ゴールは無い
前々話、前話からのつづき
とにかく今日も日課の告白である。
「もういい加減付き合ってよ!」
「……」
あり? これは今までにない反応。私は最近思っていたことを彼にぶつける。
「ねえ、何が問題? 最近何となく今度こそお試しありかなーと思ってたんだけど、私の自惚れ?」
「──お前にとって俺ってさ、何つーかもう、ゴールみたいなもんじゃないの? 到達したらそこで終わりっていうか」
長年の意地とかで、もう別に俺のこと好きなわけじゃないんじゃないの。
思いがけない彼の弱気さ。キュンときた。
いや、キュンときてる場合じゃない、ここは正念場だ。
「好きだよ。それでもって、付き合えたら次のゴールを目指すだけだよ」
「次の?」
「うん。次のゴールは、そうだなあまずはひと月お付き合いを継続する! とか。そしたら次は3ヶ月、半年1年3年。その次はお嫁さんかなっ、で、子どもとかー、マイホームとか。ゴールは次々変わるんだ」
そう次から次へ。隣にあなたがいれば。
「それで一生懸命生きて、最後は死ぬまで。死ぬまで一緒にいたらそこが最後のゴールかな」
「……死ぬまでかよ」
「何なら天国とか生まれ変わりとかまで続けるよ!」
てことは、ゴールは無いね!
そう笑う私の手を、やっと彼が取った。




