類友LOVER
「私が側にいて面倒みてあげたいの」
「あ、そーゆーの俺いいから」
俺はいわゆるうっかり者だ。忘れ物は多い。パジャマの上に制服着る。降車駅間違える。上履きのまま帰る。もちろん小学生時代はランドセルを忘れるという超定番も経験済み。
だからか告られるとき大抵こういう台詞を言われるのだ。
「いいってどういうこと」
「別にしっかり者の彼女とかいらんし。てか好きな子いるし」
「誰」
「天羽」
「えっあもちゃん!? 向井くんと並ぶうっかりちゃんじゃん!」
そうなのだ。
あれは小5のシルバーウィーク明けの朝。
「あっ月曜の時間割持ってきちった!」
俺はつい通常の土日明けと間違えてしまったのだ。どっとみんなが笑った。
隣の席の天羽も笑っていた。そして
「あほだねえ、私はちゃんと……」とランドセルを開け、
「あっ火曜の時間割で来ちゃった!」
一捻りして上がいた。ハッピーマンデー慣れってやつだ。
それからも俺と似たようなうっかりを披露する彼女にすっかりやられたわけで。
俺はしっかり者の彼女よりも、似たようなタイプの彼女と、お互い笑ったりしたいんだ。
──気持ちを隠しもしない俺に天羽は「似た者同士じゃダメじゃん!」と、つれないけどさ。
でもそう言いつつ笑ってるから、脈がないわけではなさそうだ(希望的観測)。




