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女料理人ナナセ 頑張る

前話のナナセさん視点のお話になります。

私の名前はナナセ、クラン【農協】に所属する冒険者(プレイヤー)です。冒険っていっても、最大で二つ向こうの街【三番目の街・ドライ】まで行くのが精々のへっぽこだ。だけど、生来の手先の器用さと料理好きが幸いして、このゲーム(無限世界の住人)では、生産職として活動をしています。

最近では、【農協】のリーダーとして活躍している料理人さんにちなんで、女料理人さんなんて呼ばれています。尊敬するグンジ(料理人)さんの二つ名にあやかった二つ名を戴けるのは大変光栄なのですが、何だかおこがましいと言いますか、名前負けしているのでは?と思う事も無きにしも非ずって感じなのです。コレをグンジさんに相談したら・・・


『(名前負けなんて)そんな事は無いと思いますよ。もし、それ(女料理人の二つ名)が負担だと思うなら、それに負けない位の努力をすれば良いと思います。結果は必ずついてきますから。』


少々無責任チックなご返答を頂いた訳で、日々〈料理〉のスキルを上げるために努力の日々なのです。いや、その時々で料理人さんがもって来る厄介ごとの手伝いをさせられる内に、問答無用でスキルが上昇していると言ったほうが正しいですね。


そして今回、料理人さん(ってよりクラン【農協】に元国王様)が運んできた厄介事は・・・アップデートで新しく作られた【始まりの街・夏】と【始まりの街・冬】の食堂に看板メニューを作って欲しいとの依頼でした。ですが、料理人さんは一人しか居ませんので順番に街を廻るのかと思って話を聞き流していたのですが、二手に分かれて一気に依頼をこなして仕舞おうとの事で私に白羽の矢が立っちゃいました。


そう言った経緯で、元国王様に連れられてやってきたのが【始まりの街・夏】です。移動は【神殿】の転移装置(テレポーター)で一瞬の事で実感が湧きませんでしたが、【神殿】から出た途端に肌が焼けるような日差しと熱気。湿度は然程高くないので夏場の日本(現実世界の夏)よりは幾分過ごしやすいとは思いますが、とにかく暑い。こんな環境で、食堂の看板メニューって、もうアレしか思いつきませんでした。


元国王様の紹介で、街の食堂の皆さんに挨拶をして早速料理を始める事にする。食堂のご主人に用意していただいたのは、中華麺・胡瓜・卵・鶏胸肉・調味料各種。調味料は、【フードコート】で使っているものが其の儘用意出来たので助かりました。


先にスタンダードな冷やし中華のスープを作ってしまいましょう。出汁は鶏ガラでとり、その冷ました出汁に醤油・酢で味を付けたら、胡麻油と葱油で香りを付け足す。この葱油は、大量の長葱の粗微塵切りを油でジックリと揚げてゆき、長葱の味と風味を油に移したもので、鶏ガラで出汁をとっている最中に作ったものです。


次に、鶏胸肉は酒蒸しにして、冷ましてから粗めにほぐしておく。

きゅうりはサッと水洗い、板ずりして、薄く斜め切りし、更にソレを千切りにします。そうすると良くお店で見かける両端に皮の緑が綺麗な胡瓜の千切りが出来上がります。

錦糸卵は、溶いた卵を薄く焼くのですが、此処でひと工夫。溶き卵の中に、片栗粉を少し入れるだけで、薄くても破れにくく焼くことができます。また、この卵焼きが冷めたら長さ(幅?)を揃えて千切りにします。


ここまでの準備が出来たら、いよいよ中華麺を茹でるのですが、茹でる前に軽く麺を揉み込み縮れさせるのが、程良く麺に出汁を絡ませる秘訣です。たっぷりの湯を張った大きな鍋で一気に麺を茹でましょう。茹で上がったら、氷水で一気に麺を〆ます、これが麺の歯ごたえを良くします。

麺を〆て、確りと水を切ったら器に盛り付けます。この時点で麺の水分を確り切っておかないと、余計な水分でスープの味が薄くなってしまいますので、確り麺の水分を切っておきましょう。さて、麺を器に盛り付けたら、彩り良く錦糸卵・千切り胡瓜・解し蒸し鶏を盛り付けて、よく冷えた出汁を掛けて冷やし中華の完成です。

好みで、和からしとマヨネーズをつけてお召し上がり下さい。


試食をした元国王様よりOKをいただいたので、現地のNPCの方々にもウケる様に細かな味の調整をしましたら、レシピの詳細を書いて調理場で仕事をする方々へのレクチャーを始めましょう。他にも、同じような食材を用いた料理も作成し、メニューに載せていただくのもいいかもしれませんね。




千切り胡瓜の上に蒸した鶏肉を乗せ、胡麻だれを掛けた棒棒鶏(バンバンジー)

冷やし中華の麺で代用するが、茹でて〆た麺に野菜をトッピングし、豚挽きをピリ辛に味付けした肉味噌をかけたなんちゃって炸醤(ジャージャー)麺。


余りメニューを増やしすぎても、その料理を作ることができなければ本末転倒となってしまいますので、取り敢えずですがこの二品を置き土産として、今回のお仕事(クエスト)を終了いたしましょう。どちらも自分の店の特色を出すためにアレンジのしがいがあり、余程間違った手順を踏まない限り、不味いモノになる事はない素晴らしいメニューです。



今後、何かの理由でこの街に来ることがあったら是非立ち寄ってみる事にしましょう。



語り口調を変えて文章を構築するのは難しいってことですね。

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