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お題シリーズ

隠し物 隠す理由

作者: リィズ・ブランディシュカ



 目の前には死体があった。

 頭から血を流して、目を見開いたまま床の上に倒れている。


 人目に触れないうちに、この死体を速やかに隠さなければならない。

 俺が殺害したわけではない。

 けれど、俺はこの死体を、どうしても誰にも発見されない場所へ移動させる必要があった。


 俺はこいつに恨みがあるわけではない。

 だが、かといって安らかな成仏を願うほど善人でもない。


 ようするに、この死体となった人間の事は、俺が好きでも嫌いでもないどうでも良い人物だった。


 けれど俺は、そのどうでも良い人間の死体を、いいや死体をつくった犯人をかばうために、どこかへ隠す。


 その犯人は俺の事をどうも思っていないだろう。

 好きでも嫌いでもない、どころか俺の事を知りもしないに違いない。


 それでも俺は犯人のために、いや彼女のためにこの死体を完璧に隠してみせる。


 死体に大きな布をかぶせて包み込む。

 作業着を着こんで、引っ越しの荷物でも運んでいるように装った。


 そうして、犯行現場から遠ざかると、ちょうど犯人と入れ違いになったところだ。


 俺は、誰かに見られているとも知らず、無防備に家へ入っていく彼女を見て、その場を去った。


「まさか俺と同じようなストーカーがもう一人いたとはな」



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