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やはり強い2



「クソ!〈浮遊〉!!」




地面に落下する直前で態勢を立て直す。

俺が空中に移動すると同時にカリグラが落下してきた。

やはり空には留まることが出来ないようだ。



 一回のジャンプであそこまで移動し攻撃してくるなんて。

身体能力超強化のスキルはやはり強い。




あれに対抗できるスキルはないか?




〈刀剣〉〈物質変換〉



刀の強度を極限まで上昇させる。



「戦闘中に申し訳ないけど。その刀の素材は?青色の綺麗な刃をしてるけど……」

 


…………………オリハル




「それ以外もなんか使えよ!頭悪いのか!」



悪いけど?とりあえず硬くて刀に向いていたら何でもいいだろ!




「まったくもう!!……これが終わったら勉強しようか」




なんか親みたいな事言うね。

もう親の顔なんて忘れたが……。

それに俺が生き残れるか分からないぞ?




「大丈夫だよ。あんたはこんな所で死んだりしないよ」




魔神様にそんな事、言われたら自信がつくな。

やってやるさ。



俺は地上に降りる。



 遠距離攻撃を繰り返す事も考えたが、そのせいで相手は見失ってしまう。



 カリグラのように高速で動ける相手に対して視界を悪くする爆発を伴う攻撃はこちらを不利にする。



先程の後ろからの一撃でよく学んだ。

使用するスキルを自己再生と防御のスキル、そして刀剣に属性を付与する物のみに絞る。



 複数のスキルを同時に使うより少ないスキルを高出力で使う。



この方がまだ戦えるだろう。





「覚悟は決まったかい?では死んでくれ」



ドン!!



 その音と共にカリグラが目の前まで接近してくる。

そして拳が俺を襲う。



今まで速く動ける奴と沢山戦闘してきた。


速いと分かっていて油断しなければ反応できる。



俺はその拳を刀の刃で受ける。



ガキンッ!!



なんて音だ。生身の拳と刀がぶつかった音とは思えない。




そのまま後ろに下がる。


下がったというより押された。

刃で受けたというのにカリグラの拳は傷一つない。



そしてまた俺に向かってくる。



攻撃に入る予備動作は分かる。

しかしそれを確認した後は一瞬にも満たない速度で攻撃が来る。




反応が遅れれば死ぬだろう。



〈超再生〉のスキルでも傷は治るが、失った血や手足は戻らない。

そんな万能なスキルなんて無い。




「よく反応するね。じゃあもっと面白い物を見せよう」




カリグラは俺から距離を取り構える。

そして拳を俺に向けて突き出す。




その直後、俺の頬を何かが掠めた。

血が流れる。その傷は瞬時に塞がった。



「何が……起きた?」



「あれ?外してしまったか。久しぶりだと難しいな」




カリグラがもう一度構え、空中に向けて拳を突き出す。




よく見ろ!何か飛び道具でも使っているのか?さっきは何も見えなかった。

今度は反応できないとやられる!




俺は咄嗟に横に飛ぶ。




すると俺の後方に残っていた木が突然倒れた。

やはりよく見えない。



「カイアス!あいつは拳を突き出した時の拳圧で空気の弾を押し出して攻撃してるんだ。空気の流れが変わるから意識しな!速度はそこまで速くないよ!」




そんな事まで出来るのか?!



なら距離を取られるのはこちらが不利だ。



〈空間転移〉




俺は刀を構え、カリグラの真横に転移する。




「もらった!その腕を斬り落としてやる」



カリグラは少し反応が遅れたようだが、脚を上げ俺の刀を持っている腕を蹴り上げる。

そしてまた距離を取る。



「ふぅ。驚いたな。君は一体いくつスキルが使えるんだ?その姿と何か関係があるのか?」


「お前に答える必要はない!」



 俺は転移を繰り返しカリグラの周囲から斬撃を繰り出す。



しかしカリグラは反応する。

拳と蹴りで俺の刀を弾く。



戦闘においてはセンスの塊だな。こいつは。



 この戦闘の間に〈魔神〉の出力もジワジワと上がっている。

今何%なのかよく分からない。

90%くらいか?



 使えるスキルの数が増えたり、身体能力が底上げされても元々の俺が弱いんだからあまり意味がない。




「別にあんたは弱いわけではないんだけどね。人間の物差しで考えたら十分強いさ。」




だが、今勝てないなら弱いって事だ。




「そうだねぇ。今はこいつに勝つのは難しいだろう。100%でもない限りね。でも気付かないかい?これは殺し合いじゃないんだ。次の皇帝ってやつを決める戦いなんだろ?カイアス。あんたは一つ誤解しているよ?」




なんだよ?その思わせぶりな言葉は。




この間もカリグラの連撃は止まらない。

刀で弾く。火花が散る。なんで拳と刀がぶつかって火花が散るんだ?



こいつの拳は鋼鉄なのか?!



俺は刀に炎を纏わせる。

これなら刀剣は防げても熱は防げないだろう。




炎を纏う刀を見てもカリグラは動じる事もない。




「うん。前にも同じような対応をしてきた人がいたな。なかなかいい手だとは思うけどね」




そう言うとカリグラは懐に入れていたであろう手袋をはめた。

そして俺にまた向かってくる。




俺は炎刀をカリグラに振り下ろす。



しかし、カリグラの拳に止められた。

熱を感じないのか?

 



「不思議そうな顔をしているね。この手袋は特別なんだ。断熱の効果があってね。こうした時に使えるようにいつも持ち歩いているんだ」




そんな万能なアイテムがあるのか。



ヴィクトリアもそうだったが、そうした事に瞬時に対応できる判断力がこいつも凄まじい。



俺にはこうしたものはないな。



「そんな事はないさ。それにそうした事を補うのが私たちの役目だね。それでさっきの続きだが、別にこいつを殺す必要はないんだよ。後こいつしか残ってないなら、この敷地の外に吹っ飛ばせば勝ちだ!」



…………凄いな!



普段、あんなにバカっぽいのに!




「あ゛あ゛ん!!折角アドバイスしてやったのにお礼がそれかい?次、あんたが寝た時覚えとけよ?前より言葉では言えないすごい事してやるからなぁ!!」




やべえ。余計なこと言ったわ。



「うん!余計な事言ったよー。お姉様、部屋に篭っちゃったよ」


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