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料理人 本気です!!

やっぱり困った。近衛兵の方々に王都の食堂で王様がナニを作っていたのか聞いたら、やはり農場拡張工事(ここ)の賄いで出したモノや、はじまりの街の食堂(うち)で出していたメニューを作っていたみたいだ。因みにその情報源は、弟だったりする。ガッデム!!


っていうか弟よ、お前さんは一体どこで王様と知り合ったんだ?近衛兵さん達の話では、結構頻繁に王城に顔を出しているみたいだが・・・深く詮索するつもりは無いが、一体全体お前は何がしたい?


まぁいいか、美味い料理を作れる人が増えれば、美味い料理を食べられる人が増えるってもんだ。王都(王様)はじまりの街()で美味い料理を作り続けていれば、後を必死に追っかけてくる料理人がきっと出てくるはずだ。なんたってこのゲームはプレイヤーが無限の可能性を持っている《無限世界の住人》というゲームなのだからな。 



格好良く締めるのは相に合わないので、真面目に料理に取り掛かりましょう。


今回は夕食なので、ちょっと真面目路線で行ってみましょう。一応お妃様のリクエストはケーキとの事なので、チーズケーキを三種類用意しましょう。

お約束のベイクドチーズケーキ、ふわふわスフレチーズケーキ。最後に寒天で作ると食感が面白いことになるが、レアチーズケーキの三種類。先の二種類はナナセさんにお願いするとして、レアチーズケーキは私が作っちゃいましょう。

土台は前回作ったクッキー生地で型を作って焼きあげます。ケーキの種は、ヨーグルト・・砂糖・生クリームを弱火で温めながらしっかり混ぜ合わせる。其処に寒天を入れて、それがしっかり溶けて混ざり合ったら火から下ろす。粗熱が取れたら、寒天が固まる前に檸檬果汁を絞り入れ、型に嵌めた土台に流し入れ冷やし固める訳だ。

寒天の固まり方は、ゼラチンの固まり方が微妙に違うので、使用する量を間違えると大変面白いことになってしまう為、勘を頼りに作ってみた。まぁ、間違えるこたぁ無いと思うが。コレでデザートは完成、後は冷蔵庫で冷やしておくだけだ。


で、こっからが本命。今回は、王道で勝負をしてみよう。先ずは鰹節・昆布でシッカリと出汁を取る。卵をシッカリと掻き混ぜ、出汁と合わせる。この時割合は卵が多いくらいにしておく。ザルで裏漉しをしてから、型に流して蒸し上げる。蒸す前に表面にできた気泡は、上から火で炙って気泡の中の空気を膨張させ破裂させておくと、見た目も綺麗な卵豆腐が出来上がる。

このままでは、味の無い卵豆腐なので、出汁に醤油・酒・味醂で味を付けて葛でとろみをつけたモノを餡にして上からかけてお出しする。これは温かくても良いのだが、今回は敢えて冷たくしてお出しすることにする。


卵豆腐が先付(さきづけ)とするなら、次に出すのは向付(むこうづけ)ってやつになる。畑から採ってきた、アカツキさん御謹製のほうれん草と茄子だ。

ほうれん草は、湯掻いて軽く絞ったら、よく擂った胡麻・醤油・砂糖・酒・味醂で作った胡麻ダレをしっかり絡めて胡麻和えにする。

茄子は全体に薄く油を塗し、藁火で表面がバッチリ焦げ付く位に焼きを入れる。こうすると茄子の中まで火が通り、しかも皮が簡単に剥ける一石二鳥の焼き茄子の調理方法だ。一度氷水で冷やしてから、醤油・味醂・酒で味を整えた出汁に漬けておく。お出しする際は、出汁を軽く絞り、適度な大きさに切って、細く薄く削った鰹節をチョコンと乗っけてやる。


次に出すものは、炙った牛腿肉。昼に腿肉のタタキを出したが、夕食は酒で延ばした味噌に漬けた腿肉を軽く炙って薄く切って出す。鮪と同じで熟成すると旨味成分のイノシン酸が増えるし、味噌の麹菌が肉を柔らかくする。しかも、アルコールで味に深みが出るし、味噌の塩分で適度に塩味が付くので、余計な味付けは不要。

今回は味噌に直接漬けるのではなく、ガーゼで肉を包み込み、味噌と酒の成分とその塩分だけを使うちょっと贅沢な味噌漬けにした。こうすると肉に付いた味噌を水で洗い流すことが無いので、折角染み込んだ味噌の味が逃げないで済むのだ。コイツは出来立てを食べてもらいたいので、目の前で・・・しかも七輪で炙って出してやろう。


白身の魚・・・蒲鉾を作る予定で冷蔵庫に入れておいた鱈を三枚に卸して、少し大きめの切り身にする。軽く塩を振って、たっぷりの片栗粉を塗し油でサクッと上げる。付け合せにする野菜は梅に型どった人参・スライスにした蓮根・円柱に剥いた薩摩芋・獅子唐も片栗をまぶして揚げておく。深めの鉢に盛り付けたら、タップリと大根おろしを入れた温かい出汁を掛けて出す。

野菜は先に蒸して火を通しておき、魚も野菜も油で揚げるのは直前に。揚げたての魚・野菜に出汁を掛けた時のジュワ~っていう音が実に食欲をそそる。まぁ、揚げ浸し、または煮浸しっていう料理になるんだがね。


人参・牛蒡・椎茸・玉葱を細かく刻み、豚の挽肉と一緒に炒めて薄く味を付ける。合わせて、馬鈴薯を蒸し、火が通ったら潰してから、つなぎの小麦粉・卵と混ぜて生地を作る。この生地で先程炒めた野菜・挽肉を少しブサイクな茶巾に包み込む。一つの器に一つ、馬鈴薯の茶巾包をいれ、蓋をして蒸し上げる。これもお出しする寸前に出汁をかけるが、コイツにかけるのは、出汁に塩・酒・味醂で色が変わらないように味を付け、片栗粉でとろみを付けた銀餡を掛けてお出しする。

黄色みかかった馬鈴薯の茶巾包に銀色の餡。しかも茶巾包は形が馬鈴薯に似ているから、まんま馬鈴薯だと思い箸で割ってみると中から具が出てくる、ちょっとしたびっくり箱となる。


これで視覚・嗅覚・聴覚に訴える様な料理が完成だ。しかも味は私が作っているので、自惚れるつもりは無いが、一級品なのは間違いない。


最後にアツアツの白いご飯と豆腐の味噌汁、漬物は胡瓜・人参・大根・茄子の糠漬け。

おまけで、鶏肉をしっかり煮込んで作った煮凝りを付けてあげよう。中に鶏肉は入ってないが、鶏をよく煮込んだあと、固まる前にシッカリと漉しているので不純物が入っていない綺麗な煮凝りだ。そのまま食べるも良し、温かいご飯に乗っけて煮凝りが溶けたところを掻き込むのもよし。これだけでご飯三杯はイける一品だ。


一応今回の献立を下記に記しておく


先付   ・・・卵豆腐

向付   ・・・ほうれん草の胡麻和え・焼き茄子

焼き物  ・・・牛腿肉の味噌漬け

揚げ物  ・・・鱈の揚げ浸し(人参・蓮根・薩摩芋・獅子唐)

蒸し物  ・・・馬鈴薯の挽肉茶巾包み


食事   ・・・白飯 豆腐の味噌汁 鶏の煮凝り

香の物  ・・・糠漬け4種(胡瓜・人参・大根・茄子)


以上となり、食後のデザートに先に作っておいたチーズケーキ三種を出すことになる。

暫くぶりに、なんちゃってでも会席料理を意識した料理を作ろうとしたから、脳みそが糖分を要求してくる。ログアウトしたらケーキ屋に行こうかな。


少し短めの完全お料理回ですね、王様の実食は次回となります。

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