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【農協】狂騒曲《カプリッチョ》 急章:必殺‼農協戦隊ゴニンジャー⑤

大変遅くなりましたが、2回戦をお届けさせていただきます。

「くそっ、散々晒し者にしやがって…」

「許さねぇ…ぜってぇ許さねぇ」

「さっきの屈辱、100万倍にして返してやる。」

「………」


1回戦終了後、30分の休憩としてコロシアム内の休憩所に案内された4人組。各々が誰に満遍なくボッコボコに伸されているのだ、仲間に当りたくても当たれるわけがない。


4対4のチーム戦ならいざ知らず、オッサン二人は初めから自陣待機(戦力外)。しかも一番戦力が高いであろうゴニンブラック(黒い変態)も途中で飽きたと抜かして戦闘放棄で実質ゴニンレッド(ソロボッチ)一人を相手にする、1対4の楽勝モードだった筈なのに。結果的に見てみれば、手加減されて負けたとしか言えない状況だった。


此れを圧倒的な戦闘力差を武器・防具の性能で…ゴニンジャー側がチート性能な武器を使用したのではないのかと疑い、休憩所に案内をした神官に喰ってかかってみたものの。運営側からの譲歩として見せられた、ゴニンレッドのステータス・スキル配置・(武器)全身タイツ(防具)の数値に自分たちの目を疑った。


「……なん……だと…?」

「確かに上物の武器を使っちゃいるが、あのタイツ…」

DEF(防御)修正0(なし)だって」

「マジ全身タイツかよ」


多少(10や20くらい)〈スキル〉のレベルに差があろうとも、基本数の差は中々埋められない。そこで出てくるのは装備品の質が出てくる。対象の防御を貫いて一撃で屠る攻撃力のある武器・いくら攻撃を受けても傷一つかない防具などがそうだ。だから敵が強くなっていく最前線の高レベル冒険者は質の高い装備を探し、創り出す。


それを、その多少(10や20くらい)高い〈スキル〉のゴニンレッド(ソロボッチ)が4人を相手に無傷で複数回にわたり蹂躙し続けていた。まさに紙装甲で、一撃でも喰らえば死に戻る(吹っ飛ぶ)状況で、4対1という圧倒的不利な状況をはじき返す。


ってことは、簡単に言ってしまえばプレイヤーとしての技量が全く違うって事になる。そりゃ、最前線をソロで切り開くセルフハードモードなプレイヤーと、同じ最前線でもあからさまに自分達より弱そうな敵を複数で嬲ってるようなヌルゲーのプレイヤーでは、経験した修羅場が圧倒的に違う。


とかなんとか真面目に言ってるけども、このお話はそんな事関係ないし、4人組もそこまで考えていないだろう。唯々ソロボッチ恐えぇぇぇ位しか思っていないはず。先ほどの一方的に受けた屈辱をどうやって晴らしてやろうかといっぱいいっぱいです。


「みなさん、二回戦が始まります。会場までお願いします」


「よっしゃぁぁ‼」

「いくぞをらぁっ‼」

「ぶぅぅぅっ殺す‼」

「……やってやる」


4人組の物語はまだまだ続くのだ。この果てしない男〇のように…ミカン




って云う事にはならず、コロシアムの中心で次の種目を決めるのであった。



「観客のみなっさぁぁぁん、お待たせしましたわぁぁぁぁ。」


やっぱりノリノリの元王妃様。下がることのないテンションで会場を盛り上げる。ヒートアップした観客の歓声が怒号のように降り注ぐその中心で、高らかに2回戦の開始を告げる。


「元【漆黒黄金の(ノブ)高貴な闇(ネス)】の悪戯小僧4人組VS(ヴァーサス)農協戦隊ぃぃぃぃぃ……(ためてためて)ゴニンジャァァァーーー。二回戦の種目はぁぁぁぁぁぁ‼」


軽快なドラムロールが鳴り響くなか、元王妃様は用意された二つの箱をあさる。中からボールをひとつずつ取り出す。会場の視線を一身に受けた元王妃様が軽く手を挙げると、ピタッとドラムロールが止まり、静まり返った会場のなか、視線だけが元王妃様に注がれる。


「発表します。種目はフードファイト、制限は……なし。何でもありです。」


また会場が湧き出す。元王妃様が指を鳴らすと、会場の中心に3メートルの長机が向かい合わせで2卓。そして何処かで見たような豪勢な調理場と、魔王姿の料理人さんご一行が長机の向こう側に現れた。会場の客席で動物達(シロやクロベェ達)と観戦していた料理人さん達を一瞬で呼び出してしまうのも、もちろん運営さんのお力でございます。


打合せ一切なしで呼び出された料理人さんも動物たちも突然のことで鳩が豆鉄砲を喰らった様な顔をしているが、駆け寄って来た神官さんに説明を受け、納得はしないまでも理解はしたようだ。


ってことで、4人組対ゴニンジャーの2回戦は、フードファイトfeaturing料理人さんで幕が開けるのだった。ちなみに、調理場の脇に審判席と称して元王妃様とゲスト席としてヒガシグンジョウジ君の席が用意されているのは、ご愛敬でお願いします。


今回のルールは料理人さんの


「(料理を)作るからには、お残しは許しません」


との一言で、わんこそば形式(皿の上がなくなったら次の料理を追加する)の大食いとなった。メニューは料理人さんにお任せで、5皿ごとに料理が代わる特別仕様。

4対4の総当たりではなく、先鋒・次鋒・副将・大将に順番でギブアップしたら選手交代になるなんちゃって勝ち抜き戦。最終的に空になった皿の数が多かったほうが勝利となる。


とは言えども、現在の観客の関心は勝者ではなく、料理人さんが何を作るかのほうに大分関心があるようだ。颯爽と料理の準備に取り掛かった料理人さんを横に、眼帯をした元王妃様がこれまた朗々と開始の合図を発する。


「農協ファイト2回戦・レディー・GO‼」


元王妃様…ヨダレ拭きましょうね、せっかくの美人が台無しになっています。


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