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プロローグ

 どう考えても人口密度が過多になっているこの部屋で、壇上の上に一人の老齢の男性が辺りを見回しながら立っている。


「起立、礼」


 その壇上から降り右に進んだ所にいる女性が口元に当ててあるマイクで、約二百人近くいる生徒達に聞こえるように声を放った。そして、その声と共にドドドッという騒音を伴いながら一斉に生徒達が立ち上がる。


「新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。新入生である皆さんは、初めてのことばかりで戸惑うことは必ずあると思います。ですから、私たち教師陣または上級生に困ったことがあったら相談してください。二、三年生の皆さんは、自分が何か成長できたと実感できることがありますか。実感できたのなら、とても喜ばしいことだと思います。そうでない人は、今まで経験してことなかったものに挑戦してみるといいかもしれません。今という時間は今しかありませんからね」


 老齢の男性の言葉が終わると共に、体育館全体から一斉に拍手が起きた。

 二、三年生達はピシッと姿勢良く話を聞いていたが、一年生達は緊張しているためかガチガチになっている者が多く見受けられた。


「学園長からのお言葉でした。皆さん、ご着席ください」


 女性の声と共に、また大きな音を伴いながら一斉に座りだす。

 老齢の男性は生徒達が座ったのを見て、壇上から降りる。


「それでは次に、生徒会長のミルフィーさん壇上までおあがりください」


 ミルフィーと呼ばれたひときわ目立つ美しい少女が、壇上へと上がっていった。

 先ほどまで緊張していて黙っていた一年生達が、「ねえ、あれって」とか「もしかして」などとひそひそと隣のものと話し始めた。


 そんな風にほとんどの生徒達が壇上に目が行っている中、瞳を閉じながら自らのふとももに肘を付いている生徒がいた。

 始業式にもかかわらず眠りこけているなんて、基本的には関わりあいになりたくないような人種に、隣に座っている生徒が話しかけた。


「なあ、あの人のこと知ってるか」


 その寝ていた生徒はざわざわと周りがうるさくなったことに加えて、隣から話しかけられたことにイライラしていた。

 ざわざわとうるさくすることに怒りを覚えるのは不自然なことではないが、始業式中に眠りこけている人間にその資格があるかと聞かれれば疑問ではある。


「いや~ごめん、いきなりで悪かったな。でもさ、実技もできて勉強もできる、そして顔まで良くて生徒会長だ。品行方正、文武両道っていうのは、ああいう人のことを指すんだろなと思ってさ」


 イライラを抑え、話しかけてきた内容を頭の中で理解しようとした。

 しかしながら言っている意味がよくわからなかったので、なんとなく壇上に答えがあると思い眠い目をこすりながら壇上の方を見てみると見覚えのある人物がいた。確かスマホをなんとなく触っていたときに見た記憶がある。


「確かにそうかもしれないですね」


 あの壇上に立つ容姿の整った人物で文武両道なら、誰もが同じ感想を持つだろうから気が合うもなにもないだろうと思いつつも同意した。


 隣の人がにかっという効果音が聞こえそうな笑顔で――、


「そう思うよな。気が合うみたいだし仲良くしようぜ」


「あ、はい。こちらこそ、よろしくお願いします」


 眠りこけていた生徒はそのあと誰にも注意されなかったため、始業式が終わるまでずっと瞳を閉じていた。


今まで書いたストックが切れるまで、毎日更新します。

これが初めての作品なので暖かい目で見てください。

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