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魔界デート


 1時間は歩いた。不思議と疲れない。




 相変わらず横の女性は俺と腕を組みルンルン気分で鼻歌を歌っている。



ご機嫌だなぁ



 あれから悪魔も数体出てきたが、炎だったり風だったりと、よくあるタイプしかいなかった為、セーレが瞬殺した。




森を抜けた。



 今度は大きな湖だ。どんな地形してるんだ?



「セーレここは?」



「デカい湖だね」



「それは分かるけど、地名とかないの?」



「ないね」



「そうなんだ」




 魔界適当だな…とか考えていたら湖の中心から泡が出ている。



「セーレ。湖から何か出てくる」



「分かってるよ。あいつは今までの奴らとは違うかもしれないね」



 その時、湖の中からこちらに向けて水の槍が飛んできた



「弾けろ!」



セーレが叫び水は弾けた。



「移動するよ!」



 セーレが離れ、走り出す。湖の周りを走る。




 水の中から、槍の投擲が続く。それも正確にこちらを狙っている。


 セーレが〈服従〉で止めているが、それをしなければ全て当たっているだろう。



 どうやって俺たちの位置を把握しているんだ?



 セーレが止まる。



水の槍の投擲は続けられるが、セーレが止めている為、害はないが…



「これはいいスキルを見つけたかもしれないね!水を操る奴と私たちの位置を特定できるスキルを持った奴がいる!」




 位置を特定する系のスキルか…



それは便利だ!是非とも欲しいが、どうやってやるんだろう




「私を認識している者!姿を現せ!そして動くな!」




そうセーレが叫んだ。


すると湖の中から何か出てきて。

1体は魚人だ。二足歩行の魚だ……

あいつが水を操っていたのだろう。

キモイ………




そして、もう1体、そいつは青い髪を持つ男性で顔や腕に所々に鱗がある。

こっちはキモくない魚人だ。




「さあ!私達に攻撃したんだ!覚悟は出来ているだろうね?お前たちのスキルを教えろ!」



キモくない方の魚人が答える。



「僕のスキルは〈水流操作〉です。水を操れます。」



ん?あれ?という事は………




「俺のスキルは〈探知〉です。一定範囲にいる生物の位置を特定できます。」



いやお前かい!



そんなツッコミを心でしたが、なるほど〈探知〉か…。それは便利だと思う。




「セーレ 〈探知〉は便利だと思う。使ってる奴が予想外だったが欲しい」




「分かった。命ずる。スキル〈探知〉よ。私の元へ来い。」 




 すると、キモイ方の魚人から光が抜けていく。そして、その光はセーレに向かって伸びて身体に入っていく。



「これで完了だ。〈探知〉が使えるようになった。使い方はあとでね。さてと、水よ。刃となってそいつらを刻め」




2体の魚人はバラバラになり湖に沈んだ。



「名無しの悪魔でこのスキルは当たりだね!名持ちの悪魔がいればいいんだが、そうした奴は知性も高いし、強い。

 居場所も転々としているから掴みづらいんだ」 





「〈探知〉使えばいいのでは?」



 

「…………………知ってるよ!気付いてたよ!」




本当かなぁ…


 ちなみに少し前に出て来た悪魔は一応悪魔と分類されるが、そうした名持ちの悪魔はそれに納得していない部分もあるらしい。

 悪魔、魔神たちにも人間のように階級があるようだ




〈探知〉




「ん!カイアス!上だ!上から何か来る!」




「上?雲しかないからよく見えない。」




「私から離れるな!」



 そう言ってセーレが俺を引っ張り密着する。



 これ逆に動きにくいのでは?




でもセーレが凄い警戒している。



言い辛い……




「空に何がいるんだ?強さとかも〈探知〉で分かるのか?」



「強さまで分かってたら、さっきの魚共は挑んでないよ!そうじゃなくて空中にいる、つまり翼持ちは上位の悪魔しかないんだ。撃ち落としてやる!」




そう言うとセーレは




〈浮遊〉を使い、周辺の岩を持ち上げる。



そして上空に抜けて発射する




 凄い速度だ。


 〈浮遊〉は物と自分を浮かせるだけだと思っていたが、100%の出力だと物を投擲する事もできるのか。


新しい使い方だ。



 これを使えば他のスキルを操りながら飛ばすだけでなく、高速で発射できる。

 そして、避けられても操り命中させる事も可能になるだろう。




 何か上から落ちてくる。

当たったのか?



いや!降りてきてるのか?



 俺たちの前に黒い羽が生えた悪魔が姿を現す。

 身体は男性のような感じだが、顔が馬だ!


馬人間だ!いや人間じゃなくて悪魔か




「貴様らか!!我に無礼を働きおって!

我を魔界の大侯爵サミジナと知っての事か!!

ん?人間と貴様は人間ではないな?」




セーレが話す



「お前みたいな馬面は知らないね!」



あの……セーレさん?

少し離れてもらえませ………



あれ?なんで俺の前にセーレがいるんだ?



なんで俺の横に馬人間がいるんだ?

近くで見るとよりキモかった。



「フハハハハ!これが我のスキルだ!そこの女!この男の命が惜しいなら動くでないぞ?」



馬人間サミジナのスキル



〈奪取〉



 相手が所持している物、手に触れている物を奪うことができる。

 服とかを奪うのは出来るが、センスがないのでやらない




俺ってセーレの所有物扱いなのか……



いや!そんな事言ってる場合じゃない!

俺は今スキルが使えない。



セーレに助けてもらわ………



「あの?セーレ…さん?」



セーレが身体を震わせている。

大地が揺れる。周辺から聞こえていた鳥や獣の鳴き声もピタッと止んだ。

空はさらに曇り薄暗くなり、雷が落ちる。



「………おい…。この駄馬ヤロウ…。何その汚い手で私の!私の!私のカイアスに触ってるんだ?」



え?あの………え?



 「貴様ーーー!!なぶり殺しにしてやる!!」




えっ?こわ……



セーレが過去最高にブチ切れた。

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