表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PANDEMIC-GIRL  作者: 斎田 芳人
1/28

プロローグ

世界の底。

とある街の離れにある集落。

昼間でも薄暗いこの場所に、光はない。


そんな一角を若い男が、野良猫のように走り抜ける。

薄汚いTシャツによれたジーパン。


「くっそ〜〜、やっちまった…」


靴は泥をはねる。そんな男の後からもう一人、型位の良い男が追いかける。


「あああもう、こんなことになるんだったら仕事受けなかったのに…」


弱音を吐きながら逃げる男の手には、むき出しになった注射器。


そんな様子を、幼い少女はただ見ていた。

いや、見ているかもわからなかった。

ボロボロになった布一枚を泥だらけの身体に巻き付け、座っていた。

敗者の器を前に、目は焦点があっていない。

もはや生命の灯火があるかさえ怪しい。


このような光景は珍しいものではなく、スラムではそこかしこで見られた。

だからこそ少女は、誰にも相手にされず座っていられるのだ。


男はそれを目にした。


「!…こうなったら…」


しばらくして、数歩先で男は捕まった。

漢は胸ぐらを掴み、男に問いかけるが


「い…いやこれ、カラだったみたいっすわ、は、ハハ…」


それから男が集落に現れることはなかった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ