ひょっとこみたいなお面がお似合いですか
短いですが…!
続きをちょっとずつ書いております(*´∇`*)
「えっと、君、あなたは…」
須藤教授は、そこで、口をつぐんだ。右手の人差し指と親指をこすり合わせる。
「名前、聞いてもいいですか?」
察せなくて、ごめんなさい。私の中の天使が、小さく頭を下げる。
「真鍋香です」
「香さんですか」
初対面の人に、フルネームは言わない方が良かったのだろうか。それでも、須藤教授には、教えても平気な気がした。
悪い人は、良い人の仮面を被るなんて言うけれど、須藤教授には、ひょっとこみたいな面白系が似合いそう。
「香ちゃんは、家は近いの?」
礼さんは、小さく首を傾ける。少女のような仕草だ。私の祖父母とは、全く違うタイプの人みたい。
「少し、離れています」
「送りますよ」
立ち上がりながら、須藤教授はポケットから恐らく車のキーを取り出す。
「いえ。これ以上、ご迷惑ですし」
「もう、迷惑かけてると思うなら、たっぷりかけてくれて構いません」
私も慌てて立つと、白い紙切れが畳の上に落ちた。買い物のメモと記憶している。
「か、買い物もしないといけないし」
「車ですし、寄るのは大したことないですよ」
「でも――」
「女性は、男を使っとけば良いんです」
私は、手で口を覆う。一瞬で、顔が赤くなっているように感じたからだ。十歳、いや、それ以上年上であろう人が、高校生のこの私を女性と思ってくれているなんて。つい、照れくさくなってしまった。
世間というのは、高校生を基本的には、子供扱いする。で、都合の良いとき、大人扱い。けれど、今回は、後者に当てはまらないように思えた。
「私のことを疑っているなら、ハンマーでも持っておきますか?身分証も渡しますが」
「け、結構です」
もっと真面目な人かと思ったけど、案外、お茶目な人なのね。
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