料理人 憤慨する?
さて、ユウタロウ少年のお誕生日大作戦が無事終了し、現実世界では一週間が過ぎた訳だが。私はログインをする事をせず、病院にてやっと届いた私の義手・義足を使いリハビリを行っていた。
どうやら現地で最終的な微調整をしながら、機械との親和性を構築していくらしい。お医者様の最初の説明では、義手・義足が到着し、装着したらそれで終了かと思っていたが違ったようだ。しかも、説明ではゲームをプレイしている人は、義手・義足の操作に関して機械との親和性が上がっているとの話だったが、実際装着してみると、なかなか上手くいかないものだ。
要は、意識して義手・義足を動かそうとしても、無意識下でゲームと現実の区別がハッキリしているため、ゲーム感覚で義手・義足だけを動かす事を脳が認識してくれていないようなのだ。じゃあどうすれば良いのかって事なのだが、お医者様や技術者さんからの話では・・・
「慣れですよ、慣れ。」
簡単に言ってくれやがる。出来ないから困っているってのに、慣れってなんぞや。マジめっちゃ腹立つわぁ、ユニバァーーーーーーース激激ぃ。
熟鮓なら得意なのに・・・怒ったら腹減ってきた、スイーツ食べ放題い行ってこよう。
・・・と、こんな感じで、過ごしていた。
勿論、クランの面子(【フードコート】のご主人・女将さんを含む関係各所)には暫くログインしない旨を予め伝えてあるので、問題は無いだろうと思っていたのだが、しっかりと問題が起きていた。
それは、たまたま観ていたテレビのニュースで組まれていた特集だ。その特集は、ネットで話題の動画を紹介していたのだが、その中にまんまと有った訳だ・・・例のアレともうひとつのアレが。
まぁ、例のアレは、ユウタロウ少年も少女も運営に対しOKを出したのだから良しとしよう。しかし、問題はもうひとつのアレである。
本来の主人公は少年のハズなのだからと思っていたら、まんまと私の作業の方のどアップ映像がメインになっているではないか。しかも、ニュースで紹介された時の映像を観た人達の評価ってのを・・・
・ナニ高画質で早送りしているんですか(笑)
・質量のある残像クソワロタwwwww
・食えたもんじゃないから食えませんwwwwww
・オッサン必死過ぎテラワロス
等などと、あからさまに私を小馬鹿にするようなコメントばかりを紹介して下さりました。更には、(自称)料理が得意な芸能人数名に、出来上がった料理の評価を・・・とか言って、テキトー・雑・火が通っていないでしょう等と言いたい放題だ。イヤ、〈スキル〉の影響であんなに早く動けるし、ちゃんと火が通っていますって。
しかも、調理後のクランの皆さんや運営スタッフさん達が食されているシーンを撮していないもんだから余計に判りにくかろうって感じに映っている。
ヲイコラ。
でだ、翌日ログインしてみたところ、インフォメーションに運営からの謝罪のメールが入ってたのだが、微妙に香ばしい内容だった。
[運営より謝罪及び超重要なお知らせ
この度、某カウントダウン系テレビ番組にて、《無限世界の住人》のPV料理番組編を悪意をもって編集された動画が紹介され、同番組にて辛辣なコメントをや評価を受け、大変気分を害された事を謝罪いたします。
さて、このままでは当運営としてはもとより、グンジ様としても納得できず気持ちに収まりがつかないと思われます。また、番組を観た《無限世界の住人》ユーザーの方々で、特に【フードコート】を贔屓にしているユーザーからのグンジ様を擁護する声が多数届いています。
宜しければ此方の提案に、賛同していただき、番組内で辛辣な発言をしたコメンテーターや芸人に対し、グンジ様の料理スキルに対しての考えを変えていただこうと思います。
提案の内容としましては、上記番組の関係者を《無限世界の住人》の世界に招待し、グンジ様の料理を食べていただく事、それだけです。
我社は、現在の最新医療機器も扱うメーカーですので、体験(被験)者として上記のメンツ(以下甲とする)を集める為の苦労はかかりません。
なぜなら、医療最前線でもあるVRMMOの世界に甲をおびき寄せr・・・招待するに辺り、怪しまれることなくリアルタイム的なネタとして今回の件を情報開示という形で取材させる事ができます。
作戦は○月○日13時に【フードコート】で決行となりますので、ログインの際は一度運営または旧国王までご連絡を下さいます様にお願いいたします。
《無限世界の住人》運営本部一同]
無駄に長いメールだが、先日の番組・・・ってより料理のシーンだけを切り取った動画の反響が凄い事になっているみたいだ。何より運営がヤル気になっているのが凄いな。まぁ、自分達が開発した作品がコキ落とされれば腹が立つのは当たり前だってもんだ。
私も作った料理を食べもせず、一目見ただけで不味いと切り捨てるコメンテイター達には業腹なもんだから、喜んでお手伝いしましょう。これは、一料理人ではなく、《無限世界の住人》のプレイヤー代表として、今までこの世界で培ってきた技術と経験をもって全身全霊で事に当たらせてもらいましょう。
では早速、運営に連絡を・・・って、どうやるんだ?
まぁ、いいや。【フードコート】に行けば元国王様がいるだろうから、そっちで話をするか。
お待たせしました。
大分時間が掛かりましたが、今回はネタ振り回となります。




