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【農協】 大宴会

本日は、クラン【農協】全員で慰労を兼ねた一泊旅行となっております。行き先は【海のある街・アル】の私たち(オッサン四人)が以前お世話になった、あの旅籠です。元国王様が持ってきたクエスト(名物料理作成)の報酬金額が割と法外だったため、いっその事お金で貰うより・・・って事で、この企画を立ててみた次第です。


プレイヤーの皆さんは現実世界での都合も有りましょうから、時間を掛けてスケジュールの調整をしてもらいなるべくならクラン【農協】全員が参加出来る様に、全員に根回しをしてみました。おかげさまで、ログイン時間の関係で参加できないお子様組(ユウタロウ少年・少女)学生組(コウタロウ一行)以外は全員参加となりました。まぁ、お子様たちには、お土産を買ってきてあげる事で許して頂いているし、コウタロウくん達は、時間が有れば旅籠に顔を出せば良いと伝えてあるので、問題ないだろう。


しかし、強いて云うなら・・・何故かこのメンバーの中に元国王様がいるのかって事が問題なのだが、どうやら運営(コネ)の力を使い、私の預り知らぬところでクランのメンバーになっていたようだ。何かとクラン(主に【フードコート】)に絡んで来るので、準クランメンバーと他の方々は認識している様で、ほぼ違和感無くこのグループ(クラン農協)に馴染んでいる。



頼みますから違和感さん、仕事してください。



急遽、ササキさんに拵えて頂いた大人数用の牛車をクロベェとシロに牽いてもらい、一路【海のある街・アル】へと出発したクラン【農協】御一行様。いつもの暴走超特急という訳には行かなかったので、途中休憩を兼ねた昼食をとり、それでも日が傾く前には街に到着した。直ぐには旅籠に行かず、海を見るのが初めてなNPCの方々を中心に観光に勤しんだあと、日が沈む直前に旅籠に到着した。

旅館の女将さんへの挨拶もそこそこに、汗を流すべくこの旅籠のウリのひとつでもある大浴場に向かう。混浴などは無く、男女に分かれた露天の風呂はロケーションに優れ、半ば沈みゆく夕日を見ながら入る風呂は何とも云えぬ情緒を醸し出す。風呂上がりに、旅籠から供されるフルーツジュースも、冷えていて大変美味である。


さて、風呂から上がればお待ちかねの宴会だ。畳敷きの大広間にお膳で出された料理と酒、そして、等間隔で置かれた刺身の盛り合わせ・・・舟盛りだ。あぁ、テンション上がるわぁ・・・以前厄介になった時も、ここ(旅籠)の料理は大変美味かったのに、今回は更に輪をかけて美味そうだ。以前の青空食堂で、手伝って頂いた人気店の主人ってのがこの旅籠の調理長さんだったようで、その時にかなり〈料理〉のスキルがレベルアップしたみたいだ。だって、刺身の切り口が、以前来た時と比べる必要もないくらいに輝いているのが見て取れるんだもん、味だって期待しちゃうでしょう。


美味い魚に旨い酒、いやぁ~~ゲームの世界も捨てがたいねぇ。そんなこんなでで、酔も程良く回り気分も良くなってきたところで、元国王様が徳利をマイクにみたて司会を始めた。


「れでぃ~す、えぇんどぉ、オッサンどもぉぉ!!これからイベントを始めるぞ!!」


得意の指パッチンで女中さん達に運ばれて出てきたのは、テーブルとそれに乗せられた大根数本と、様々な包丁だった。


「イエェェェス!!そう、これから始まるのはぁぁぁ、レッツ桂剥き大会ぃぃぃぃ!!」


パフパフパフドンドンドン・・・いや、アカツキさんもササキさんも口で楽器の真似をしなくても大丈夫だぞ。どうせ元国王様も酔ってるし。


「OK、ルールは簡単だ!!この大根を桂剥きにする、ただそれだけだ。判定はどこまで薄く・最後まで切れずに大根を剥き切ることが出来るかだ。」


って事で参加者が5名、元国王様・【フードコート】のご主人・ナナセさん・(料理人)、そして今しがた到着したコウタロウくんだ。各々が籤を引き、ソコに書いてあった包丁を選ぶ。


元国王様・・・剥き物包丁

ご主人 ・・・薄刃包丁

ナナセさん・・・家庭用穴あき包丁

コウタロウくん・・・中華包丁

(料理人)・・・ぺティナイフ(10センチ)


・・・ををぃ、なんじゃそりゃ!!あからさまな不正感バリバリじゃねぇか!!あぁっ元国王っ!!そのあからさまなドヤ顔を止めろ。桂剥きをする大根の長さが12センチで包丁(ぺティナイフ)の長さが10センチって、長さが足りないわ!! 其処までして勝ちたいのか!!


元国王様の大分フライング気味に始まった桂剥き大会、もうすぐ4分が経過しようとしている。現在、元国王様とご主人がデッドヒートを繰り広げてはいますが、そのほかのメンツは・・・


コウタロウくん・・・開始3秒で自分の指を盛大に切り落とし、途中退場し現在治療中。

ナナセさん・・・包丁が悪かったのか、開始一分で、大根を切ってしまい終了。

料理人・・・横になってお昼寝中(笑)


料理人さんのやる気が全く見受けられない状況ですが、5分を経過したところで料理人さんが目を醒まし、雄叫びを上げ大根を剥いていきます。しかし、その方向が他の方々と違う。普通の桂剥きは、長軸に沿って薄く向いているのだが、料理人は90度回した状態・・・繊維方向に剥いて行っている。始めは角や長軸面があるためにソコソコ厚めに剥いていたが、形が整ったら、元国王様やご主人よりも薄く剥き始めた様だ。


反則じゃね?の様な声は出ないみたいだ。だって料理人の剥き方って、超難しいデスから。


って事で、開始から十分経過し、参加者五名の内三名が無事大根を剥き終えた訳だが。結果を以下に記載する。


一位・・・ご主人

二位・・・元国王様

三位・・・ナナセさん

棄権・・・コウタロウくん

反則・・・料理人さん


ご主人と元国王様の判定はほぼ僅差で、厚みはほぼ同じだったが。ご主人の方が、元国王様より剥いた大根の長さが5センチ長かったのだ。因みに料理人さんは、薄さ・長さ伴にご主人を超えたように感じたが、調子に乗って、計測前に大根をツマにしてしまった為、計測不能で反則となり失格となりました。



剥いた大根は、このあと料理人が総てツマにして、舟盛りに使い、全員が美味しくいただきました。


大分時間が掛かりましたが、今日はここまでです。

短めでスミマセン。

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