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楽しんで頂けると嬉しいです。

 ディオと学園内を歩く。先ほどの光景が綺麗で夢のような感覚にまだなってる。今、私の手を繋いでるディオの手が作り出したと思うと不思議で仕方がない。


「今度はお嬢様が喜ぶ場所です」


 ディオが扉を開けると図書館だった。家の図書は大体読んでしまったので、読んだことない図書を見ると胸が高鳴る。


(見た事のない書物ばかりだわ)


 ディオが手を離し笑う。


「お嬢様どうぞ、お好きなようにお過ごし下さい。まだお時間はありますから」


 私は大きく頷き、ゆっくりと本棚をまわる。

 どの本を読もうかとじっくり物色する。


 恋愛小説は昔から好きだった。家にある書物は専門的な書物が多く、恋愛になるよう解釈しながら読むという変な読み方をしていた為、本物の恋愛小説がこんなあると嬉しくて仕方がない。一冊の書物を手に持ち目を通す。


「リアーナ?」


 急に肩を叩かれてびっくりした。振り向くとロゼット様がいた。


「びっくりさせちゃったかな?ごめんね」


 私が悪いので、首を横に振り笑う。ロゼット様に聞きたかった。文字を書いた紙を見せる。


(私を襲った生徒はどうなりましたか?)


「まだ、処分は下せてはいないんだ」


(彼女、私に何か言ってたんですが、どんな事言っていたかわかりますか?)


「そうだな」


 ロゼット様が言い辛そうに目線を逸らす。多分私にとって良くない事だと感じた。


(どんな言葉でもいいんです。お願いします)


「あの時は何言ってたかわからない。今は、君を殺さないと物語が進まない。ローズの物をなぜ君が持ってるのとか、彼女の言ってる意味がわからないんだ」


 私が死なないと話が進まない。私がローズの物を持っている。


 もしかしたら彼女も私と同じなのかもしれない。

 これが読めれば確実かもしれない。

 ロゼット様に書いた紙を見せた。


(ロゼット様。申し訳ないのですが彼女にこれを渡してもらえませんか)


 私は日本語で、幸せのエンゲージリング私も好きですと書いた紙を折るとロゼット様に渡す。彼女がもし転生者だとしたらわかるはず。


「わかった。これから渡してこよう。リアーナはこれからどこに行く予定?」


 紙に書く。ロゼット様は場所を書いてあると思って私の書いた文字を見る。


(一緒に行ったらダメですか)


 困惑した表情になる。当たり前だ。襲われた私が襲った人に会いたいだなんて考えられなかっただろう。


「リアーナが危ないかもしれないから認められないかな。ファディスに怒られてしまうよ」


(遠くからでも良いんです)


 私は紙を見せると、ジッとロゼット様を見る。

 ロゼット様は顎に手を置きしばらく考え込んで、しかなくと言う感じて返事をしてくれた。


「……わかった。遠くにいてね」


 私は笑顔で頷き礼をする。ディオに言わなきゃと思い振り返ると、ディオが立っていた。


「お嬢様。危険な事するんですか」


(危険じゃないわ。ロゼット様とディオがいるでしょう)


 笑顔で答える私を見て、ディオも頭を抱えて深いため息を吐いた。






 3人で学園の地下を歩いている。


(こんな所に牢屋があるなんて)


 ディオは私がどこか行かないように手を繋いでいる。

 地下を歩いていると、暗くてなんだか怖くて不安になる気持ちが、ディオの手から感じる温かさで安心する。


 前を歩いていたロゼット様が止まる。扉を開け入る。ロゼット様が壁に手をかざすと牢屋の中の映像が映る。

 映像の中にいる女性は力なくうなだれながら椅子に座っている。私を襲った彼女だった。


「ここで見ていて。出たらダメだよ。ディオ頼むよ」

「はい」


 ロゼット様は部屋を出る。

 ディオは私の隣に立ち映像を見る。

 しばらくすると映像の中にロゼット様が現れると、力なくうなだれた彼女は起き上がり何かを叫んでいる。

 ロゼット様は私の書いた紙を彼女に渡した。


 紙を見た途端、叫んでいた彼女が突如泣き出した。ロゼット様に何か言って彼女は何度も頷き椅子に座る。

 ロゼット様が映像から消える。

 扉が開きロゼット様が困った顔をしている。


「ディオと話がしたい。リアーナは後ろを向いてくれるかい?」


 頷き後ろを向く。大人しく椅子に座っている映像の彼女を見る。なんと言っていたのだろう。


「彼女がリアーナに会いたいと言ってる。無理にとは言わないが、リアーナは彼女のことを気にしているし」


「お嬢様が危険な事になりませんか」


「大人しくすると言っていた。距離を取るし、いざとなれば私と君が守れば良い」


「……わかりました。もし、何かあったら貴方を恨みますよ」


「わかった」


 ディオが肩を叩く。


(終わったの)


「お嬢様に会いたいと」


(わかったわ)


 私は日本語でやり取りしましょうと書いた紙をディオに渡し先に渡してもらってから彼女に会う。


 奥の方にいて顔が暗くて分からない。


「本当に声聞こえないの。話せないの」


「お嬢様。声が聞かないのかと話せないのかと言っています」


 私は紙に日本語で書く。


(私は本当に音が聞こえないし喋れない。貴方の名前は?)


 ディオに渡してもらう。彼女は読んですぐに紙に書いてくれる。彼女は私を疑いの目で見ている。


(山野瀬良。こっちでは、ジョナ・ダイナ。ローズ・ダイナの遠い親戚よ。この世界の事知ってんの)


(知ってる。このゲームの世界が今私が生きてる世界。ローズの事が大切だからと私の命を狙わないで欲しい)


(ごめんなさい。ゲームの世界だけどゲームの世界じゃないって事?)


(そうね。現に私は声出せないし音は聞こえないし、悪役令嬢なのにローズを邪険に思ってない。私は私としてリアーナの人生を歩んでいるわ)


 ロゼット様とディオは私たち手紙のやり取りを不思議な表情で見ている。


(私は取り返しのつかない事しようとしたんだね。ゲームのままならリアーナはどのルートでも殺されちゃうから)


 あれ。私、ゲームのリアーナがどんな結末を迎えるのか覚えてない。


(詳しく教えて。私は必ず死ぬの?)


 冷や汗が出てきた。ディオに分からないように汗を拭う。


(知らないの?リアーナはどのハピエンでもバッドエンドでもノーマルでも死んじゃうの。口が悪すぎて反感買うことが大きな理由だから、声が出せない貴方は大丈夫なんじゃない?)


(そうなの。ありがとう)


 私は不安を消すように、その後もゲームの話で盛り上がった。特にローズ愛を聞かされた。なんか友達と話しているみたいで嬉しい。


 ディオを介さず直接やり取りをする様になり、気付いたら書いた紙が山の様になってしまった。


「なんか彼女の雰囲気変わりましたね」


「お嬢様と安全に手紙のやり取りをしてますね」


「見た事ない字だよね」


「えぇ。こんな字見たことないです。どこで覚えたのでしょう」


「……お互い楽しそうだね」


「……どう、処分するんですか」


 不意に見た2人は疲れた顔をして頭を抱えていた。


「あー楽しかった。ロゼット様ディオ様、私どんな処罰でも受けます。もう、リアーナを傷つける事はありません。ですから、リアーナと友達になって良いですか?」


 ジョナの言葉に呆気に取られた2人が深いため息が、聞こえない私にまで聞こえそうだった。


 地下牢からの帰り道。暗い道を戻り一階に戻った。外はいつの間にかオレンジ色の空になっていた。

 ロゼット様の服を引っ張る。


「どうしたの?」


(ジョナの処分の事なんですが。私の事を襲ったのは事実なので許せるわけでは無いのですが、出来れば重い処分にならない様にお願いします)


 ロゼット様とディオに書いた紙を見せた。

 ディオには呆れた顔をされた気がするけど、ゲームの話を出来るのはすごい事。

 ローズを幸せに出来るもしれない。


「うん。ファディスと話し合ってみるよ」


 そう言ったロゼット様は力なく笑い別れた。


 帰ってきたお兄様からジョナの処遇は1ヶ月間の謹慎処分だと聞いた。私と仲良くなってしまった為、処分内容を悩んだに違いないだろう。私だってこんなに仲良くなれるとは思ってもいなかった。


 もしかしたら、1ヶ月後に私とジョナとローズの3人で笑って過ごせるんじゃないかと思う私がいた。



読んで頂きありがとうございました!

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