3話 魔法の授業
「魔法が私たち魔法師にとって、とても大事なものだということは分かっていると思います。しかし、あなたたちは魔法の利点は分かっていますか?分かる人は手を上げてください」
セリカ先生の質問にCクラス生徒達は一斉に手を上げる。
「ではレキ君、答えてください」
「はい。魔法の利点は遠くにいる相手に攻撃できることです」
「正解でもあり、不正解です。なんとなくのイメージで魔法は遠距離に攻撃するものだと考えている人は多いと思います。しかし、実際は近距離で大きな効果を得られるもの、例えば身体強化の魔法もあるのでその考えは正しいとは言えません」
自分の魔法への認識が間違っていたことにびっくりしたためか、クラス内がざわざわし出した。
セリカ先生はうんうんとうなずいてから、
「では魔法の利点とは何かというと、大抵のことは何でもできることです。防御魔法で相手の攻撃を防いだり、喉が渇いたら水魔法で水を生成したりと戦闘以外でも役に立ちます」
「先生、なら魔法の欠点ってなんですか」
「そうですね……。魔法には欠点という欠点はありません。強いて言うならば保有魔力量が減ると少しだけですが身体能力が落ちたりすることがあるというところですかね。ただ、魔法には欠点はないと言えますが魔法師の欠点はあります。欠点はどういうものなのかということを知る前に、自分の持っている総魔力量と一瞬の間に使える魔力量というものがあるということを知っておいてください。総魔力量とは、倒れるまでサンダーの魔法を行使したとして、その倒れるまでに使ったすべての魔力量のことを指します。一瞬の間に使える魔力量、すなわち瞬間魔力量とは、一瞬の間に割ける魔力量のことを指します。」
セリカ先生は一瞬だけ息継ぎした。
「戦闘を行う場合、この瞬間魔力量に気を遣いながら身体強化の魔法、防御魔法、攻撃魔法、その他の魔法を行使しなければなりません。さらに、その場で魔法以外にも状況判断能力が問われます。つまり、戦闘において気を遣わなければならないこと、考えなければならないことが圧倒的に多いのです。これが、魔法師の欠点と言えます」
きんーこんーかんーこんー。授業の終わりのチャイムの音が鳴った。
「チャイムが鳴りましたね。授業終了です」