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喫茶店とカフェの違いって

作者: 秋山 そら

僕は、ある学校の近くの喫茶店でアルバイトをしている。近頃は、お洒落な空間を演出したカフェが町中にあふれている。ひと昔まえといっても僕が生まれる前ちょうど20年ほど前にはコーヒーを飲むのは、40歳くらいのおじさんばかりだったのに最近は若い女性がおしゃれといってカフェにコーヒーを飲みに行ったりサンドイッチやパンケーキを食べたりするのが流行らしい。カフェと喫茶店の違いってなんだろうなぁ。カフェはパンケーキで喫茶店はナポリタンが主食ですとかそんな区分しか思いつかないが。うーん、カフェに女性をスマートに誘える大人な男になりたい。しかし、マスターはカフェなんていくだろうか。

なんて考えていると時計は朝の8時を示した。

 さて、今日もマスターががそろそろ出勤してくる頃だから先にキッチンの掃除を済ませてしまおう。僕は、コンロや水道の水拭きを終わらせると、ティーカップとティーポットの水分をタオルで磨いた。彼女はいつも黒いヒールを軽やかにならしながら、黒いソムリエエプロンを腰に巻き白いブラウスを着て入ってくる。良く整えられた黒いショートカットの髪型と白い肌が幼い顔立ちに拍車をかける彼女である。下手をすると僕より幼く見える。

「おはよう、今日もキッチン掃除ありがとう」

「いえいえ、仕事ですので。そういえばなぜここはコーヒーではなく紅茶の喫茶店なんですか」

「そうだね、単純に紅茶が好きなのとコーヒーだとどうしても某大手に勝てないからかな」

「なるほど、そこの駅近郊に大手コーヒーチェーンが6軒ありますからね」

「そうねぇ、それにコーヒーは苦くて苦手なの」

彼女は頬に手を当てながらキッチンに入り、ヤカンに水を注いでせっせと準備を始めた。そして、3つの缶を取り出すとそれぞれ適当にティーポットに葉っぱを入れた。そして、湯をいれて葉っぱを数分蒸らした。

「はいっ、今日のスペシャルブレンド紅茶味はどうかな」

紅茶を口に含むと、いい香りが部屋に広まった。

「おいしいです」

彼女も自分で入れた紅茶を口にした。そして、毎日の習慣でお気に入りのCDを流しはじめた。サックスとピアノが軽快なリズムを歌いドラムとベースがそれについていく。鼻歌まじりに彼女は笑った。ジャズのように聞こえるが実は、彼女のお気に入りの同人サークルでアニメソングをジャズ風にアレンジしてカバーしたものらしい。僕も言われるまでジャズだと思っていた。よくよく聞くと有名アニメソングと気が付くがほとんどの人は気が付かない。そう、彼女は意外とオタク趣味なのだ。

入り口のドアを開けるとカランといい鈴の音が聞こえてきた。

彼女はドアを開けて振り返ると、外の朝日を浴びて光に包まれながらこんなことを言った。

「そうそう、カフェと喫茶店の違いはね。カフェだとアルコールとか本格的な料理とか出せるから夜になるとカフェからバーになるお店が多いの。けど、喫茶店だと加熱調理以外の調理ができない。だから喫茶店はナポリタンとかオムライスとか簡単な料理でカフェだとお洒落な海鮮サラダとか」

「えっ、なんで」

「だって、ひとりごとがドアの向こうにまで聞こえてきたから」

「えっ」

僕は耳を真っ赤にしていた。

「さて、今日も喫茶店オープンです」

明るい声が店内に響いた。


誤字文書訂正してくれた方ありがとうございます

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