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1話 帰宅


 ほとんど寝ていたために、隣の人に話しかけられたことと壇上になんか見たことがある女の人がいたということしか覚えてない始業式を終え、俺は帰宅した。

 

「お帰りなさいませ」


「ただいま」

 

 使用人のように頭を深く下げながら挨拶をしてきたのは、使い魔のレイシアだ。種族とかはよく知らない。

 あと別に俺が主人だから恭しく話しているわけではなく、これがレイシアの平常運転だ。


「今日、学校はどうでしたか」


 いきなり、面倒くさい質問をしてきたな。

 レイシアはただの使い魔のはずなんだけど、無駄にお節介なので息子を心配する母親みたいなことを良く聞いてくるんだよな。


「まあ、学校って感じだね」


「……友人はできましたか」


 真面目に返す気がないことが丸わかりの返事をしたけど、レイシアは顔色を変えずに続けてまた質問をしてくる。

 

「まあまあかな」


 一日、しかもただの始業式でそんなんできるわけないだろと思いつつも、そう言うと面倒くさそうなので適当に答える。


「……入学前に受けたテストの結果は今日帰ってくるのですよね。どうでしたか」


「いや、ま~、セーフって感じかな」


 これに関して結果は悪くはない。

 ただ、レイシアはいい成績を取っていることを前提で聞いてきている気がしたので良かったと答えようかなと思ったけど、よくよく考えると結果は帰って来てしまうので素直に答えた。


「まあそんなことだとは思っていましたけど」


 レイシアはそう言うと腕を組み、指で腕にトントンとリズムを取りながら眉をひそめる。


「もう少しやる気を出してください!確かに主様に友人を作るということはかなりの難題でしょうけど、好成績をとることは難しいことではないですよね。むしろ、本気を出せば一番をとることだって難しくないでしょう!」


「……そんなことないよ。やる気がないっていうのも才能だし、今の俺が一番をとることなんてできないよ。それに、本気を出したって一番は取れるかなんて分からないし。後、友達はまあまあできたっていったじゃん」


「……はあ、本当にどうしようもないことを言いますね。後、そんな簡単に主様に友人ができるわけがないでしょう、それも一日で。どうせばれないと思って言ったのではないですか」


 なら友達が出来たのかなんて聞いてくるなよと思いつつも、図星を突かれたのは間違いないので黙っていたら、レイシアの眉間のしわがさらに深くなっていく。


「それに他にも言いたいことはあるのですが――」


 なんか旗色が悪くなっていきそうだから、今のうちに話題をそらした方が良さそうだな。


「そんなことよりも、今日のご飯何なの。いや、楽しみだな~」


 俺がそう言ったら、レイシアは組んでいた腕をほどいて眉間のしわも元通りになったが、今度は呆れたような視線を向けてきた。


「……はあ、もういいです。主様に何言っても無駄そうですから。……では、夕食にしましょうか」


 だったら聞かないでくれと思ったけど、十対ゼロで向こうが言っていることが正しいのは分かっているので、俺は何も言わずに夕食ができるのを待つことにした。


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