✒ 桜の木 1‐2
モリアーテ
「 見るんだ、友よ!
彼が例の桜の木の根元に埋められていたタイムカプセル──カンカンを掘り起こして盗んだ犯人だ!! 」
ワトスン
「 やった〜〜!
【 タイムカプセル窃盗事件 】解決の兆しが見えて来た! 」
ホームス
「 事件ですらないと思うけどね… 」
モリアーテ
「 よぉ〜〜〜し!
あのカンカンの中を確認しに行こう!
中身がタイムカプセルの物なら、犯人を現行犯逮捕する事が出来るんだ!!
僕達のお手柄だ!
新聞記事に写真が載って、雑誌からこぞって取材の依頼が来るぞ! 」
ホームス
「 雑誌の取材なんて来ないと思うし、新聞記事にも載らないと思うよ 」
ワトスン
「 ホムはロマンが無さ過ぎるよ!
新聞に雑誌──、ロマンがあって良いじゃないか!
早く中身を確かめに行こう! 」
ホームス
「 …………はぁ…。
逆に訴えられるかも知れないって何で考えないかな… 」
モリアーテ
「 ワトスン,ホームス、行くぞ!
いざ、推理の答え合わせへ!
いざ、真相を暴きに!! 」
ワトスン
「 おぉ〜〜〜!
犯人逮捕だぁ〜〜! 」
ホームス
「 …………はぁ… 」
モリアーテ
「 よし、犯人(仮)が何処かへ行ったぞ!
今の内にカンカンの中を開けて確認しよう!! 」
ワトスン
「 ドキドキするね! 」
ホームス
「 不法侵入罪で此方が捕まるってば… 」
モリアーテとワトスンはノリノリで住居不法侵入をすると、テーブルの上に置かれているカンカンのフタを開けた!!
ホームス
「 ワト,モリアーテ、カンカンの中は何だったの? 」
1人だけ不法侵入をしなかったホームスは、2人仲良く不法侵入を犯したモリアーテとワトスンにカンカンの中身を尋ねた。
3人の居る場所は少年探偵学院の院生達が寝泊まりする寮の中だ。
相棒メイトは同じ部屋で過ごす事が決まっている。
4人部屋になっているが、ワトスン,ホームス,モリアーテは3人で4人部屋を使っている。
この3人は謂わば、余り組という事だ。
2段ベッドは2つあり、2つ目の2段ベッドの下が空いている。
その空いているベッドの中に3人が腰を下ろして座り、向かい合っていた。
モリアーテ
「 カンカンはタイムカプセルじゃなかったんだ。
くっ、僕の推理が外れるなんて!
ガッデムだよ! 」
ワトスン
「 絶対にタイムカプセル泥棒だと思ったのになぁ…。
当てが外れたよ… 」
モリアーテ
「 カンカンの中はさ、女の人の裸写真ばっかりでさ、キモかったよなー 」
ワトスン
「 本当だよね。
あんな大人にはなりたくないよね。
それにしても…何処で裸写真を手に入れたんだろうね?
裸写真をカンカンの中に入れて、桜の木の根元に埋めてた──って事だよね? 」
モリアーテ
「 そうなるよな。
まさか、エロ写真を入れたカンカンだったなんて…。
僕達の期待を裏切りやがって!
許せないな 」
ホームス
「 勝手に期待してたんだ… 」
ワトスン
「 だけどさ、写真の肌の色だけど、やたら白かったよね? 」
ホームス
「 そうなんだ?
どんな写真なのか見れなくて残念かも… 」
ワトスン
「 ホムも入って来たら良かったのに 」
ホームス
「 あのね…不法侵入は立派な犯罪だからね 」
モリアーテ
「 カンカンの中に入ってた写真なら、写メっといたよ。
僕がスマホを持ってて良かったろ! 」
ワトスン
「 モティ、流石だよ!
抜け目ないなぁ 」
モリアーテ
「 もっと褒め称え賜恵よ! 」
ホームス
「 モリアーテ、勿体ぶってないで画像見せてくれない? 」
モリアーテ
「 ほら──、これがカンカンの中に入ってた写真さ。
キモいだろ?
あの男は変態だな! 」
ホームス
「 …………確かにどの画像に写っている肌は白いね。
これって……永久死体って言われる蝋人形じゃないかな? 」
モリアーテ
「 蝋人形ぉ??
蝋人形を裸にして撮った写真って事? 」
ワトスン
「 え゛ぇ〜〜…余計にキモ悪いじゃん… 」
ホームス
「 多分だけどね、これは全部…屍蝋の写真だよ。
低温多湿な環境下で適切な処置を施す事でタンパク質が蝋に置き換わる特殊な──朽ちないミイラ… 」
モリアーテ
「 何でホームスは、そんな事が分かるんだよ? 」
ホームス
「 先週借りて読んだオカルト雑誌に屍蝋関係の記事が載ってたからね。
屍蝋が出る推理小説も結構あるし 」
モリアーテ
「 ホームスってそっち系かよ… 」
ホームス
「 はぁ?
言っとくけど、 “ オカルト探偵 ” なんて目指してないから! 」
ワトスン
「 だけどさ…何で態々屍蝋の写真を集めてカンカンの中に入れて、桜の木の根元に埋めてたのかな?
カンカンの中に入れて持ってればいいのにさ。
普通は穴を掘って隠したりしないんじゃないかな? 」
モリアーテ
「 …………この事件は未だ終わってない気がする! 」
ホームス
「 強引に事件へ結び付けるの止めない? 」
モリアーテ
「 気になるだろ!
あの男が何処からキモい屍蝋の写真を入手してるのか!
何で態々穴を掘って隠す必要があるのか!
何で桜の木の根元なのか!
謎だらけだろ。
これは未だ推理を続けるべきだ。
真実を明らかにする為に、推理を続けよう! 」
ホームス
「 …………ワト、抜けよう。
これ以上は首を突っ込まない方が良いと思う。
屍蝋の写真をコレクションしてるコレクターなんて120%マトモな奴じゃないよ。
然も何れも屍蝋の裸体だよ。
絶対にヤバい。
此処で退いた方が良いよ 」
ワトスン
「 ホム…。
心配性過ぎない?
別に推理するだけだし、あの変態男と接触するって言ってるわけじゃないよ 」
ホームス
「 あのね…幾らグランパやグランマが名探偵でも、僕達は未だ探偵のタマゴなんだよ。
危ない事はしない方が良いよ。
もっと安全な事を推理しようよ 」