【農協】 総力戦その4
現在地・・・【フードコート】内、仮店舗用仮設厨房。なぜか仮設厨房に照明機材がチラホラと・・・そして、何故か陣頭で指揮をとっている元国王様と、手足のように動く近衛騎士や神官騎士の方々。この状況を肴と、本気で片手に酒を持ち、ツマミを突っつきながら観ているクランの面子達。
で、何をやっているのかというと・・・
「ハイ・・・3・2・1・スタート!!」
『・・・グンジ。』
「ユ・・・ユウタロウの・・・」
『「お料理・・・喰えるものならぁ、喰ってみろ!!」』
「ハイ、カットォォォォォ」
何故かお料理番組の撮影をしていた。
何故かというと、昨夜久しぶりに来店した元国王様が、この話を女将さんにから聞いてしまい、勢い込んで私の所に突っ込んで来たところから始まる。この前の件で材料収集が終了してしたので、後は調理をするだけの状態で有る為、元国王様の出る幕は無いだろうと、安心して事のあらましを説明したのだが・・・完全に逆効果になってしまった様だ。
なぜなら、この作業中の近衛騎士や神官騎士の方々は運営の方々が操作するキャラクターなのだ。この前の授賞式のPVが思いの他人気があった様で、何かネタは無いかと虎視眈々とPC主体のイベントを探していた様で、まんまと網に引っかかってしまったみたいだ。で、ほぼ強制的に元国王様と運営が絡んでこの様な番組形式の撮影に相成ったって訳だ。全く以て不本意甚だしい事だが、ユウタロウ少年が承諾してしまったのだからショウガナイ。
因みにこの番組は、料理作成編と、少年少女の誕生会までのダイジェスト版の二種類のPVを作成する予定となっており。ダイジェスト版はユウタロウ少年が【フードコート】に来たところから再現映像として、後日撮影する事になるようだ。それってヤラセじゃねぇのか?
まぁ、そっちの話は置いておくとして、本日はケーキの作成をしましょう。今回のケーキは、ちょっとおしゃれにミルクレープのケーキを作成します。これならスポンジケーキを焼く手順を省きながらも、見た目が綺麗なケーキになる事受合。って事で早速材料を準備しておきましょう。
先ずはお馴染みの小麦粉のエアレーションです、良く篩いにかけた小麦粉に、バター・卵・牛乳を入れしっかりと混ぜます、これがケーキの生地になるのでダマが残らないように丁寧にお願いします。
で、早速フライパンで焼きましょう。熱したフライパンに溶かしたバターを薄く塗り、一旦火から卸して冷まします。適当な温度になったら、再度火にかけ弱火で・・・先程の生地を薄く満遍なく延ばして焼きましょう。
薄く焼き目が付いたら裏返しし、両面を焼けば出来上がり。生地がかなり薄いので、直ぐに焦げたり裏返す際に生地が破けたりするので、しっかりと注意をしながら作業を行ってください。今回は、少年の生地に余り薄さを求めると時間ばかりかかってしまうのと、少女の十歳の誕生日との事なので、生地を十枚焼き上げます。
一生懸命な少年の傍らで、少年の作業に注意しながら山の様に生地を焼き上げている私ですがなにか?
はい、次に生地と生地の間に挟む生クリームの泡立てです。しかし、その前に、そのクリームに混ぜ込む苺を目の粗い裏ごしで裏漉しします。で、少し柔らかめに泡立てた生クリームに混ぜ合わせ、生地に重ねましょう。
生地の上にクリームを塗り、その上に生地を重ねる。この作業を繰り返し、十枚目の生地を重ねたところで終了します。最後に粉砂糖を振り、飾りつけをしてケーキ作成完了です。どうだ、簡単だろ?
ちなみに、ユウタロウ少年がケーキをひとつ作っている間に、その傍らで同じケーキを十個ほど拵えた私を誰か褒めてください。
ミルクレープケーキは容器に入れ、冷蔵庫で保管しましょう。次に取り掛かるのは、コチラ・・・ハンバーグです。今回はオーソドックな合いびき肉を使ったハンバーグです。因みに、挽肉を作る機械はこの世界に無いので、全て私が丸々一頭分を包丁で叩いて作成したのは少年には内緒です。
先ずはパン粉に牛乳を混ぜしんなりさせます。これに挽肉を突っ込み、塩・胡椒で味を整え、粘りが出るまで確りと捏ねます。後は、焼く寸前までこの状態で寝かせておけば、丁度良い具合に豚と牛の脂が馴染み、ソースなんか不要じゃないかって位に旨い肉汁が出来上がるって寸法だ。
少年が二人分+αの量の挽肉を捏ねている間、その傍らで、残り総ての挽肉を捏ねている私です。流石に○分クッキングの様に、出来上がったモノが出てくることが無いから大変だ。
本日最後の仕込みは、鶏肉だ。これは鶏腿肉しか使わないので、楽に終わるだろう。一羽の巨嘴鶏から採れる肉の量なんてタカがしれている・・・ハズなんだがなぁ。
少年が腿肉を丁度良い大きさに切ってボウルに入れる、塩・胡椒・檸檬汁を入れて混ぜ込むその間。余った材料で別に料理を作らされている私。番組的に良いんですか、元国王様?




