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番外編  料理人 竜討伐? その2

③コウタロウ

唐揚げに誘われて、料理人さんやシザンケツガさんと臨時の(ドラゴン)討伐のパーティーを組み、気球船に乗り一路王都へ。其処から陸路で【山岳の街・ホーゲル】まで進み、一泊した後に(ドラゴン)が住むと云われる山の中に踏み入る。途中、長期の冒険用に運営が用意したログアウト可能(安全地帯)な山小屋に泊まること数回を経て、(ドラゴン)の生息域に漸く辿りつく。


流石にアップデートされたばかりの最前線って事で、モンスターの強さも半端ない、これでも一応ながら最前線を行く攻略組なんですけどねぇ。だけど、今回は料理人さんがいる、ここまでの食事を全て賄ってくれているので、美味いメシでパーティーのモチベーションはかつてないほど高い。いやぁ~飯盒で炊くご飯が美味いし、塩だけで焼いただけの川魚が美味いし、途中襲ってきたモンスターも、料理人さんの手にかかれば瞬く間に美味い料理に変わるし、しかもバフ(能力値上昇)のオマケ付き。

コレだけでこのパーティー(ドラゴン討伐)に参加した甲斐があるってもんだ。


さて、その料理人さんなんだけど、ここまで戦闘に参加してないかというと・・・現実世界にもいる様なモンスター(食材になりそうな獲物)の場合限定で戦闘に参加している。しかも積極的に。曰く、『無理を言ってみんなを連れ回しているので、食材の確保(コレくらい)は私がやらんとな』との事だ。

そんな、料理人さんの戦い方は・・・正に瞬殺って感じで、モンスターを見かけた直後、料理人さんが視界から消え、気が付けばモンスターの眉間を中華包丁で打ち据えて倒しているって感じだ。そして直ぐに喉と脚の付け根に切れ込みを入れて血抜きをし、皮を剥ぎ、肉を切り分けていく。何故そこまでを一瞬で出来るのかと聞いたら・・・


『〈料理〉スキル持ちが包丁を持っている状態で、対象を食材と判断できれば、〈高速調理〉が発動する事が出来るので、最速の100倍速で動いているだけのことだ。』


〈料理〉スキルってなんかチート臭くないですか?俺も料理人さんやアカツキさんの影響で〈料理〉と〈農作業〉のスキルを取ったけど、未だにそんな動き(高速移動)は出来ないぞ。いったいどれくらいのレベルで発動できるんですかねぇ・・・えっ、100レベル以上?マジっすか。


④リンリン

料理人さん率いるクラン【農協】の(ドラゴン)討伐のメンツなんだが、料理人さんを筆頭に、ソロで攻略組のシザンケツガさんと僕たちのパーティー四名(コウタロウ・エツジ・マサカツ・僕)の合計六人だ。僕達は基本4人で行動しているから、その中での役割はしっかりしている、シザンケツガさんもソロって事でオールマイティーに物事をこなせるんで問題が無いんだが・・・料理人さんの能力がピーキー過ぎて何とも。


(ドラゴン)が住まう洞窟に入って小一時間が過ぎた。中は自然にできた洞窟で罠の気配はないし、(ドラゴン)の居住区域って事でモンスターも生息していない状況なのでサクサク進める。そんなこんなで順調に洞窟を進み、到着しました(ドラゴン)の寝床。


大きい広場になった天然洞窟の中央部、大きな体躯を丸め寝息を立てている(ドラゴン)が居る。緑に輝くウロコ・背に大きな翼を持ち長い首と長い尻尾・体を支える四肢は短いながらも太く逞しい。神秘的で幻想的でもある(ドラゴン)に僕たちが近付くと、その気配を察知してか目を醒まし、鎌首を擡げて此方を睨んでくる。


そこで料理人さんが僕たちの前に出る、その手には僕の両手戦斧(バトルアクス)よりも刃渡りの大きな刃物を持っている。これが料理人さんとサカキさんが出発前に打ち上げた、対(ドラゴン)用の武器(なのか?)[特大の鯨包丁]ってヤツかな。


『じゃっ、チョット行ってくるわ。』


との一言を残し、その場から消えるようにいなくなった料理人さんだったが、次の瞬間には(ドラゴン)の頭が喉元からバッサリと撥ね飛ばされていた。そのまま解体を始めたのか、みるみる内に(ドラゴン)がバラバラになっていく。アッと言う間にバラバラになった(ドラゴン)は見る影もなく、骨の一片までも残さず料理人さんのアイテム袋(ストレージ)に収納されてしまった。


『ふぅ、お疲れさん。じゃぁ帰ろうか。』


そう言って此方を振り返る料理人さん。その後ろには、巨大な(ドラゴン)がいた様な様子は全くない。強いて云うなら、解体の際に飛び散った血液が其処に大型の生き物が居た事を物語っている位かな。


・・・えっ、何それ、僕たちの決死の(ドラゴン)討伐のパーティーって何?もっとこう、コウタロウや僕がヘイトを稼いで、残滅ギリギリの処でシザンケツガさんがトドメを刺したりすんじゃないの?もしかして料理人さんの護衛?いや、寧ろ(ドラゴン)を単独撃破出来る料理人さんのお荷物だったりしませんか?いや、レイドボスを単独撃破って、しかも瞬殺って料理人さんが化物だったりしませんかぁ?情けなさすぎて泣くぞ、泣いちゃうぞ。


混乱する頭でそんな事を考えていたら、コウタロウが僕の肩を叩き。


あの人(料理人さん)は、そういったモンだと思っておけば良んだよ。気にしたら負けだぞ。」


半ば諦めたような表情で囁くコウタロウの目には光など無く、絶望も裸足で逃げ出すような深い闇が差し込んでいた。まぁ、簡潔にいうとレイプ目って奴だな。


はぁ・・・とっとと【始まりの街】に帰ろうよ。


こうなったら、何にがなんでも(ドラゴン)の肉をたらふく喰ってやるんだから。あとスイーツも。


因みに、リンリンさんは僕っ娘です。

コウタロウくんのパーティーの紅一点ですね。


次回はやっとこさっとこ竜の肉の調理に入る予定です。

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