表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/10

ep.009.5 ヴォルカヌス・ストームの裏で

救急救命センターの駐車場で、一台の真っ黒のフルスモークのベンツ・E300が停まっている。

番犬警備保障の特別(チーム)、要人警護専門“ケルベロス”の一員“タケ”の愛車だ。

シートは運転席助手席共に倒されており、黒ずくめのスーツを着た恐いオーラを纏った二人が何かをイヤフォンでモニターしながら雑談している。

「だからよぉ、俺は円蔵をケルベロス入れたい訳でよぉ」

そう話すのは、顔に大きな傷を持つ強面の男だ。

タケの相棒、“ジョージ”である。

二人はある事件が元で本来の“ケルベロス”の職務を離れ、二人のボス“JJ”の特命により桜子の警備を担当していた。

「いいんじゃないか?鬼のジョージさんの推薦なら、ボスも厚待遇でその円蔵さん。だっけか?をスカウトすると俺は思うぜ」

タケはジャケットの内ポケットからマルボロ・メンソールを取り出すと、火を付け深く吸い込む。

車内はマルボロの匂いで満たされる。

外に出て煙草を吸いたい処であったが、敷地内禁煙なので仕方なく車中で吸っているのだ。

「円蔵も、貧乏な探偵なんか辞めて、ウチに転職してくればいいのによぉ、ガキ抱えてんだから」

ジョージの吐いた毒に、タケはククっと笑い。

「しょうがないだろ?人には人の事情があるってもんだ。おそらく“円蔵”にも転職出来ない訳があるんじゃないか?」

刹那、タケのスマホがけたたましく鳴る。

着メロがセックス・ピストルズの“アナーキー・イン・ザ・UK”なので、番犬警備保障本部からだと判明(わか)った。

タケは直ぐに出て、

「ケルベロス“タケ”だ。本部どうした?」

直ぐスピーカー・フォンに切り替える。

情報をジョージと共有する為だ。

『あっ、タケさんお疲れ様です。本部ミカです。先程、今、東名の道路警備をしているパトラッシュ隊から報告が有りまして』

「道路警備のパトラッシュが何言ってんだよ?ミカちゃん」

ジョージが吠えた。

『その声はジョージさんですね。お疲れ様です。この前のロールケーキ美味しくって、センターでも評判でしたよ。ご馳走さまでした。みんな喜んでました』

冗談を言う余裕がある事から、この一件が然程重要性が高くない事は予想出来た。

「で、どうしたのかな、ミカちゃん?」

タケの問い掛けにミカは冷静さを取り戻し、

『はい。すいません・・・。そのパトラッシュからの報告ってのが、赤いdb1を筆頭に女暴走族(レディース)の集団が、どうもそちらを目指しているとこ事です。その数およそ300』

ジョージが叫ぶ、

「もしかして、db1運転してんのは、こころかっ!?」

『“02”と肩に刺繍がされてるライダージャケット着ているので、おそらく・・・。後、静岡県警からの情報によると、集団走行をしているが法定速度を守っている為、手出し出来ないとの事です。最後に、聖クリからアパッチが桜子さんをウチの系列の病院に転院させる為、発進したとも報告が入ってます』

ジョージとタケはお互いに顔を見合せ、苦笑いすると、

理解(わか)った。また、何か在ったら報告くれないかな。ありがとう」

タケはスマホを切る。

刹那、壁が砕け飛ぶ音がして・・・。

「行くぜ!タケ!!」

驚いたジョージがベンツから飛び出して行く。

タケもジョージの後を追った。

《ったくよぉ、一体何なんだよ・・・、厄日か?今日?》

ジョージの悩みは尽きない。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ