【フードコート】超・試食会 準備②
まずは寝かせていた、ラーメンの麺を作ってしまおう。スキル〈料理魔法〉の均等化を使ってできるようになった裏技。麺の手伸ばしを行っていく。まずは小麦粉をつけずに生地を棒状に長く伸ばし、二つに折りねじってを繰り返す。数回繰り返したら次が本番だ。
打ち粉を敷き、生地に粉をまぶしたら、その両端を持ち均等に力を加え引っ張る。生地がが伸びたら両端をくっ付け、また生地の両端を持ち引っ張る。1本が2本、2本が4本、4本が8本。そのまま16・32・64・128本となる。大体ここまでが現実世界の限界になってくる。直径50ミリの太さが半分・半分と続けていけば、128本は50ミリの128分の1で0.3ミリ。機械伸ばしの麺の一番細いのが1ミリと考えれば十分に細いが、スキルのあるゲーム世界なのでさらに伸ばしてみよう。
さらに倍の256本、もう一回折って伸ばして512本これで約0.1ミリ。で、もう一回の1024本で約0.05ミリになり、服の繊維もびっくり仰天の細さ。しかし、麺が細ければ細いほど、スープと絡みあうという。
いくらコシが強い麺でもここまで細いと茹ですぎたら溶けてしまうだろうから、ゆで時間には十分注意せねばな。麺を小分けして余計な水分を吸い込まないよう冷凍庫で保管だ。
次は蕎麦を打とう。アカツキさんに挽いてもらったそば粉と、ササキさんに作ってもらった蕎麦打ち鉢の登場だ。十割蕎麦は個人的に喉越しが好きではないので、1割の小麦粉を混ぜ合わせる。両方の粉を篩にかけると混ざり合わせがやりやすいし、細かいゴミも取りやすい。
ここからが蕎麦打ちの水回しが始まる。蕎麦粉と小麦粉が満遍なく混ざるように指を立てて粉をかき回す。全体量の半分くらいの水、その3割くらいを回し入れ、全体に水が行き渡るように掻き回す。
同じように水を加えて掻き回していくと、全体的に細かいダマになっていくので、そこまでいけば水回しが終了。すべてのダマを一纏めにし、鉢の手前から奥へと親指の付け根を使い練りこんでいく。更に練りこめば練りこむほど、中の水分がダマ全体に行き渡り、全体が艶々してくる。
次はダマを外側から中心へと、中に織り込むように中の空気を押し出すように揉みこむとまるで中心に向かい螺旋を描く流れになる。昔の人は、この様が菊の花に見えたから“菊揉み”といったらしい。螺旋も消えるくらい揉みこみ奇麗な饅頭のようになったら揉みこみ終了だ。
蕎麦を打ち鉢から、薄く打ち粉を引いた打ち台へ移したら、親指を使い蕎麦を丸く大きく伸ばしていく。打ち粉を少しづつ打ちながら、伸ばし棒を使い、蕎麦を薄く伸ばしていく。奥行きが蕎麦の長さと同じになったら四隅を伸ばし四角くする。これは丸いままだと、天地左右を落とせば無駄がでてしまうためだ。
軽く打ち粉を打ったら、山折り谷折りと折り畳み、包丁で切りやすいながさに調節する。あとは、厚さと太さが同じになるように切っていけば終了。
蕎麦は、挽きたて・打ちたて・茹でたての三たてが良い。なので折角だから茹でてしまいましょう。たっぷりの鍋に水を張り湯を沸かす。
その間にそば出汁を作ってしまおう。蕎麦の香りを引き立たせるように、海竜と空竜の出汁を併せ、そこに追いカツオならぬ追い海竜(笑)。醤油の返しは用意していなかったので、2段熟成させた濃厚なたまり醤油・みりん・酒でひと煮立ち。出汁と醤油の効いた関東風のつけ汁が出来上がり。これは氷でキュッと冷やしてしまおう。
そして、卵料理をもう一つ。冷たい卵豆腐に対抗して、あったかい卵料理、その名も“たまごふわふわ”。古くは江戸時代にまで遡るが、卵と出汁の味を両立する温かい料理と言ったら私はこれだと思う。
個人用の土鍋半分量に薄口の八法出汁を張り、弱火にかける。軽く煮立ってきたらメレンゲに卵黄を混ぜたものを鍋の8分目まで静かに流し入れる。蓋を閉じ心静かに約3分待てば、出汁を十分に吸った卵が溢れんばかりに膨れ上がり、蓋を押し上げる。このタイミングが難しいので、参加者が着席してからの目の前での調理になるかな。
卵豆腐は、流し缶から抜いたら、正方形に切り器に盛る。そこに、冷やしておいた、出汁を静かに掛けて完成。
焼き茄子は、大きさをそろえて切ったら、形よく盛り付けし、提供する直前に糸状に削り出した海竜枯節=通称糸がきを飾り付ければ完成だ。茄子の揚げびたしは、十分に水にさらした玉葱スライスを敷いた皿の上に盛り付ける、この際縦方向に入れた飾り包丁の効果で、茄子が茶筅のように丸みを帯びて広がっていく。焼き茄子と同じように出際に陸竜の糸がきを飾れば完成となる。
野菜のゼリー寄せは、洋風のテリーヌみたいに切り口を上に、平皿の中心に飾ってみる。幾分緑色が強いので、トマトやエシャロットで飾り立て。自家製マヨネーズベースのソースで皿を引き締めれば、これも完成だ。
お湯が沸いたらそばをゆで、冷水に落としてキュッと締めれば、ざるに盛り付けて終了。蕎麦と出汁の香りを楽しんでもらうので、薬味葱も山葵も海苔もあえてつけません。そのままを召しあがってください。
ラーメンは注文が来てから麺を茹でなければならない。アツアツのスープは陸竜出汁。それに追い陸竜(笑)と、陸竜で作った角煮のタレを少々。角煮もついでに1枚プレゼント。
そこに、ゆで時間わずか3秒の麺を湯切りして入れる。これだけで、陸竜の角煮入りラーメンの完成。麺が伸びる前に食べて頂戴。
残った出汁で、味噌汁・吸い物。お茶漬けもいいなと思ったんで専用の出汁を作っ手みた。
ってことで、今回の試食会のメニューは
①卵豆腐
②焼き茄子と茄子の揚げびたし
③野菜の出汁ゼリー寄せ
④ざるそば又は手打ちラーメン
⑤たまごふわふわ
⑥ご飯(佃煮・炒り煮)+漬物+(お茶漬け用出汁)
⑦味噌汁・お吸い物
ちなみに、味噌汁は自家製の米味噌で豆腐と長葱。お吸い物は海竜の胆と身を練って蒸した蒲鉾を使っている。どちらも海竜と空竜の合わせ出汁だ。
メイン料理がないように見えるが、気にしちゃいけない。どの料理も、どこに出しても恥ずかしくない逸品ばかりだ。さぁ、参加者の皆さんは心して召しあがってください。
お待たせしました
やっと完成しました。
次は試食の回になります。
ゲストのだれが何を食べて同リアクションを起こすのか?
それは作者もわからない。




