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15話 生徒会長の依頼②


 かなりの値段だったことから分かっていたけど、料理はすごくうまかったな。

なんか結構満足したし、なんだかんだ来てよかったかもしれない。


「では、これから本題に入りたいと思います」


 ……そうだった。やっぱり訂正するわ、来てよかったなんてことはないな。

 話を聞かないでもう帰りたいけど、食うだけ食ってこのまま帰るというのはさすがにどうなんだろうって感じだから、生徒会長のお願いを受けるかどうかはともかく話は真剣に聞くか。


「今回の依頼は魔物の討伐の手伝いをして貰うことです」


 魔物討伐か。あんまり厄介そうなやつが相手じゃないといいな。

……というか、手伝う……?


「あの、手伝うというのは生徒会長もついてくるということですか?」


「ええ、もちろん」


「……それだと、自分に頼んだ意味なさそうですけど?」


「そんなことないですよ。手伝ってもらえれば討伐する時間が短縮され負担も軽くなりますし、初めて依頼でいろいろと勝手がわからないと思うので少なくとも今回は一緒がいいと思います」


 前半の部分は生徒会長の実力がよく分からないので自分がいることによって時間短縮になるのかは判断しようがないが、後半の部分はまあ納得できる。

 確かに生徒会長ミルフィーとしての魔物討伐ということをしたことがないので戸惑うところもあるかもしれない。

 まあ、できないこともないと思うがこういうことに慣れている人に着いてきて貰った方が、いろいろとスムーズに行くことは間違いないし。

 

「なんか、今の言い方だと今回以外にも付いてくることがあるように聞こえるんですが?」


「基本的には一緒に依頼を受けようと思っていますが、忙しいときだけ黒上君一人に任せるときもあるかも知れません」


「……そんな、無理しなくて大丈夫ですよ。一人でやりますから」


「いいえ、一人で任せるわけにはいきません。こちらが頼んでいるのですから、黒上君になるべく負担がないようにしないと申し訳が立ちませんし」


 何で生徒会長は俺に任せれば楽になるはずなのに、謎の配慮によってまずい状況になった。

 なぜなら、二人で依頼を受けることによって自分の実力がばれてしまうからだ。

 それによって、自分の実力では今回の依頼は難しそうですとかいって断ることもできないし、こんな美人と一緒にいると目立ってしょうがない。

 

 ……少し待てよ。

 よくよく考えてみると、自分の思考を読んでくる生徒会長が自分の考えを気づいてないと言うことが果たしてあるのだろうか。


「あの、もしかして気づいているんじゃないですか?」


「何のことですか?」


 つい、何も考えずに言葉に出してしまった。

 考えてみたら、ここで気づいていたことを認めさせても向こうには脅す材料があるのだから結局脅されて終わるし、気づいていないのだとしたらただ相手が俺の感情を知られるだけなので、二人で行くことが嫌だと言うことは何も意味がないどころか、自分にしか不利益がないことに気づいた。


「え……、いやーなんとなく言ってみたくなったんですよ。もしかして気づいているんじゃないみたいなこと。なんかわかってる風でかっこいいじゃないですか」


「ふふ、なんですかそれ」


 自分でも意味がわからないので、そりゃーそう言う反応になるよな。

 

「まあいいです。それでは、一緒に依頼を受けると言うことでいいですね。では、今回の討伐対象について話していきます」


 何故か、一緒に依頼を受けると言う風に話が進んでいっている。

 

「いやいやいや、少し待ってください。今回だけでいいですからね、一緒に受けるの」


 このままだとずっと一緒に依頼を受けることになってしまう。それは避けたい。


「そんなに一緒に依頼受けたくないですか?」


 ミルフィーは、少しだけ顔を下に俯けた。

 悪いことをしたかなと思って、反射的に――、


「えっ、いや別に、そんなことないですよ」


「……そうですか。それでは、これから一緒に依頼受けましょうね」


 やってしまった。

 これで、やっぱいやですとは言えなくなってしまった。

 しかも、なんか生徒会長はニヤニヤしている。

 もちろん、「そんなことない」と言われてうれしいとも受け取れるが、十中八九俺をはめたのだろう。

 女の人――特に見た目がいい人にそういうことをされると、妙に罪悪感を覚えてしまう。

……やっぱり腹黒だな、この人。


「今回の依頼の討伐対象は、サラマンダーの群れの討伐です」


「……なんですか、サラマンダーって?」


「サラマンダーとはC級討伐対象です」


 魔物には等級があり、E級からS級まであって、等級が高ければ高いほどそれだけ討伐の難易度が高い魔物であると言える。

 そして、C級に位置づけられている魔物は前に戦ったバッカスのようなC級賞金首なら一人で討伐可能な範囲だ。

 

「あのでも、C級であるサラマンダーの群れと言うことは実質B級ってことですよね」


「ええ、そうです」


 B級討伐対象はバッカスレベルの者達が約十人グループで、前衛と後衛がバランス良く編成されていてようやく討伐可能となるという感じらしい。

 ちなみに、C級賞金首というのは手慣れと認められるぐらいには腕が立つと言われている。

 それに、C級一人とC級のバランスの取れている十人ほどのパーティーでは、戦力差として二十倍ぐらいの差が出るとか授業で聞いたことがある。


「それを二人だけでと言うのは厳しくないですか?」


「大丈夫ですよ。これくらいなら一人でも達成できるレベルですから」


「……なるほど、それなら大丈夫そうですね」


 それ、俺、いるのか?と思ったけど、そこら辺でごねて、帰るのが遅くなるのも嫌なので口に出さなかった。


「ええ。……伝えるべきことは伝えましたし、ここらへんでお開きにしましょうか。……ああそれと、当日の集合場所は後に伝えます」


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