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ep.005 特効服の藍、ベビィドールのベス

ももせはずっと桜子の横でギターを弾いている。

弾いているメロディは、古代ギリシャのオルフェウス教の密秘技“死神を退け、魂を引き留める歌”という紀元前6世紀より伝わるメロディだ。

ギターを弾きながら、ももせは思いだす。

《ベスさんが何か唱えて、手のひらを私の耳に充あてたら、このメロディが聴こえてきたのよね。あれ不思議だった・・・》

ももせは昔から一度聴いただけで、色んな曲を覚え、奏でる事が出来た。

今回はベスから貰ったペンダントのせいもあって、譜面が頭に浮かぶのだ。

時折、フッと意識を失いそうになるが、それも何とか精神力だけで持ちこたえたている。


《思えば桜子さんとの出会いは、半年前、浜松駅前近くのストリートで弾き語りをやってた時の帰りに、お気に入りのカフェに寄りお茶を楽しんだ後、男に絡まれた処を偶々(たまたま)通りすがった桜子さんに助けて貰った事だったんだよね・・・》

後で桜子さんに聞いたら、お母さんのお墓参りの帰りとか言ってたっけ。


桜子の亡くなっている母親の実家は、静岡で茶栽培をしている農家なのである。


《それから仲良くなって、浜松まで足を伸ばして時々聴きに来てくれるようになったんだっけ。確か・・・》


その時である。

桜子の病室がノックされ、ひょっこりと藍が顔を覗かせる。

「入ってよろしおすやろか?」

ももせは頷いた。

それでもギターを弾くのはやめない。

ひょこひょこと藍は部屋に入ると、特効服のポケットから呪詛が沢山書かれた紙を取り出し、眠る桜子の胸に置いた。

ババッと印を結び、右腕を斜めに降り下ろすと、

留魂(りゅうこん)、カーーーッ!」

しゃがれた声で叫んだ。

桜子の身体がボウっと光かる。


「これで二時間は大丈夫どす。ギター止めてよろしおすえ」

声も元に戻った藍は、にぱぁとももせに微笑んだ。

《いるんだね、こんな美少女》

そう思っているももせも、“全日本街で見掛けたワイカーな子コンテスト”に勝手にエントリーされ、中部地区でトップ3に入っている。

勿論、本人は全く知らなかったりするのだが・・・。

そう言われ、ももせはやっと弾くのを止め、

「ふぅ、そうなんですね。安心しました。でも、藍さん、何でドレスに暴走族の特効服なんですか?」

「それはね」

藍のすぐ後ろから、黒いスケスケのベビィドールを身に付けたベスが入って来たのだ。

ももせは真っ赤に照れ、

「!!!、ちょっとベスさん何か着て下さいよ。胸丸見えです」

ベスは全く気にも留める様子も無く、

「あら、そう?ちょっと刺激強いかしら?女性のヌードなんて、ローズで見慣れてるから、意識してなかったわ。ウフッ」

「へっ?ローズさん?」

ももせは首を傾げた。

藍が割って入り、

「ローズちゃんもうちらの仲間どす。直ぐ気前よく脱ぐ、アメリカ人の女の子なんどすけどな」

《その人も脱ぐんだ、へぇー》

ももせは気を取り直し、

「ちょっと説明してもらえませんか?何がどうなっているのか?」

どうやら、ももせは疑問を一つ一つ解決していく性格の様だ。

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