ステータス 2
スキルを考えるの難しい( ´△`)
「は?」
(ナニコレ?ドウイウコト?称号に勇者が入ってるのは分かるんだけど、なんで職業に“罪人”って入ってるの?僕何かした? それに、このステータス酷くない?低く過ぎでしょ!これが普通なのかな?スキルの方は━━うん、全然凄くないよ。逃走と雑食とか、役に立つのかな?…で、でも皆これくらいだよね!うん…そうじゃなきゃ理不尽だ…。)
ナコウが、自分のステータスを見て項垂れていると水晶を持つ方の白ローブがクラスメイト全員に向け呼び掛けた。
「勇者様方、ご自身のステータスの確認は済みましたでしょうか。それではこの水晶の前にお集まりください」
その声を聞いてクラスメイト達は言われるがままに白ローブの周りに集まった。
「今私が持っているこの水晶には『虚影』のスキルが付与されています。この水晶にカードをかざすと、かざしたカードの虚影が水晶の上にでてきます。大きさなどは、こちらで調節出来るのでかざすだけで結構です。これはあくまで勇者様方ではなく王家や貴族の方達に勇者様方のステータスを拝見して頂くことなので、拒否権はありません。それではどなたからやりますか?」
(今の立場だと僕達よりも王家や貴族の方が
上なんだな~というか拒否権無しか…心の準備だけでもしておこう)
ナコウがそんな考えを巡らしているとクラスメイト達の集団の中から正義が出てきた。少し顔の頬が緩んでいる。
(おぉ!さすが委員長!皆が嫌がることを率先してやってくれる!━━ん?何か少し笑っているような…?)
ナコウが正義に少し疑問を抱いている間にスタスタと水晶の前に移動していた。
「僕からお願いします。」
「マサヨシ様ですね。わかりました。では、こちらの水晶にカードをかざして下さい。」
「わかりました」
正義は自分のステータスカードを水晶の上にかざした。
すると、二百六十五センチ×百七十五センチのステータスカードをそのままかなり拡大したような虚影が出てきた。
(うおっ!デッカいな~なんでこんなでかくしたんだ?……あぁ、なるほど、少し離れている王族と貴族に見せるためか。僕達はついでだもんな。さて、もうなんか予想出来そうだけど…神谷くんのステータスはどんな感じなんだ?)
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神谷 正義 17歳 性別:男 レベル:1
種族:人族
称号:異界の真の勇者
加護:光輝神の加護
職業:勇者
体力:2000
攻撃:300
防御:300
魔力:300
魔防:300
俊敏:300
運気:500
魔法適性:火魔法・水魔法・風魔法・光魔法・
固有技能
『正義皇』
[+絶対正当化][+物理平等][+運気上昇]
『神の使い』
[+天翼]
恒久技能:『言語・文字翻訳』『神聖魔法』『混合魔法』『高速魔力回復』『指揮』『聖剣術(王級)』『身体強化』『心眼』『縮地』『剛力』『気配感知』『魔力感知』『五大属性耐性』『物理攻撃耐性』
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(ハァ~、やっぱりチートだ~ステータスも僕の十倍以上あるんだけど…もうイヤ)
「こ、これは!」
白ローブが正義のステータスを見て驚きに声をあげた。
王族やその周りにいる貴族までもが正義のステータスを見て目を見開き固まった。
(しかも何?あの『正義皇』ってやつ、なんで天使の名前が?色々わからないことが多いな~、てかここまで差があると泣きたくなるよ…)
ナコウがそんな事を涙目で考えていると、このステータスの持ち主である正義が白ローブに声をかけた。
「あの~すみませんが、このステータスはどのくらいの強さ何ですか?」
「……え?あ!す、すみません。え~とこのステータスがどのくらいの強さか、ですよね。はっきり申し上げますと凄すぎます!我々もまさかこれまで凄いとは思いませんでした。それに我々の知らない固有技能まで持っているとは…さすがは称号に”真の勇者“を持つ御方だ!」
フードを深く被っているので口元しか見えず感情の無いしゃべり方だったのが、今は興奮しているのか、しゃべり方に感情が籠っている。
「うむ、その通りだ、我の期待以上の結果を出した御主には後に褒美をやろう。」
すると、先程まで沈黙を保っていた国王までも称賛を浴びせた。
その後、先頭バッターの正義のステータスカードの確認が終わり、続けて竜也、楓香、紗慧、野崎というようにどんどんクラスメイト達は自分のステータスを見せに行った。
そして、最終的にナコウが最後となった。
(僕みたいにステータス低い人いないのかな~って探してたらいつの間にか最後になっちゃったよ…しかも皆正義程ではないけれどチートだし…なんで僕だけ?)
「次の方はどなたですか~」
「あ、僕です。」
「あ、そうですか、それでは貴方で最後です。どうぞ、この水晶にカードをかざしてください。」
ナコウは覚悟を決めてカードをかざした。
そして、ナコウのステータスが大きく拡大され、それを見た者達は正義の時とは違う意味で固まった。
「こ、これは一体…水晶が壊れたのでしょうか?」
一番最初に声を発したのは、ナコウの目の前の水晶を持つ白ローブだった、白ローブは自分の持つ水晶が壊れたのかと思い、水晶をくまなく調べた。だが、
「どこもヒビも入っていなければ、傷一つ入っていない…ということはこれが本当に、貴方のステータスなのですね…わかりました。それでは戻って頂いて結構です。」
このステータスが本当だとわかった途端に、先程までクラスメイト達のステータスを見て興奮していた空気が一気に下がっていった。国王の方は、なにやらこそこそとナコウの方を見ながら近くの騎士に話し掛けている。
更には、いつものイジメグループがナコウの方を見てクスクス笑っていた。
(やっぱりこうなっちゃったか~野崎なんてさっきからこっち見て凄いニヤニヤしてるよ。まぁ、これで乗りきる他無いよね。とにかく耐えよう)
ナコウが自分のステータス結果に開き直っていると、クラスメイト達の集まっている場所から紗慧と、楓香がみかねて飛び出してきた。
「ナ、ナコウくん!そんな落ち込むことないよ、私だって先頭で戦う職業じゃないし!ほら!」
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白石 紗慧 17歳 性別:女 レベル:1
種族:異世界人
称号:勇者
加護:光輝神の加護
職業:治癒師
体力:900
攻撃:100
防御:150
魔力:300
魔防:150
俊敏:100
運気:250
魔法適性:水魔法・光魔法
固有技能
『状態異常完全治癒』
[+毒][+麻痺][+火傷]
恒久技能:『言語・文字翻訳』『高速魔力回復』『回復魔法』[+詠唱短縮]『毒耐性』『麻痺耐性』『火傷耐性』『五大属性耐性』『癒しの光』[+広範囲魔力回復]『強化支援』[+全体強化]
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(白石さん、それじゃ慰めになってないよ…)
ヨロッ、ナコウの精神が紗慧ステータスによって大ダメージをくらい少しよろけ、そのまま床下に手をつけ項垂れた。
「え、ナコウくん!ど、どうしよう…楓香ちゃん!ナコウくんがまた落ち込んじゃったよ~」
「今のは、紗慧がトドメを指したと思うんだけど…」
楓香がそんな事をいっていると、ナコウ達に正義と竜也が近寄ってきた。
「キミは一体そこで何をしている!僕の幼なじみから離れるんだ!」
こちらに来て早々正義はそんな事を言い出した。
(また面倒な人が…)
「僕の幼なじみを困らせるんじゃない!紗慧!楓香!彼のことはほっといてさっさと行こう、水晶を持っている人がステータスについて詳しい事を話してくれるらしいし。」
紗慧と楓香はまだ落ち込んでいるナコウを横目で見つつ“いいのかな”と思いながらも、かといって正義も離してくれなそうだったので、仕方無く白ローブの話を聞きに白ローブの近くに行ってしまった。
それを見計ったように野崎、岡島、長坂を筆頭に数人の男子も近付いてきた。
「よぉ、罪人!良かったな!まさにお前にぴったりな職業じゃねーか!」
と、野崎が。
「盗賊よりも使えねーな!その職業!」
と、岡島が。
「まぁ、そんだけ使えねーんだ、頑張って丈夫な肉壁になってくれよ!」
と、長坂が。
後ろの奴らも、「頑張ってなー!ざ・い・に・ん」や、「そのまま項垂れてろクソ虫!」「さっさとくたばれ!」などの罵詈雑言を浴びせられ一人ひとりに腹を蹴られた。ナコウは別にドMと言うわけではない、ただ耐えているのだ。ナコウの信念は、”耐えていればいつか報われる“というものだ。ナコウの母の遺言らしい…なのでナコウは自分の母から貰った信念に従っいるだけなのだ。
「ゴホッ」
(痛ッ~ 耐えなきゃ…)
その後ナコウは、自分の信念を思い出しながらヨロヨロと歩き出した。
すると、
「ッ!」
いきなり背筋に悪寒が走った気がした。
急いで周りにを見渡すと、先程国王とコソコソ話をしていた騎士が、今度は野崎達に何かを話しているのが見えた。話を聞き終えたのだろう、野崎達はナコウの方を見て口元を三日月のように歪めて笑っていた。
それを見たナコウは逃げるようにして、紗慧や楓香のいる集団に混じった。
まだ豹変はしません。




