少年は、真紅の眼を手にする。
とにかく、弁解したい。
そう言おうとした。しかし、彼女は聞く耳を持たない。
「えっとあのそのなんというk」
「えっとそのなんかごめんなさい。」
「え、えぇ」
「いやなんか最近、嫌な事続きでストレスが溜まってたみたい。」
意外にいい人そうだ。
「いや、こちらこそごめんなさい。大切な鏡を割ってしまって。」
「そんなの大丈夫。同じ鏡ならたくさん持っているから。」
「へぇ、すごいですね。」
「まぁ取り出せるかはわからないんだけどねこの先は。」
「どういう事ですか?」
「この先は貴方にも関係がある話よ。」
彼女は急に神妙な面持ちになる。
「今から100年前、魔王と勇者の戦いがあった。その戦いはセオリー通り勇者が勝った。
しかし、魔王を倒したのも束の間、
勇者の仲間の大賢者が魔王の遺物に手を出した。魔王の遺物はいわゆる、魔王の復活アイテムで、触った人の魔力を全て吸い尽くして、魔王復活のために魔力を貯める代物だった。しかし、魔王の遺物の魔力許容量を大賢者の魔力量が軽々超えた。そして
、魔王は大賢者の体に中途半端な形で取り込まれた。これが事の始まりよ。」
彼女は暗い顔でこちらを向く。
「これからが話の肝よ。復活した魔王は100年前から人の姿をして各地を転々として各地を滅ぼして周った。ある日、魔王はミスをした。いつもは1人も残さず殺すのにその日は1人生き残りが出たのよ。その生き残りは、
みてしまったの、魔王が負った傷を神聖魔法で癒すところを、神聖魔法は、聖職者にしか使えないからね。基本的に。それで人間共は魔王に私達神が手を貸していると考えたのよ。」
「それがどうして危ないんですか?」
彼女の表情がさらに曇る。
「神というのは信者と密接な関係にあるの。
信者の数が多ければ多いほど強く、信心が深ければ深いほど強くなる仕組みなの。
つまり、私達、神が今どんどん弱くなっていっているの。そこで私達は、「神の使者」を下界に送ることにしたの。他の次元で死者が出た場合、ここにその3割が送られてくるの、というわけで貴方はこれから下界の
「スフィア」にいってもらうわ。何か質問は?」
「貴女は何の神なんですか?」
「私は旧癒しの神、今は、混沌の女神、カオシール・テレスロイドと呼ばれているわ。
あ、ちなみにファーストネームは罰する物を表しているの、そして称号は担当する部類よ、あとそれから、ここにいられる時間に制限があって貴方はあと10秒しか残されてないわよ。」
「どうやってスフィアまで行くんですか?」
「そりゃあ落ちるのよ。」
彼女の最後の言葉は聞き取れなかった。でも良かったのかもしれない。だってそれを今体感しているのだから。