番外編 料理人 竜討伐? 試食会その1
大分難産しました。
⑦ユウタロウ
喰えるものならぁ喰ってみろの試食役で特別招待されましたユウタロウです。何やら料理人さんが兄さん達と狩りに行って狩ってきた獲物を試食させてくれるとの事で、リエちゃんと来てみたんですが・・・獲物って竜でしたか。
その姿は動画でしか見たことないですが、僕が倒した暴突丑の何倍も強いって話ですよね。ソレを1パーティーで倒すなんて、兄さん達って実は凄い実力者の集団なんでしょうか。尊敬の眼差しで兄さん達を見ていると、何故だか全員顔を逸らすんですよね・・・。
それは置いておいて、僕たちのテーブルには料理人さんが作った竜の料理が並べられた。どれもこれも美味しそうな臭いで僕を誘惑してきます。料理人さんが作った時点で美味しいのは確定しているんですけど、そこは竜のお肉の料理ですから、しっかりと味わってみましょう。
まずはシチューを一口。お肉の旨みが十分に溶け込んだシチューは、ワインとトマトとソースが複雑に絡み合い、市販のビーフシチューなんて比べられないくらいに美味しい。次にお肉を一口、フォークが抵抗なく刺さるのに、噛むと僅かながらも弾力が有り、肉を食べていると実感ができる。さらにシチューの味が染み込み、噛むたびに吹き出る肉汁がシチューの味を一段も二段も高めているようにも感じてしまう。
隣に座るリエちゃんも、ものすごい勢いでシチューを平らげている。ふと、僕と目が合って、少し恥じらい、顔を赤くしながらも。
「おいしいね、ユウタロウ。」
ニッコリ笑うリエちゃんを見ていると。
「うん、おいしいね。」
反射的にそう笑顔で答えてしまうのは、男の子としてのサガなのかもしれない。僕もこんな笑顔を作れるくらいの料理を作りたいなぁ・・・。
でも、もうこれ以上悠長に感想に耽っている時間がもったいないので、僕は食べる事に専念します。後は、他の方々にお願いいたします。
⑧ササキ
竜の料理の試食という事で、目の前に料理が並んでいるわけだが、ステーキとかシチューとかは若いモンに任せて、オッサンはやっぱり酒の肴でしょうって事で、ブラッドソーセージに行ってみようか。勿論片手にはキンキンに冷えたビールでしょう。
先ずは喉を潤すのにビールを一口、次いで茹でただけのブラッドソーセージを何も付けずに齧る。パリっとした皮が裂ける音の後、少し血の匂いが鼻につくが、香辛料が効いているだけあって味としては余り気になる程ではないな。竜の肉のミンチも混ざっているだけあって肉汁も食感もしっかりしている。
このソーセージを飲み込んだところで、またビールを流し込む。口の中をスッキリさせ、またソーセージを食べたくなるような気持ちにさせてくれる。今度はマスタードを付けて一齧り、ピリっと鼻に抜けるマスタードの辛味が微かな生臭さを消しソーセージの肉の旨みを際立たせる。咀嚼するたびに、竜の血液とミンチからシミ出す肉汁・マスタードの辛味が混ぜ合わさり、口の中に極楽浄土が広がったような錯覚に陥ってしまう。
あぁ・・・ドイツの友人曰く、ドイツ人の体はウインナーソーセージとビールで出来ているというのも、今だけは頷いてしまいそうだ。しかし友人よ、現実世界には竜のソーセージは無いだろう?羨ましかろう?
しかし、茹でただけのソーセージと、そこからさらに焼いたソーセージを比べてみるが、味わいが大分変わるようだ。ただ切ってフライパンで焼いただけなのだが・・・肉汁が流れて少しパサつくような感じがしない事もないが、焼き目が付き香ばしい匂いが先だって血の匂いが殆んどしない様な感じだ。
こちらも美味い、ビールが進む進む。
そして、山ワサビの清冽な鼻に抜ける辛味も、グンジくん特製のケチャップも良かったが、酒飲みとしては、このブラッドソーセージに付けるならマスタードが一番だな。勿論好みの問題だから、無理強いはせんがな。
試食の部 前半戦です。




