みんなバカ
「そういう中高生みたいな嫌がらせして恥ずかしくないか? いい社会人が」
「だってその人はいつも女子会は断るのに、営業の飲み会には顔出して…!」
「営業のそれは情報交換の場でもある。有意義な方に参加するのが悪いことか?」
「女子会だって有意義な情報交換の場です!」
「へえ。誰が出世頭かとか、誰か顔がいいかとか?」
結局言い負かされた女子陣は、彼の隣の女子社員をひと睨みして去っていった。
陰から見ていた私は、お前も変なのに絡まれて大変だな、すみません主任、とかいう会話を背にそっとフロアの自販機前に戻る。
そして呟いた。
「ばあーか」
「誰がばか?」
「うわっ」
振り向くとそこには主任。にっこり笑って言う。
「だ・れ・が・ば・か?」
仕方ない、私は開き直って言った。
「両方ばか。確かに嫌がらせは先輩方が悪いけど、最初の頃は優しくあの子を誘ってたよ? それを毎回断って営業飲み会に行けば気分も良くないでしょ。女子会はおいしいお店もプチプラ情報もゲットできるし無意味じゃない。もうちょっと周りを見ないと出世しないんじゃない?」
「……」
「何よ」
「いや……よくわかった。でも、なんだ、ヤキモチやいてくれたかと思ったのに」
「ほんとバカ!」




