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門を潜った
6歳位の時にまた和哉がいきなり
剣道やりたい。
と始まった。何処で覚えてくるのやら。
そうして母はまた道場を探す。2週間後には和哉は道場の門を潜っていた。
先生が私達に近づいて来て、
双子かな?2人共入るの?
と聞かれて、母は和哉の背中を押してこの子だけ。
と小さく呟いた。
和哉は、お兄さん達が迎えに来てくれて手を繋いで入って行った。
君は良いの?
と聞かれたので、
私は見ています。まだ小さいから。まだ4歳なの。
と大きな声で言うと皆んなに笑われた。
何で笑っているのか分からない。
母があんたは小さくない。とボソリと言った。
ん?身体が大きいって事?
幼稚園では1番後ろだからあっ!大きいのか!
そう言う意味か。
背は大きくてカズ君と一緒位だけど、小さいです。
と言うとお爺ちゃん先生が大きな手で頭を撫でながら
そっかぁ。良い子だね。
と言ってくれたので、嬉しくなって、
はい。私良い子です。頭も良いです。あいか漢字書けるの。
と言うとまた皆んなから笑われた。
母が耳元で、黙って。頼む。と小さく言うので、何で?と返した。