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特別配達人  作者: 東都新宮
19/19

19駅目 緑髪の女性

「お疲れさまでした……」

 私は肩を落としながら、グリサ駅を出て行く。

 本当に疲れてしまいました。

 だって、泣いたのですし。震えてしまいましたし。

 初めての失敗って、こんなにドキドキしてしまうのですね。

「舞衣、お疲れ」

「ひゃっ!?」

 一瞬、頬が冷たくなりました。

 見てみると、メルザスさんがジュースの瓶を当てつけてきました。

「オレンジよ」

「あ、ありがとうございます」

 私はそれを飲んでいく。

 オレンジの酸っぱさと甘みがおいしい。

 やっぱり、このオレンジジュースは良いですね。メルザスさんが買ってきたものですが。

「はぁ……」

「ずっと働いていたら、失敗もするわ」

「ですね……」

 今回はそこそこ大きかったですね。

 だから、こんなに……

「まあ、続けていけば失敗も減っていくわ」

「頑張ります……」

 まだまだこれからか……

 長い感じがしますね。

「確かに、メルザスさんも続けてきたのですね」

「まあね。でも、続けられるかしら?」

 何故か意味深。

 メルザスさんが、少し悩んでいるような感じでした。

 どうしたのでしょう。

「あの、どういう意味ですか?」

「しばらくすれば分かるわ。それまでは、ちゃんと働いていくし大丈夫だから。心配しなくてもいいから」

 全く分からないです。

 本当に、何を言いたいのでしょう。

 もどかしい感じがしてたまりません。

 言えない事でもあるのでしょうか。

 でも、笑顔は良いですけれど。

 これ以上は詮索しないでおきましょう。

 案外怖いですし。

「同志メルザス……」

 何か弱々しい声がします。女性なのは分かりますが。

 見ると、女性が立っていました。

 眼鏡を掛けて白と黒のメイド服を着た、緑髪の女性です。

「足羽。ちょっと早い気がするけれど」

「でも……グリサ駅に着いた時……丁度終わっていましたので……」

 足羽という女性は、メルザスさんと普通に喋っている。

 弱々しい話し方をしているけれども、元々でしょうか。

 何となく、私に似ているような感じがしますね。雰囲気とかが。

 同じ性格なのでしょうか。

「そちらの女性は……」

「仕事上のパートナーの国府津舞衣よ」

「わ、私は……各務原足羽……です……」

 東洋系の名前。

 私と同じ国の出身でしょうか。

「は、はい。よろしくお願いします」

「じゃあ……帰りましょうか……」

「ええ」

 メルザスさんは、帰って行きました。

 でも何でしょうか。各務原さんには、何かありそうです。

 というか、ここ一時間くらいで色々疑問ばっかりでした。

 さらに疲れてきました。

 もう帰りましょうか。

 ゆっくり休みましょう。


 メルザスさんや各務原さんとの出会いは、この国の闇に巻き込まれることになるのですが、私はまだ気づきませんでした。

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