ステータス 1
ナコウのステータス欄に固有スキルと運気、種族をたしました。
「さぁこちらです。」
連れてこられたのは、ファンタジーで言うところの玉座の間のようなところだった。
天井には、シャンデリアのようなものが吊るされていて、左右の壁には、白く長いあご髭を生やし王冠を被っている老人の絵が飾られていて正面には、高さ10m程のひな段を模した作りの台座があり、その頂点には、玉座のようなものに、左右の壁に飾られている絵と同じ顔の老人が座っていて、横には奥さんなのかこちらも同じように少し形は違うが玉座のようなものに座っていた。
そして、その一つ下の下段には、二人の子供なのだろうか、男女が3対3で座っていた。
女の方に一つ空席があるがおそらく第二王女が座る場所だろう。
そのもう一つ下段には、ジャラジャラと金属の擦れる音を響かせている貴族の様な者達が、品定めするような目でこちらを見ていた。
すると、第二王女はひな段を模した作りの台座の前で、ドレスのスカートの端を持ち上げ優雅にお辞儀をした。
「お父様、勇者様方をお連れしました」
「うむ」
白く長いあご髭を持つ老人は、軽く返事をするとこちらを見て言った。
「お主らが、異世界から来た勇者達だな?」
ナコウたちは軽く頷いた。
「ふむ、まぁいい、我が名はラプラーナ聖王国 国王スラ・モロク・ラプラーナという。それでは早速、お前達が勇者としてどれだけ強いのか見させて貰おうか、聖教会の者達よ前へ来い」
そう言うとナコウ達の後ろの扉から、二人の白いローブを着てフードを深く被っているので、男か女かわからない者達があらわれた。
(あの白ローブ、聖教会の人達なのか…何か不気味だな~)
一人は水晶を持ち、もう一人は何も入らなそうな小さい袋を持っている。
その二人はナコウ達の前にで止まり口を開いた。
「「それでは、これより勇者達方のステータスを拝見させていただきます。」」
(お~、何かスムーズに此処まで来たけど、王様結構年食ってそうなのに、しゃべり方厳ついな~とは言え、やっと自分のステータスが、わかるのか!どんな感じなんだろ?ステータス!って言えば出てくるのかな?あの貴族達の目は気持ち悪いから警戒しとくとして、今はそんな事よりも自分のステータスが早く見たい!)
そんな感じで、ナコウがワクワクしていると、いつの間にか横に紗慧と楓香がいた。正義と竜也は少し離れた場所の白ローブの近くで話を聞いていた、紗慧達がこっちにいることに気付いていないようだった。
「わぁ~ナコウくん目がキラキラしてるよ」
「あら、本当ね。望絶くんこう言う展開が好きなの?」
「まぁね、こう言う異世界転移ものの小説を結構な数見てきたから」
「へぇ~じゃぁこれも異世界転移なの?」
「うん、そうだよ。まぁ僕はオタクだからそういう小説じゃないと好きになれないんだよね~はは、こう言うこと知ってる人このクラスじゃぁ殆ど居ないからね、僕のところは早いうちに母親が死んで、父さんと二人で暮らしててその父さんの職業がアニメとかのクリエイターだから、その時に使う資料とかに、こう言う小説とかアニメとかがあるから昔から好きなんだよ。━━“父さんは違うみたいだけど…”」
「え?ゴメン最後の方がよく聞こえなかった」
「あ!いや、なんでもないよ。まぁとにかくそういう小説が昔から好きだから、同じ事がリアルで起きると意外と興奮するんだよ。」
ナコウは自分の頬をかきながら苦笑いして言った。
すると紗慧は、
「そう、なんだ。私、全然ナコウくんのこと分かって無かったんだね……ねぇナコウくん」
「うん?なに?」
「転移する前にさ、“何か一つ言うこと聞く”って約束したよね?」
(ん?あ、あぁ、あれのことか)
「うん、したよ」
紗慧は、頬を赤らめながらニコッと笑って言った。
「それじゃあ今度、もっと詳しく教えて。オタクのこととか、ナコウくんの好きな物のこと…ダメ?」
「ッ!」
ナコウは驚いた、まさか此処まで自分に紗慧が踏み込んでくることに、ナコウはとりあえず強制的に落ち着きを取り戻し返事をした。
「全然ダメじゃないよ。それに言うこと聞くって言ったのは僕なんだから…白石さん、僕が教えてあげられることなら教えてあげるよ」
「うん!」
紗慧もとても嬉しそうに返事をした。
「ごほん!」
楓香が咳払いをした。
「「ッ!」」
「二人とも、良い雰囲気を作るのは良いのだけど…もっと、周りを見てちょうだい」
(う、うわ~)
周りを見ると、今までなぜ気づかなかった!と思うほどの殺気や嫉妬がクラスメイトだけでなく、王と貴族からも発せられナコウと紗慧を(主にナコウ)中心に渦巻いていた。
楓香が言うには、どうやら声が大きかったらしく白ローブ達の話を中断させてしまったらしいその白ローブ達も無言でナコウたちを見ていた。
そんな状況にも紗慧は皆を見てキョトンとしていた。
(うそん、白石さんまだ気付いてないの…)
そんな天然な紗慧に少し苛立ったのか、横から楓香が耳に口を近付いて囁いた。
すると、紗慧の顔がどんどん赤くなり最後にボフン!と煙が上がった。
それを見ていたクラスメイト達が更に殺気を増幅させた。
(ヤバイ!ヤバイ!ヤバイ!)
焦ったナコウは、あかべこのように首を振り謝り続けた。
結果的に、王と貴族からは、虫を見る目で許してもらい。クラスメイトからは、”うるさいからあっちいってくんない?“という目を女子から向けられ、男子からは、まず、憤慨した正義が、ナコウと紗慧を強制的に離れさせ、その後、正義に一発殴られた。
野崎、岡島、長坂には、“今度呼ぶからその時に必ず来い”と、ある意味一番恐ろしい要求をされた。そうして、皆落ち着きを取り戻した。
「さて、話が中断して仕舞いましたが、話を続けましょうか」
そう言って袋を持っている方の白ローブは、持っていた袋の中から金属のカードを取り出した。
「これは、ステータスカードという魔道具です。これに、自分の血を一滴程垂らしてください。そうすることで中の魔法陣が起動し自分のステータスが写し出されます。これと血を出すための針を人数分配ります。実践してみてください。なお、これは希少金属のオリハルコンを使ったものなので強度の方も心配いりません」
一通り説明が終わり、クラスメイト全員に配り終えた。
皆それぞれ指に血を垂らしていた。
ナコウも自分のカードに血を垂らした。
すると、カードに文字が写し出された。
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望絶 ナコウ 17歳 性別:男 レベル1
種族:人族
称号:異界の勇者
職業:罪人
体力:150
攻撃:50
防御:50
魔力:50
魔防:50
俊敏:55
運気:50
魔法適性:無し
固有技能
『雑食』
恒久技能:『言語・文字翻訳』『逃走』
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「は?」