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【農協】狂騒曲《カプリッチョ》 急章:必殺‼農協戦隊ゴニンジャー④

さて、片方の陣地ではタイツ姿の変態(オッサン)が、干し肉片手に酒を呑んでいるのに対し。もう片方の陣地では、チンピラ4人組対赤い全身タイツ(ゴニン)の変態(レッド)が一進一退の攻防を繰り広げていた。

常日頃から多数(4)少数()をメインに弱いもの虐めをしていただけあって、3人が別々の方向から攻撃し、残り1人が死角をついて強い攻撃を行うコンビネーションは絶妙。それを4人が4人とも実践できるからこそ、多少の性格悪でもトップクランに在籍できていたという所以だろう。


しかし、負けてはいない赤タイツ。本来の姿は最古参(筋金入り)のソロボッチプレイヤーだ。幾多の修羅場を一人で潜り抜けただけあって、多対一の戦い方を判っている。

視界を広く取り、死角が出来ないような立ち回り。そして、無理に攻め込まず、範囲攻撃を織り交ぜ、被害は最小限に、攻撃は最大限に…のような攻防を繰り返している。


「くそっ、こいつスキがない」

「ソロボッチのくせに生意気だ」

「チマチマ攻撃しやがって」

「でかいの一発はいりゃこっちのものなのに」


「…お前等みたいな温いプレイなんてしてない」


実際、迷宮探索(ダンジョンハック)大人数戦(レイドバトル)をソロでプレイでこなすのは。よっぽどレベルに差があって〈スキル〉でブイブイ行くか、1人で総ての役割をこなす万能系(マルチタスク)プレイができる超器用な人間だ。

ちなみに、【農協】所属のオッサンたちは基本前者に当たる。カンストした〈スキル〉にモノ言わせてブイブイ突き進む脳味噌まで筋肉(パワー)プレイが得意…というより、それしかできない(笑)。なので基本的に(ダンジョン)に行かないのはそれが理由なのだ。奴ら(オッサンども)が通った後は色々大変なのだ、なので元国王様から禁止されている。

なのだが、オッサン一歩手前の一般(?)プレイヤーの二人は例外となる…ソロボッチのシザンケツガとMrTKGのサカキだ。

実は【農協戦隊ゴニンジャー】になって、全身タイツを身に纏うには基準があったりする。それは、メインになる〈スキル〉レベルが180以上という事。ちなみにメインが一つとは限らない(盲点)。

サカキは、戦闘職で〈戦槌〉、生産職で〈鍛冶〉そしてユニークスキル〈リアクション〉でゴニンイエローを勝ち取った。一番高いのは〈リアクション〉だったのは本人的に黒歴史のようだ。

そしてシザンケツガが、戦闘職〈戦斧〉〈回避〉〈気配察知〉〈危機感知〉の4つとユニークスキル〈ソロプレイ〉の合計5つで情熱のゴニンレッドを勝ち取ったのだ。このユニークスキル〈ソロプレイ〉は、言わなくても判るかもしれないが、単独行動(ソロボッチ)時に色々なプラス修正を受けられるソロボッチにはお得な〈スキル〉なのだが、反面団体行動(パーティープレイ)時にはマイナス修正がついてくる厄介な〈スキル〉でもある。

しかし、このマイナス修正がついてもなおゴニンレッドとして団体行動(パーティープレイ)をしたい、とその時の意気込みは…正直ドン引きモノがある。


まぁそんなことで、現在パーティープレイの枷が外されたゴニン(ソロボッチ)レッド(プレイヤー)は、4人組の愚痴のような文句に律義に答えながらも、余裕さえありそうな雰囲気を醸し出している。


4人の連携が綻んできて、攻撃が杜撰になってきたら必殺の一撃で死に戻りさせ、残り3人を挑発する。そうすると残った3人は一気呵成に攻撃に出てくる。それを片手間にしのいでいると、死に戻りした奴が完全回復した状態で戦線に加わってくる。そんなことを2巡位すると、4人は肉体よりも精神的に参ってきたのか、自陣の柱前(リスタート地点)より動けなくなっていた。

自陣のオッサン(酔っぱらい)共も飽きてきたのか。


「お~~~~~い、そろそろいい感じに気持ちよくなったから、終わろうぜ」

「うむ、酒も肴も旨かった。」

「…飽きた。」


ストレートに言ってくるオッサンもいるが、よっぽど暇だったのだろう。大工のオッサン(ゴニングレイ)なんか自陣の柱でトーテムポールなんか作っていた。しかもゴニンジャーの顔が劇画調に彫り込んである。

そう全員、目付きと眉がゴル〇13(デューク〇郷)だ。


「も~しょうがないっすね。」


自陣に振り返り、目に入ったトーテムポールに自分の顔が入っているのを見たゴニンレッドは上機嫌で戦斧を腰だめに大きく振りかぶる。


「最後に目にモノ見せて終わりましょう」


「ひぃぃぃっ」

「うわぁ」

「…これで楽になれる」

「や…やめてくれぇ」


「俺の心がバーニング、お前等倒せとシャウトする。仲間の力を借りて今、必殺のぉぉぉ爆発・ホークスラァァァァァァァァァッシュ‼」


叫び声とともに、振りかぶった戦斧を力一杯ぶん投げる。高速回転をした斧は大きく弧を描き、4人と柱を真っ二つにした後爆発させていく。


そこに4人の姿はなく、砕け散った柱が残っているだけだった。


「ウィナァァァァァァァァ、イィィズ、ゴニンジャァァァァァ‼」


元王女様の勝利者宣言が高らかに響き渡り、観客の大歓声が会場を埋め尽くした。



無事一回戦終了となりました。

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