5年後の告白
初出2019.01.15(Privatter)
これもツイノベの500字版
成人式の夜。中学の同窓会に参加した。
飲める人たちは飲んで、段々あけすけになっていく。そのうちにあちこちで大告白大会の始まりだ。
「オレ、渡辺のことが好きだったんだよな~」
「私、実は手塚くんに憧れてたんだよね」
全ては時効。まじでーとかウソーとか歓声が飛び交う、その片隅で。
「俺、中学のときお前のこと好きだった」
隣で何杯めかのビールを片手に、彼が言った。
え? でもあのとき……
「私のこと、フッたよね?」
そう、告白したのにきっぱり断られたのだ。
「俺の友達がお前を好きだったから」
「……」
「馬鹿だよなあ。でも今もう一度あのときに戻ってもやっぱり俺断ってると思う」
ジョッキを傾けぐびりとビールを飲む。
「でもずうっと忘れられなくてさ。今日はケリつけたかったっていうか……」
そう言うと彼は目線を少し下げた。私の薬指を見て。
「今カレシいるんだろ。ごめんな変なこと言って」
ばかだよ。恋より友情を優先しちゃうなんて。今だって勝手に彼氏に遠慮して。奪ってやろうって思わないの。
自分で買ってつけてきた指輪。フラれたことなんてヘでもないって思われたかった。
でも、こういう人だから。だから、また私から言ってあげる。
「あのね……」
今回は4部(お話としては二つ)更新しています
ハッピーバレンタイン!




