯人先生は犯人を誰かに擦り付けて真相を隠蔽する事にしたんだ 」


ワトスン

「 事件の隠蔽?!

  犯人先生が自分の犯行を誰かに擦り付ける為に……。

  モティ、これこそ重大事件だよ!!

  犯人先生の被害者が出る前に今ぐ犯人先生を捕まえに行こうよ! 」


モリアーテ

「 だろ!

  犯人は【 桜の木の枝、切断事件 】を思い付いた先生達の中にる!! 」


ワトスン

「 モティ、凄いよ!!

  モティの推理力には感服したよ! 」


ホームス

「 …………違うと思う… 」


モリアーテ

「 よーし、先ずは先生達のる職員室へGOだ!! 」


 モリアーテとワトスンは【 桜の木の枝、切断事件 】の真犯人は教師達の中にると結論け、職員室へ向かって走り出した。


ホームス

「 …………絶対に違うと思う… 」


 ホームスはふか(ぶか)と溜め息をくとモリアーテとワトスンのあとを追って走った。

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