ep.001 慟哭
はねくみ☆セブンから1年~3年経った世界を描いています。
この作品を書く事により、構想にあった、はねくみ☆イレブンがはねくみ☆トゥエルブにタイトル変更を余儀なくされました。
何故、“missin' 08”になってるかは、まだ秘密です。
それではお楽しみ下さい。(о´∀`о)ノ
生命が零れていく。
腕の中で、あの人の鼓動が少しずつ弱くなっていく・・・
思わず声に出た。
「ダメっ。絶対そんなのダメっ。誰か救急車っ!早く!じゃないと、桜子さんが、死んじゃう!」
何事かと集まる群衆。
状況を見て叫ぶOL。
遠くから近づくサイレンの音。
ビクンと桜子さんの身体が震える。
桜子さんの下腹部から制服越しに真っ赤な血が滲む。
桜子さんが苦しみながらもうっすらと眼を開け、
「ももせちゃん、ごめんね。アナタのギター、汚しちゃったね・・・」
桜子さんが身を呈して守ってくれた愛用のアコースティック・ギター。
ギブソンのハミングバードには、べっとりと桜子さんの血が染み着いていた。
私は作り笑顔で首を横に振り、
「ううん。壊れてないし、大丈夫。ありがとうございます、桜子さん」
そう礼を言った。
群衆を掻き分け、一人の桜子さんによく似た女性が私達に近付くと、
「あぁ、桜子お嬢様、何て事に・・・。私が付いていながら・・・」
凄く悔しそうだった。
唇を噛み締めていたので、悔しさが伝わってくる。
彼女の声に反応した桜子さんが、
「皐月、居てくれたんだ・・・。ごめんね、心配掛けて」
そう呟いた。
桜子さんに皐月と呼ばれた女性は私に向かって、
「私は烏丸皐月。お嬢様と同じ高校のクラスメイト。貴女、名前は?」
「私は雛多ももせと言います。天竜南第二中の中二です」
応えるとぺこりと頭を下げた。
「そう、貴女が雛ももちゃんね。桜子お嬢様から聞いているわ。救急車がもう着くわ。私も後から行くから、桜子お嬢様と一緒に病院へ行ってもらえないかしら?お願い出来る?」
私は首を縦に振った。